2月22日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
5号機 重さ約130kgの物体が、使用済み燃料プールの底から燃料の上に「移動」しているのを発見
※2月22日午前9時30分頃、5号機原子炉建屋5階オペレーティングフロア上にいた当社社員が、使用済燃料プール内底部に設置してあった、機器貯蔵ピット残水移送作業で使用していた浄化用フィルタ(重量約130kg)が、使用済燃料集合体ラック上部に移動していることを発見。
5号機原子炉建屋のエリアモニタおよびダストモニタの指示値に有意な変動は無い。今後、当該燃料集合体への影響の有無を確認する。
機器貯蔵ピットは、原子炉圧力容器を開けて燃料交換や点検などを行う際に取り外すことになる、圧力容器上部にある「蒸気乾燥器」や「気水分離器」といった設備を水中で保管するためのプール。原子炉上部には圧力容器の開口部と使用済み燃料プール、そして機器貯蔵ピットが並んで設置されていて、原子炉を開けて作業する際にはそれぞれを水で満たした上で機器や燃料の移動を行う。
今回問題となった浄化用フィルタは、水を移送する際に使うものと思われる。発表内容が限定的である現在、詳細は今後の発表を待ちたいが、以下の資料が参考になるかもしれない。
つまり、機器貯蔵ピットから使用済み燃料プールに水を移送する際、燃料プール底部に設置されていたはずの重さ約130kgの浄化用フィルタが、どうしたわけか使用済み燃料の上に「移動していた」という話だ。130kgの物体が、高さ4m以上の燃料ラックの上に勝手に移動することは考えにくい。そんなことがあったらミステリー以外の何物でもない。何らかの操作上の不手際があった可能性は否定できないだろう。
建屋への地下水ドレン移送量・地下水流入量等の推移(2月17日まで)
海側遮水壁の閉合以降、タービン建屋近傍から海岸にかけての4メートル盤(タービン建屋東側とも)と呼ばれる場所の地下水位が上昇傾向にある。該当するエリアに設置されている地下水ドレンから汲み上げられた水には汚染度が高いために、浄化後海洋排出するサブドレンとしての運用に適さず、実質的に汚染水プールとして使われている建屋地下に直接移送される汚染された地下水がある。地下水ドレンの運用以前から汲み上げが続けられてきたウェルポイントと改修ウェル(地下水ドレンより浅い地下水)からの汲み上げ量も合わせて、東京電力は建屋への移送量について発表している。データは発表日から10日ほど遡ったもので、必ずしもタイムリーな発表とはいえないが、毎週発表されている。
1~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
・1号機ディーゼル発電機(B)室、1号機所内ボイラー室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◎日報に新規事項の記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)運転中
・増設多核種除去設備停止中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン
◎日報に新規事項の記載なし
※ 2月21日に排水を停止した一時貯水タンクCからの排水に関する記事が、新規事項を示すアンダーラインなしで掲載されている。
地下水バイパス 海洋排出の準備進む(通算104回目)
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ3の分析結果[採取日2月10日]については、運用目標値を満足していることを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
2月21日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
◆H4エリア
◎日報に新規事項の記載なし
◆H6エリア
◎日報に新規事項の記載なし
1~4号機タービン建屋東側
◎日報に新規事項の記載なし
地下貯水槽
◎日報に新規事項の記載なし
1~3号機放水路
◎日報に新規事項の記載なし
K排水路 分析結果の上昇は「降雨の影響による一時的な上昇」と推定
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回の分析結果より上昇しているが、降雨の影響による一時的な上昇と推定。
関連データ(東京電力以外のサイト)
最終更新: