1月18日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
協力企業作業員が左手薬指を挟み負傷・緊急搬送。土嚢運搬作業の事故
※1月18日午前11時30分頃、福島第一原子力発電所構内の2号機建屋西側付近で、協力企業作業員が土嚢運搬作業を行っていたところ、土嚢とガードレールの間に左手薬指を挟み負傷。その後、入退域管理棟救急医療室にて医師の診察を受けたところ、緊急搬送の必要があると診断されたことから、同日午後0時34分に救急車を要請。なお、当該作業員に意識はあり、身体に放射性物質の付着はない。
【注目点】救急車で搬送されるほどの負傷だから、原因となった土嚢は手で持ち運べる小型のものではなく、1トン詰め以上の大型土嚢だったと想像されるが、記載がないので詳細は不明。大型土嚢の運搬や設置の際にはクレーンを使うことになる。吊り荷の安定のためには介錯ロープを使うことになっているが、吊り上げた土嚢を手で抑えようとして指を挟んだ状況が想像される。しかし、どのような状況での事故なのかも不明。吊り上げ作業については安全基準が細かく定められている。
この事故は「報道関係各位一斉メール」でも発表されたが、発表内容は日報と同様。
3号機格納容器ガス管理設備を停止。配管の鋼管化工事のため。今回の作業は1月18日午前9時31分開始
※2号機および3号機原子炉格納容器ガス管理設備については、当該設備の信頼性向上を目的に、配管の一部に使用しているフレキシブルチューブおよび樹脂製ホースの鋼管化作業を行っている。
なお、当該作業においては、必要に応じて設備の停止となるが、設備停止中は特定原子力施設に係る実施計画「III 特定原子炉施設の保安」(以下、「実施計画」という)第1編第24条の表24-1に定める運転上の制限「原子炉格納容器ガス管理設備の放射線検出器が1チャンネル動作可能であること」を満足しない状態となることから、実施計画第1編第32条第1項(保全作業を実施する場合)を適用し、計画的に運転上の制限外に移行して作業を実施。
3号機原子炉格納容器ガス管理設備については、フレキシブルチューブおよび樹脂製ホースの鋼管化作業のため、1月18日午前9時31分より実施計画第1編第32条第1項(保全作業を実施する場合)を適用し作業を開始。
【解説】原子炉格納容器ガス管理設備は放射性物質の放出を抑えるため、2011年10月に2号機から運用が始まった施設。1~3号機に設置されている。テンポラリーな(仮設の)施設であるためか、設置から4年が経過した2014年にはダクト破損が相次いだ。劣化しやすい樹脂製のダクト等の金属配管への置き換え作業が2014年から進められている。原子炉格納容器ガス管理設備については下記のリンクを参照してほしい。
1~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室、1号機所内ボイラー室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◎日報に新規事項の記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)運転中
・増設多核種除去設備運転中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクFから海洋排水を実施。排出量は802トン
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクFの分析結果[採取日2016年1月5日]については、運用目標値を満足していることを確認。2016年1月17日午前10時3分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、午前10時18分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
その後、同日午後3時39分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は802m3。
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクGから海洋排水を開始
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクGの分析結果[採取日2016年1月7日]については、運用目標値を満足していることを確認。(既出)
2016年1月18日午前10時39分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、午前10時55分に漏えい等の異常がないことを確認。
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクAからの排水準備が進む
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクAの分析結果[採取日2016年1月11日]については、運用目標値を満足していることを確認。
【注目点】サブドレン・地下水ドレンの海洋排水の頻度が上がっている。日報には、排水終了、排水開始、排水準備が発表され、ほぼ毎日排水が行われている。海側遮水壁閉合以降、4メートル盤の地下水位が上昇しているため、フル回転で排水を行う必要があるものと考えられる。
サブドレン・地下水ドレン 集水タンクの分析結果(1月7日採取分)
地下水バイパス
◎日報に新規事項の記載なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
1月17日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H4エリア周辺地下水【E-1】全ベータ濃度(単位:Bq/L)
採取日 1/9 1/10 1/11 1/12 1/13 1/14 1/15 1/16
E-1 9,100 9,100 9,300 9,900 9,000 9,600 9,500 8,700
浪江雨量(mm)0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 0.0
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H6エリア周辺地下水【G-1】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 1/9 1/10 1/11 1/12 1/13 1/14 1/15 1/16
G-1 200 180 170 160 150 110 120 130
浪江雨量(mm) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 0.0
H6エリア周辺地下水【G-2】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 1/9 1/10 1/11 1/12 1/13 1/14 1/15 1/16
G-2 290 240 300 260 270 310 190 270
浪江雨量(mm)0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 0.0
H6エリア周辺地下水【G-3】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 1/9 1/10 1/11 1/12 1/13 1/14 1/15 1/16
G-3 960 960 970 960 880 900 1,100 970
浪江雨量(mm) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 0.0
1~4号機タービン建屋東側
◎日報に新規事項の記載なし
地下貯水槽
◎日報に新規事項の記載なし
1~3号機放水路
◎日報に新規事項の記載なし
K排水路
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
最終更新: