トヨタ車体が開発したコムスが注目を浴びている
少し前のニュースになりますが、トヨタ車体がCOMS(コムス)という小型EVを発売しました。2000年に発売を開始した初代モデルのフルモデルチェンジ版で、街乗りなどの近距離移動のための超小型自動車として性能を大幅にアップしたものです。1980年代前半に原付スクーターの駆動装置を流用した4輪タイプのミニカーの製造ブームが巻き起こりました。現在、ミニカーは電気自動車に姿を変えて再び注目されるようになりました。
家庭用100V電源で充電し、満充電状態での走行可能距離は約50km。1回の充電に必要な時間は約6時間。最高速度は60km/hで最大積載量は30kgです。道路運送車両法上は第一種原動機付自転車(四輪)となり、普通自動車免許(AT限定可)が必要になります。その一方で車庫証明、車検、重量税、取得税も不要なので、ちょっとした買い物で使用する分には非常に便利な乗り物だと思います。
乗り降りの簡便さと視界確保のために車体はドアレス構造になっていますが、雨天時のためにキャンパスドアをオプションで用意しています。雨天時での走行に支障はなさそうですが、車内に冷暖房が付いていないのが残念です。実験データには車外の気温3.2度の時、車内気温は11.3度という記録があります。キャンパスドアを装備すれば冬でも十分に走行可能だと思われます。
タケオカ自動車工芸のT-10はドアを備える
ドア付きの小型EVに関しては、タケオカ自動車工芸から発売されているT-10があります。ハードタイプのドアが標準装備されているので、車内は完全な密閉状態になります。このような構造ならば、寒冷地でも支障なく走行できると思います。最高速度は55km/h。満充電状態での走行距離は50km。1回の充電時間は8時間。走行性能はトヨタ車体のコムスと同等です。しかし、価格は安価バージョンでも100万円近くするため、個人消費者への普及にはさらなるコストダウンの努力が必要ではないでしょうか。
価格、機能面の改善があれば大幅普及もある
市場調査によると、小型EVを購入する価格帯として『50万円までならば買うかもしれない』という声が圧倒的多数です。トヨタ車体のコムスはベーシックモデルの最安値は59万8000円からとなり、50万円台を実現しています。しかし、コムスの場合、50万円台でもドア無し、クーラーヒーター無し、ラジオ無しでは個人販売で普及させるのは難しいと言われています。安全面や機能性を考えた場合、ドア無し、エアコン無しは実用的な車とは言えない気がします。
ちなみに筆者が車を利用するときはスーパーマーケットに買い物に行くときです。24時間営業の店を深夜帯に利用するときが多く、冬は非常に寒いのでドア無しでは厳しいのが実情です。例えキャンパスドアを付けたとしても、布製のドアでは防寒対策として十分とは言えません。今後、ハードタイプのドアとエアコンを標準装備した小型EVが安価で発売されるようになれば、一気に普及への扉が開けるのではないでしょうか。
最終更新: