【注目】サブドレン・地下水ドレン汲み上げ水の大本の分析結果(中継タンク)
4月12日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
1号機 使用済燃料プールの冷却についての記載を訂正
・使用済燃料プール循環冷却系運転中(注)
(注)使用済燃料プール循環冷却系の運転状況については、当該系統の弁点検作業が2月16日に終了し、同日から現在まで運転を継続しておりますので、2月17日から4月11日までの日報を、以下のとおり訂正させていただきます。
(誤)使用済燃料プール循環冷却系停止中
(正)使用済燃料プール循環冷却系運転中
福島第一原子力発電所の状況について(日報)|福島原子力事故に関する更新|東京電力ホールディングス株式会社 2016年4月12日
その他の項目に新規事項の記載なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室、1号機所内ボイラー室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
・1号機原子炉建屋地下から集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中
2~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・6号機使用済燃料プール冷却系の除熱系統である6号機補機冷却海水系について、ストレーナ他点検のため、4月11日午前10時31分に、6号機使用済燃料プール冷却系を停止し、午前10時49分に残留熱除去系(A)系の非常時熱負荷モードを起動し、使用済燃料プール冷却を開始。6号機補機冷却海水系については、午前11時22分に停止。(停止予定期間4月11日から4月22日)
なお、切り替え前のプール水温度は21.8℃、切り替え後のプール水温度は22.0℃であり、運転上の制限値(65℃)以下となっている。
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◎日報に新規事項の記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備停止中
・高性能多核種除去設備停止中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクBからの排水準備が進む
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクBの分析結果[採取日4月6日]について、運用目標値を満足していることを確認。
福島第一原子力発電所の状況について(日報)|福島原子力事故に関する更新|東京電力ホールディングス株式会社 2016年4月12日
※ 一時貯水タンクは浄化後のサブドレン・地下水ドレン水を海洋排出前に一時貯水するもので「サンプルタンク」とも呼ばれる。
サブドレン・地下水ドレン 集水タンクの分析結果(4月4日採取分)
※ 集水タンクはサブドレン・地下水ドレンから汲み上げた水を浄化施設に送る前に貯えておくタンクのこと。
○サブドレン・地下水ドレン集水タンク<トリチウム>
4月04日採取分: 880Bq/L
4月03日採取分:1,000Bq/L
4月02日採取分:11,00Bq/L
4月01日採取分:1,100Bq/L
3月30日採取分:1,000Bq/L
3月29日採取分: 920Bq/L
※東京電力の運用目標は「1,500Bq/L」
サブドレン・地下水ドレン 中継タンクの分析結果(1月~3月)はかなり厳しい
中継タンクは、サブドレンや地下水ドレンから汲み上げた地下水を一時的に貯留するタンクで、サブドレンで5系統5箇所、地下水ドレンで3系統3箇所設置されている。
上図によると、それぞれのタンクの集水エリアは以下のとおり
サブドレンのNo.1は、1,2,3号機東側(海側)から2,3号機間、11箇所の井戸
サブドレンのNo.2は、1号機北側から西側、8箇所の井戸
サブドレンのNo.3は、2,3号機西側と2号機南側、7箇所の井戸
サブドレンのNo.4は、3,4号機西側、8箇所の井戸
サブドレンのNo.5は、4号機東から南側、7箇所の井戸
地下水ドレンのNo.Aは、4m盤北側、2箇所の地下水ドレン
地下水ドレンのNo.Bは、4m盤中間、2箇所の地下水ドレン
地下水ドレンのNo.Cは、4m盤南間、2箇所の地下水ドレン
【検証】分析結果の傾向はほぼ一定しており、サブドレン中継タンクのトリチウム濃度は100~500Bq/Lのレベル。セシウムと全ベータはサブドレン中継タンクNo.1で200~500Bq/Lのレベル。他のサブドレン系統は1月時点ではNDが多かったが、3月に入ると実数での検出が増え、100Bq/L程度からそれ未満のレベル。
