多核種除去設備ALPS、3カ月ぶりの3系統処理運転ながら、本格稼働についてはいまだ不透明
6月22日(日曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
多核種除去設備ALPS、C系で処理運転を再開
C系については、系統内洗浄、改良型クロスフローフィルタへの交換および追加腐食対策としてガスケット型犠牲陽極への交換が完了したことから、6月22日午前9時に処理運転を再開。なお、運転状態については、同日午前9時25分に漏えい等の異常がないことを確認。
また、多核種除去設備A,B系についてもガスケット型犠牲陽極への交換を計画。
1号機 ~タービン建屋地下滞留水を1号機廃棄物処理建屋へ移送~
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
加えて、タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送が始まる
・1号機タービン建屋地下→1号機廃棄物処理建屋へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月22日午前9時34分~)
2号機~6号機
新規事項なし
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月16日午後4時~)
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中。(平成26年6月16日午後2時42分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス揚水井の状況
新規事項なし
※地下水バイパス揚水井No.1~12のサンプリングを継続実施中。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
漏洩を起こした後、パトロール強化やサンプリング検査が行われているタンクエリアの位置関係をGoogleMapのキャプチャ画面でチェック。
◆最新のパトロール
平成26年6月21日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
新規事項なし
1~4号機サブドレン観測井の状況
新規事項なし
地下貯水槽の状況
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年6月22日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: