東日本大震災・復興支援リポート 被災地・田老への小さな旅(3)

iRyota25

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町を見に来たら、ここまで足を伸ばしてほしいのよね

約8割の建物が被災し、ほとんど建物が残っていない田老地区の中心地から7.8キロ。

車で走ること15分ほどの距離にあるグリーンピア三陸みやこ(旧グリーンピア田老)の広大な敷地内に、約400棟の仮設住宅と仮設商店街「たろちゃんハウス」があります。

地域の人たちの多くがまとまって入れる仮設住宅とお店がセットであるのは、いろいろ問題も多かったグリーンピアの有効な活用法かもしれません。(それにしてもグリーンピアの広さには驚かされます)

ロビーのようなちょっとしたスペースに津波被害の写真展示がありました。

たろちゃんハウスには、宮古市田老地区にあった商店の多くが入居して、元と同じ商売を再開しているそうです。

震災直後の被害を記録したDVDも置かれていました。

被害を伝えたい、防災・減災についての意識を伝えていきたいという思いが、この仮設商店街には息づいています。

田老名物「どんこ唐揚げ丼」

せっかく漁師町・田老を訪れたのですから、地場の美味しいものを食べたいと立ち寄ったのは、たろちゃんハウスの善助屋食堂。田老の漁師の奥さんが切り盛りしてきた地元で人気の料理店です。

こちらが善助屋食堂の一押し、「どんこ唐揚げ丼(味噌汁付)」です。

見た目も香りも美味しそうですが、まずはどんこの唐揚げからガブリ。

薄めの衣はサクサクで、中身の白身魚はふんわり柔らか、旨みがじゅーっ。

甘めのアンと、紫蘇を散らしたご飯との相性もバッチリです。

どんこを温泉卵に絡めて、ご飯と一緒にほおばると、磯の香りが広がります。

そして、あなどれないのがお味噌汁。濃厚な昆布だしの風味とほのかな煮干の味わいは「これぞおふくろの味」といった感じ。

これは二重まるのお勧めメニューです。田老の被災地へお越しの際は、ぜひとも食したい逸品です。

(どんこの標準和名はエゾイソアイナメ。首都圏ではなかなか目にすることはありませんが、淡白なのにとろっと脂がのった東北沿岸部で大人気の郷土のお魚です)

おいしいおいしいと言っていたら、奥さんの赤沼秋子さんがいろいろ教えてくれました。

どんこはこれから冬にかけて、ますます脂が乗って美味しくなること。

味噌汁のだしの昆布は、田老で採れた地のものをたくさん使っていること。

魚はもちろんだけど、ほかの食材も地元のものにこだわっていること。

田老に店があった頃は、温泉卵も自家製だったけど、機材が流されてしまったのでいまは買ってきたもの。それがちょっと残念だといいうこと。

高台のこの場所でお店をやっているけど、海の食材が中心だから、浜まで行き来することになる。そのガソリン代がけっこう大変だということ。とくに漁師の人たちは、網を朝入れに浜へ行って戻って来て、昼には海の様子を見に行って、夕方には網を上げに浜へ行って、その他にも漁具の修理や次の漁の準備など一日に何度も往復するから、「ホントに大変なんですよ」。

田老地区の防潮堤には、被災地ツアーの人がたくさん来ているけど、たろちゃんハウスまで来てくれる人は多くないこと。

被害を受けた地域から、ある程度まとまって仮設住宅に入居できて、仮設のそばに商店街もできて。。。でも、いろいろな苦労があるのだということを知りました。

それにつけても、「どんこ唐揚げ丼(味噌汁付)」の美味しさです。

支援という考え抜きでも、ぜひ経験してほしい味わいですので、田老と言わず、岩手に来たら、ぜひたろちゃんハウスの善助屋食堂にお立ち寄りください。

善助屋食堂の住所は、
岩手県宮古市田老字向新田148 たろちゃんハウス内です。
宮古市から田老駅までは車で20分ちょっと。田老駅からは国道45号を北上、
道の駅をすぎて5分ほど走った右手の「グリーンピア」に
仮設住宅とたろちゃんハウスはあります。昼は11:30分から営業しています。

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報告●井上良太

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