3号機使用済み燃料プールの瓦礫撤去、遠隔操作による作業中に落下事故
8月29日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
3号機使用済燃料プールで瓦礫落下
※8月29日午後0時45分頃、3号機使用済燃料プール内瓦礫撤去作業において、燃料交換機の操作卓をクレーンにてつり上げるため専用治具で操作卓をつかもうとしたところ、操作卓が当該プール東側中央付近に落下。
落下した燃料交換機の操作卓は、燃料ラック上部に設置してある養生材(鉄板高さ30cm程度)と、当該プール内の瓦礫の間に落下していることを確認。
瓦礫の下部に燃料が2体あることから、今後水中カメラにて詳細に状況を確認する。
なお、3号機使用済燃料プール内瓦礫撤去作業は遠隔作業により無人で行われており、作業員の負傷はなし。
3号機使用済燃料プール付近の線量は3.2mSv/hで通常値と変化はなく、発電所構内の線量とともに継続監視中。午後1時30分の当該エリアダストモニタ値および午後1時40分のモニタリングポスト値に有意な変化はなく、引き続き継続して監視を行う。
3号機使用済燃料プール代替冷却系については、8月25日より停止していたが、プール水の放射能分析のため、本日午後2時37分に起動。
1号機~2号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年8月27日午前10時37分~)
※滞留水移送は実施中
3号機 ~瓦礫落下事故を受けて、使用済み燃料プール冷却を再開
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年8月19日午後4時18分~)
※滞留水移送は実施中
・使用済燃料プール内の燃料交換機本体撤去作業については、5月16日に当該作業で使用していたクローラクレーンに不具合が確認されたため、中断していた。その後、予定していたクローラクレーンの年次点検にあわせて、不具合箇所の修理が完了したことから、8月25日より当該作業を再開することとした。
作業の再開に伴い、燃料交換機撤去対象機器に残存している油が使用済燃料プール代替冷却系に混入することを防止するため、8月25日~10月中旬(予定)の間、原則毎週月曜日午前7時~土曜日午後4時の間、当該冷却系を停止する(停止時間は最長で129時間、毎週土曜日午後4時~月曜日午前7時の間は運転予定)。なお、冷却停止時の使用済燃料プール水温度は28.4℃、冷却停止時のプール水温度上昇率評価値は0.114℃/hで、停止中のプール水温上昇は約15℃と評価されることから、運転上の制限値65℃に対して余裕があり、使用済燃料プール水温度の管理上問題ない。また、水温は運転上の制限値65℃に十分な余裕を持った45℃を超えることがないよう、同冷却系停止前のプール水温度を29℃以下として管理する。
<作業実績>
8月25日午前5時50分停止(停止時温度:28.4℃)
8月29日午後2時37分起動
4号機~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス ~通算18回目の海洋排出を開始
※1~4号機原子炉建屋等への地下水流入抑制対策として設置した地下水バイパス設備について、地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による分析結果[採取日8月20日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認(ここまで既出)
したことから、8月29日午前10時2分、海洋への排水を開始。同日午前10時10分に漏えい等の異常がないことを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果 ~H4タンクエリア観測孔で全ベータが上昇
◆最新のパトロール
8月28日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
H4エリアタンク周辺の地下水観測孔E-1の全ベータ値は、2,600 Bq/L(8月26日採取値)から83,000 Bq/L(8月27日採取値)に上昇。(過去最大値:710,000 Bq/L(平成25年11月10日採取値))
原因としては、降雨が影響したものと考えられる。
その他の分析結果については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
新規事項なし
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年8月29日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: