ロンドンオリンピックで銀メダルに輝いた『なでしこジャパン』。U-20女子ワールドカップで銅メダルを獲得した『ヤングなでしこ』。女子サッカー界が大きな注目を集めている今、更に一つ下の世代に『リトルなでしこ』と呼ばれる17歳以下の日本代表の存在があります。今回はU-17女子ワールドカップで活躍したセンターバックの三宅史織選手のプレーの魅力に迫ります。

【三宅 史織】 みやけ・しおり

国籍：日本
生年月日：1995年10月13日
身長：164cm
体重：48kg
所属チーム：JFAアカデミー福島
ポジション：DF

予選リーグを無失点で勝ち上がったリトルなでしこ。これだけ日本のディフェンスが強固だったのは三宅史織と乗松瑠華のセンターバックが非常に安定していたからです。2人の役割は明確で右センターバックの三宅がストッパーとして積極的にタックルをチャレンジし、左センターバックの乗松がスイーパーとして背後のスペースをカバーリングして互いの動きを補完していました。

164cm48kgという体格は、この年代のDFとしては高いポテンシャルを持ちます。17歳という年齢を考えると、ここ2～3年でもう1回り大きく成長できると思います。抜群の身体能力を武器にしており、高さ、速さ、強さを全て兼ね備えた数少ないセンターバックです。準々決勝で対戦したガーナ代表は、アフリカ人特有のスピードとパワーを前面に押し出して1対1でドリブル突破を仕掛けてきました。

三宅はインターセプトを狙って前方に飛び出していくタイプのDFなので、背後のスペースをガーナのFWに突かれる場面が目立ちました。しかし、スプリント能力とボディコンタクトに優れる三宅はマッチアップでも当たり負けすることはなく、タイトなマークと的確なポジショニングでゴールに鍵をかけました。

三宅史織は守備の強さだけでなく、攻撃にも威力を発揮します。特にセットプレーからの空中戦の強さは抜群です。滞空時間の長いジャンプで制空権を得ると、相手DFを頭1つ抜け出して強烈なヘディングシュートを放ちます。コーナーキックではDFとの駆け引きも巧みで、ファーポストに構えると見せかけて一気にニアサイドに走り込んでシュートを狙うなど、DFのタイミングを外す動き出しに上手さを見せます。

センターバックはなでしこジャパンのアキレス腱と言われるほど選手層の薄いポジションです。レギュラーの熊谷紗希の穴を埋めるストッパーは未だに発掘されていないのが現状です。U-20ワールドカップで活躍した土光真代や、高木ひかりが候補として挙がっていますが、三宅も十分に熊谷とレギュラーを争える素材だと思います。