熊本県益城町の総合運動公園体育館。ここには1,200人を超える人々が避難している。
[熊本大地震]大量のゴミ。放置するわけにいかないから
雨の予報が出されていた朝、避難所となっている体育館の通用口からゴミ袋を抱えた人たちがひっきりなしにやってきて、仮の集積場にゴミ袋を投げて行く。その側で自衛隊の隊員がゴミ袋の中にビンや缶が入っていないかチェックしたり、段ボールを仕分けたりするという不思議な光景が繰り広げられていた。
ゴミの分別は自衛隊さんの仕事ではないのでは?
でも、誰もせんからですね。放置する訳にはいかんでしょう。衛生上も問題があるし。
でも、自衛隊さんには道路啓開とかがれき撤去とか、もっと他にやってもらわなければならない仕事があるのに。ゴミの分別は避難している人たちが自分でやることなのでは?
私らはね、給水とか炊き出しが任務なんです。地震翌日から入ってますけどね、最初からずっとゴミのこともやっていたら、避難されとる人たちは「あ、ゴミは自衛隊の仕事」と思われたんでしょうかね。誰も手伝ってくれんのですよ。
聞きながら分別を手伝っていると、「いつまでやっても切りがないからたいがいにしましょう。今日は雨になるけん、降り出す前にシートだけは掛けとかなならんけど、もうこれくらいで大丈夫ですよ」
熊本出身という自衛官は言った。「これも県民性なんでしょうね」
地震の翌日に避難所に入ってからずっと、ゴミの分別を続け、手伝ってもくれないとこぼす自衛官。
自衛官の表情に肉体的なものとは違う疲労感があった。おそらく「自衛隊の仕事」と見切って頼っている避難者にも精神的な疲労はたまっているのだと思う。
最初の地震から9日目、4月23日の朝の点景だった。