11月17日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
高性能容器(HIC)に不良品。蓋のベント孔に不備
※11月16日、セシウム吸着塔一時保管施設第二施設に保管されている高性能容器(HIC)について、HIC蓋ベント孔に計測棒を差し込み、HIC蓋内の水位確認を実施していたところ、1基のHICにベント孔の数は設計通りであったものの、孔が貫通していないことを確認。今後、当該HIC蓋にベント孔を設置する作業を実施する。
なお、当該HICについては、内部水の溢水対策として蓋を解放して、水抜きを実施しており、その際に異常な加圧がないことを確認している。
【注目点】高性能容器(HIC)とは、最低300年は持つことが条件で米国で認証された放射性廃棄物の保管容器。
地下水バイパス揚水井のポンプが全台停止。午前4時過ぎに復旧
※11月16日午後11時56分、翌日に予定されている電源停止作業の準備作業として、地下水バイパス揚水ポンプを制御する電源のうち1系統の停止作業を実施したところ、通信の異常を知らせる警報が発生し、地下水バイパス揚水ポンプが全台停止。
その後、当該系統を元の状態に復帰させたところ、警報はクリアし、現場の設備にも異常がないことを確認したことから、本日午前3時9分から午前4時6分にかけて、地下水バイパス揚水ポンプを再起動。起動後の設備に異常はない。
全台停止した原因については、電源を停止した際に、通信異常の信号によりその他2系統の揚水ポンプが停止したものと判明。詳細を確認したところ、揚水ポンプが全台停止する設計となっており、今回の停止動作は正常な動作であった。当該系統以外の揚水ポンプが停止するという認識に至っていなかったことから、今後再発防止策を検討する。
1~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◎日報に新規事項の記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン
◎日報に新規事項の記載なし
地下水バイパス
◎日報に新規事項の記載なし(上記のように、16日23時56分、揚水ポンプが全台停止のトラブルが発生している)
地下水バイパス 海洋排出の準備進む(通算90回目)
地下水バイパス 揚水井No.10分析結果(11月12日採取分)
※東京電力、第三者機関(日本分析センター)のいずれも2,000Bq/L
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
11月16日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H4エリア周辺地下水【E-1】全ベータ濃度(単位:Bq/L)
採取日 11/8 11/9 11/10 11/11 11/12 11/13 11/14 11/15
E-1 3,700 3,300 3,800 4,200 3,300 4,100 4,000 3,800
浪江雨量(mm)7.5 8.5 5.0 0.0 0.0 0.0 44.5 4.0
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H6エリア周辺地下水【G-1】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 11/8 11/9 11/10 11/11 11/12 11/13 11/14 11/15
G-1 160 230 150 ND(130) ND(110) 200 180 120
浪江雨量(mm) 7.5 8.5 5.0 0.0 0.0 0.0 44.5 4.0
H6エリア周辺地下水【G-2】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 11/8 11/9 11/10 11/11 11/12 11/13 11/14 11/15
G-2 430 590 2,000 3,300 1,000 390 370 2,600
浪江雨量(mm)7.5 8.5 5.0 0.0 0.0 0.0 44.5 4.0
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