3月3日は桃の節句。しかし収束と廃炉への作業を進める事故原発では、正月もお盆もクリスマスも、季節の節句も関係ありません。365日、24時間体制で進められる事故原発での作業。今日も「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」を、前日からの変化や変更を中心にチェックします。
1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
新規事項として、3月2日の高濃度滞留水の移送について記載されました。
・1号機タービン建屋地下→1号機廃棄物処理建屋へ高濃度滞留水の移送を実施(平成26年3月2日午前10時8分~同日午後4時58分)
7時間弱の稼働でした。
2号機~4号機
特記事項なし。
◆2号機
1号機の4項目と同じ。
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆3号機
1号機の4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年1月24日午後2時37分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
使用済燃料プールに異物を発見したことを、新規事項として記載。
※3月3日午前10時20分頃、使用済燃料ラックを点検していた当社社員が、使用済燃料プール南東側底部に金属らしき異物(約20mm×約5mm)を発見。今後準備が整い次第、異物の回収等を実施する。
福島県のホームページによると、5号機には使用済み燃料946本と新燃料48本のが使用済燃料プールに格納されています。合計994本の燃料です。
6号機
新規事項なし。
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
新規事項なし。
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
H4エリアタンクおよび周辺排水路の状況
新規事項としてパトロール結果とサンプリング実績を記載。
<最新のパトロール結果>
3月2日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(トレンドによる監視または警報監視)においても異常がないことを確認。
※H4エリアIグループNo.5タンクからの漏えいを受け、福島第一南放水口付近、福島第一構内排水路、H4エリアタンク周辺および地下水バイパス揚水井No.5~12のサンプリングを継続実施中。
<最新のサンプリング実績>
3月2日に採取したB排水路(ふれあい交差点近傍[B-0-1])の全ベータの値が前回値の検出限界値未満(15Bq/L)と比較して160 Bq/Lと有意な変動が確認された(当該箇所の全ベータの過去最大値は380Bq/L)。測定値が上昇した原因については、昨日からの降雨の影響と考えている。
その他の測定結果については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
汚染された地下水の海への流出が懸念されるエリアで、最新のサンプリング実績を新規事項として記載。
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
地下貯水槽の状況
止水の不備から貯水槽として利用できなくなった地下貯水槽。新規事項としては最新のサンプリング実績を記載。
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年3月3日分の変更箇所についてピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: