【追跡】地下水ドレンからタービン建屋への汚染地下水移送量(3月17日~3月23日)
3月28日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
多核種除去設備内の吸着塔で処理中の汚染水が漏洩の続報として、現場写真と漏洩の経緯・場所等を示す資料が公表される
上に引用したものと同じ現場写真の資料。
同日発表された下の資料には漏洩の時系列、現場写真のほか、漏洩箇所や多核種除去設備の系統について示されている。原因については「調査中」とのこと。
地下水ドレンからタービン建屋への汚染地下水移送量(3月17日~3月23日)
【注目点】事故原発構内海沿いの地下水ドレンで汲み上げたものの、汚染度が高い地下水は建屋地下に送られて汚染水として処理されている。3月17日から23日までの1週間で合計すると約1,380トン(改修ウェル・ウェルポイントでの汲み上げ分含む)の地下水が汚染水としてタービン建屋に移送された計算になる。
この量は地下水バイパスの1回の排出量に匹敵。建屋に流入する地下水を減らそうとする一方で、処理しなければならない建屋地下の汚染水を増やしているの汚染水処理の現状といえるだろう。地中に氷のダムをつくる陸側遮水壁の運用が近く始まるとされる。地下水の動きにはこれからも注目していく必要があるのは言うまでもない。
K排水路の付け替え工事が終わる
これまで太平洋に直結していたため、大量の放射性物質を流出させてきたK排水路の付け替え工事が完成。東京電力は写真とニュースリリース、さらに動画で伝えた。
写真では分かりにくいが、動画の拡大画面を見ると新・K排水路からはすでに排水が流れ出ている。排水先は第一原発の港内だ。港内の水と外洋の海水がつながっていることを考えると、巨大な排水路を建設した意味もぼやけてしまう。排水路内に放射性物質の吸着効果があるゼオライトを敷き詰めるなど十分な措置をとって初めて「付替完了」といえるのではないか。
【焦点】「K排水路付替完了」のリリースが発表されて間もなく、3月31日に東京電力はK排水路の汚染について行ってきた監視強化を終了すると発表した。汚染水対策の三原則は「汚染源を取り除く」「汚染源に水を近づけない」「汚染水を漏らさない」ことだという。これは一般論ではない。東京電力、そして経済産業省が掲げている原則である。監視強化の終了は明らかにこの原則を踏みにじるものだと言える。
1~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
・1号機ディーゼル発電機(B)室、1号機所内ボイラー室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
・1号機原子炉建屋地下から集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◎日報に新規事項の記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備運転中
・高性能多核種除去設備停止中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクDから海洋排水を実施。排出量は823トン
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクDの分析結果[採取日3月19日]について、運用目標値を満足していることを確認。3月27日午前9時57分より港湾内への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時7分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)その後、午後3時35分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は823m3。
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクEから海洋排水を開始
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクEの分析結果[採取日3月20日]について、運用目標値を満足していることを確認。(既出)
3月28日午前10時4分より港湾内への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時20分に漏えい等の異常がないことを確認。
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクFからの排水準備が進む
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクFの分析結果[採取日3月22日]について、運用目標値を満足していることを確認。
※ 一時貯水タンクは浄化後のサブドレン・地下水ドレン水を海洋排出前に一時貯水するもので「サンプルタンク」とも呼ばれる。
サブドレン・地下水ドレン 集水タンクの分析結果(3月20日採取分)
※ 集水タンクはサブドレン・地下水ドレンから汲み上げた水を浄化施設に送る前に貯えておくタンクのこと。
地下水バイパス 海洋排出の準備進む(通算109回目)
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ1の分析結果[採取日3月16日]について、運用目標値を満足していることを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
3月27日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
◆H4エリア
◎日報に新規事項の記載なし
○H4エリア周辺地下水E-1<全ベータ>
3月26日採取分: 7,600Bq/L
3月25日採取分: 8,700Bq/L
3月24日採取分: 8,600Bq/L
3月23日採取分:11,000Bq/L
3月22日採取分:12,000Bq/L
3月21日採取分: 6,900Bq/L
3月20日採取分: 6,200Bq/L
3月19日採取分: 8,400Bq/L
3月18日採取分:11,000Bq/L
3月17日採取分:10,000Bq/L
3月16日採取分:14,000Bq/L
3月15日採取分: 9,900Bq/L
3月14日採取分: 8,800Bq/L
3月13日採取分: 8,400Bq/L
これまでの最高値:710,000Bq/L(2013.11.10)
◆H6エリア
◎日報に新規事項の記載なし
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
1~3号機放水路
◎日報に新規事項の記載なし
K排水路
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
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