イスロテ島 ~世界で一番人口密度の高い島~

uematsu

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南米、コロンビア共和国のカリブ海に浮かぶ小さな島「イスロテ島」。ここは地球で一番人口密度の高い島といわれています。島の面積は約1万平方メートル。野球グラウンドほどの小さな土地に、住居が97軒も立ち並び、1,247人の島民がひしめき合うようにして暮らしています。単純に計算すると家1軒に平均12人が暮らしていることになります。この数字は東京の人口密度の約20倍にあたります。

●気候年間の平均気温は27度以上で湿度も高い常夏の島です。11月から5月までが乾期にあたり、極端に雨が降らない日が続きます。台風やハリケーンなどが来ない比較的穏やかな地域です。

●島の生計

主に漁師によって支えられています。水深20mの海に素潜りして、とれたエビや魚をコロンビア本土や近くの島のリゾートホテルなどに売って生計を立てています。漁獲高は1キロあたり15,000ペソ(約750円)ほど。月収は多い人でおよそ5万円。国が定めた最低賃金が月収2万円程度なので低くはありませんが、漁師には保険や年金といった社会保障はありません。10年前にできたという近くの島のリゾートホテルで働いている人も60人ほどいます。そこでは男性だけでなく、女性も調理やベッドメイクなどをして働いています。

●島にあるもの・電気

ディーゼルエンジンの自家発電機があり、夜7時から12時の間だけ電気を使うことができます。電気に使うガソリン代は島民から徴収しています。

・お店よろず屋が4軒あり、米や野菜などの食料品は定期的に本土から来る行商船から仕入れています。

・学校

児童数240人、教員数4人の小学校があります。校内には狭い教室が3つしかないため、朝昼夜の3交代制で授業が行われています。島に中学校はないので、進学したい子どもは本土に行くしかありません。島の中でも比較的に裕福な家庭は、子どもを本土に移り住んだ親戚の元へ送っています。

・病院医師は本土のカルタヘナ市から派遣され、月に2週間ほど島に滞在しています。コロンビアの収入の少ない家庭は、高度医療以外の基本的な医療費は無料です。

●島にないもの

・水道珊瑚礁にある島なので水源がありません。飲み水、料理、洗濯など、すべての水を雨水に頼っています。

・ガス

プロパンガスを使っている家もありますが、ほとんどの家庭では薪を使っています。薪は隣の島から切り出しています。

・公共施設役所、消防署、公園、銀行などはありません。

・その他

走れる道路がないので車はありません。田んぼも畑もありません。お墓は隣の島に墓地があるそうです。

●島の不便・洗濯物を干す場所が足りない

女性たちは、家の壁、屋根、船のへりなど、干せる場所ならどこでも使っています。

・テーブルが足りない食事は大きなお皿に全部盛って、テーブルなしで食べるのが普通です。

・寝る場所が足りない

ベッドは2人以上で共有するのがあたりまえ。小さい子どもはベッドを4~5人で共有します。全員が床にマットレスを敷いて寝る家もあるそうです。

・子どもの遊び場がない島の中央にあるメインストリートが、子どもたちのサッカーグラウンドになっています。住居と住居の隙間をぬうようにしてサッカーボールを蹴りあう子供たちの様子が見られます。

・テレビを持っている家は島に10軒

持っている家庭が少ないのでテレビを持っている家に、夜みんなで集まって見ています。イスロテ島にはびっしりと隙間なく家々が建ちならび、島には公園や空き地はもちろん、田畑や水道、ガスも警察もありません。けっして快適とはいえませんけど、コロンビアでは「最も平和な場所」と呼ばれている不思議な空間です。島民の祖先は19世紀にこの地を支配したスペイン人の手によって、アフリカから連れて来られた奴隷です。その祖先は、国の独立を機に自由を求めてこの島にたどり着きました。そのため、島民は全員が親戚同士という関係にあります。住んいる土地は小さいけれど、島民は自由を心から愛しているのです。

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