一方、地下水ドレンでは中継タンクAの全ベータ、トリチウムが3,000~5,000超Bq/Lのレベルで極めて高い。中継タンクBの全ベータは1,000Bq/L未満で、変動はあるものの500Bq/L前後ながら、トリチウムは5,000Bq/Lに迫るレベル。中継タンクCはセシウム-137が1ケタ、全ベータが2ケタ、トリチウムが3ケタと、比較的低いレベルになっている。
総じて言えることは2点。吸着装置で放射能を100分の1に低減することができたとしても、なお放射性物質が高い濃度で残ることになるタンク水が複数あること。吸着装置ではトリチウムを除去することはできないため、いくら濃度の低い水とブレンドしたとしても、5,000Bq/Lに迫る水がある以上、処理後の排水を断念してタービン建屋地下に移送、汚染水としての処理に回さざるを得ない汲み上げ水が相当量あることだ。
現状は厳しい。今後、とくに凍土式の陸側遮水壁によって地下からの汲み上げ水の汚染度がどのように推移するか見守っていく必要がある。
地下水バイパス 通算111回目の海洋排水を開始
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の分析結果[採取日3月30日]について、運用目標値を満足していることを確認。4月12日午前10時11分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時30分に漏えい等の異常がないことを確認。
福島第一原子力発電所の状況について(日報)|福島原子力事故に関する更新|東京電力ホールディングス株式会社 2016年4月12日
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
4月11日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
福島第一原子力発電所の状況について(日報)|福島原子力事故に関する更新|東京電力ホールディングス株式会社 2016年4月12日
◆H4エリア
◎日報に新規事項の記載なし
○H4エリア周辺地下水E-1<全ベータ>
4月10日採取分: 6,700Bq/L
4月09日採取分: 7,700Bq/L
4月08日採取分: 6,200Bq/L
4月07日採取分: 7,400Bq/L
4月06日採取分: 6,000Bq/L
4月05日採取分: 6,900Bq/L
4月04日採取分: 8,900Bq/L
4月03日採取分: 8,100Bq/L
4月02日採取分:11,000Bq/L
4月01日採取分:12,000Bq/L
3月31日採取分: 8,900Bq/L
3月30日採取分:14,000Bq/L
3月29日採取分: 7,800Bq/L
これまでの最高値:710,000Bq/L(2013.11.10)
◆H6エリア
◎日報に新規事項の記載なし
1~4号機タービン建屋東側
◎日報に新規事項の記載なし
地下貯水槽「i」の南西側(漏洩検知孔水)の全ベータは、さらに上昇して22,000Bq/L
<最新のサンプリング実績>
昨日(4月11日)に地下貯水槽観測孔から採取した水の全ベータ放射能分析結果は、前回値(4月9日採取)と比較して有意な変動は確認されていない。
地下貯水槽i(漏えい検知孔水)南西側の全ベータ放射能が上昇した件について、昨日に採取した水の全ベータ放射能分析結果は、前回値(4月10日採取)18,000 Bq/Lに対し、22,000Bq/Lと大きな変動ではないものの上昇傾向にあることを確認。
なお、4月10日に地下貯水槽漏えい検知孔から採取した水のトリチウム分析結果は、前回値(4月9日採取)と比較して有意な変動は確認されていない。
引き続き、地下貯水槽観測孔について監視を強化するとともに、全ベータ放射能が上昇した原因を調査していく。
福島第一原子力発電所の状況について(日報)|福島原子力事故に関する更新|東京電力ホールディングス株式会社 2016年4月12日
○地下貯水槽「i」の南西側(漏洩検知孔水)<全ベータ>
4月11日採取分: 22,000Bq/L
4月10日採取分: 18,000Bq/L
4月09日採取分: 16,000Bq/L
4月08日採取分: 11,000Bq/L
4月07日採取分: 9,300Bq/L
1~3号機放水路
◎日報に新規事項の記載なし
構内排水路
※ K排水路の全ベータは13Bq/Lに低下。
○K排水路<全ベータ>
4月11日採取分:13Bq/L
4月10日採取分:18Bq/L
4月09日採取分:24Bq/L
4月08日採取分:59Bq/L
4月07日採取分:12Bq/L
関連データ(東京電力以外のサイト)
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