11月4日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
1~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◎日報に新規事項の記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・RO淡水化装置RO-2は停止、RO-3は運転中。
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクDから海洋排水を停止。排出量は630トン
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクDの当社および第三者機関による分析結果[採取日10月25日]については同等の値であり、運用目標値を満足していることを確認。11月3日午前10時に海洋への排水を開始。なお、排水状況については、午前10時16分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
その後、午後2時20分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は630m3。
地下水バイパス 通算88回目の海洋排水を開始
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ1の当社および第三者機関による分析結果[採取日10月22日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認したことから、11月4日午前9時59分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、午前10時4分に漏えい等の異常がないことを確認。
地下水バイパス揚水井分析結果(11月2日採取分)
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
11月3日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H4エリア周辺地下水【E-1】全ベータ濃度(単位:Bq/L)
採取日 10/27 10/28 10/29 10/30 10/31 11/1 11/2
E-1 2,800 3,000 3,100 2,300 2,800 2,300 3,100
浪江雨量(mm) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 18.5
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H6エリア周辺地下水【G-1】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 10/27 10/28 10/29 10/30 10/31 11/1 11/2
G-1 1,000 620 360 610 270 340 260
浪江雨量(mm) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 18.5
H6エリア周辺地下水【G-2】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 10/27 10/28 10/29 10/30 10/31 11/1 11/2
G-2 600 560 570 650 540 470 570
浪江雨量(mm) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 18.5
1~4号機タービン建屋東側 地下水観測孔No.2-5の全ベータ値が上昇。モニタリング強化へ
<最新のサンプリング実績>
11月2日に採取した護岸地下水の分析結果のうち、地下水観測孔No.2-5の全ベータ値について、前回値(10月5日採取)は930Bq/Lだったが、130,000Bq/Lに上昇していることを確認した。
また、11月3日に当該観測孔の水を再採取し分析した結果は96,000Bq/Lであり、前回値より低下しているものの、同等の値であることを確認した。
この分析結果から、今後は当該観測孔の測定頻度を1回/月から1回/週に変更し、モニタリングを強化していく。
なお、当該以外の観測孔における分析値については、前回値と比較して有意な変動は確認されていない。
また、港湾内の分析結果についても、前回値と比較して有意な変動がないことを確認している。
1~4号機タービン建屋東側 地下水観測孔No.1で全ベータが、No.1-17でマンガン-54が過去最高値
<過去最高値>地下水観測孔No.1
全ベータ:10,000Bq/L(2015.11.3)
これまでの最高値:9,300Bq/L(2015.10.27)
<過去最高値>地下水観測孔No.1-17
マンガン54:0.71Bq/L(2015.11.3)
これまでの最高値:0.62Bq/L(2015.10.27)
【注目点】地下水観測孔No.1-17でマンガン-54が初めて検出されたのは10月16日採取分。マンガン-54は鉄に中性子を照射することでできる放射化生成物。原子炉内では原子炉内の一次冷却水に含まれる鉄からも生成される。半減期は短めで312日。微量とはいえ原子炉内で生成される物質が検出されたことは注目される。タービン建屋東側全体でのこれまでの最高値は地下水観測孔No.1-6での「700Bq/L(2014.10.13)」
ページ下に原子力資料情報室の「原発きほん知識」へのリンクを紹介した。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
1~3号機放水路
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
K排水路
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
【注目点】10月後半の降雨が少なかったためか、K排水路の放射能は低い水準で推移してきたが、11月3日採取分では、セシウム134、全ベータが「ND」からそれぞれ7.0、57へ上昇した。またセシウム137も前日の7.0から32に上昇。11月2日に降雨(原発から約10kmの浪江のアメダスで18.5mm)があった影響ということなのだろうか。雨で水流が強くなる、あるいは周辺からの泥水の流入が増えると、流れる水の汚染度が急上昇するというK排水路の特性が現れている。K排水路の本設工事の終了後には、K排水路の水は、C排水路を経由して、港湾内にダイレクトに流されることになるが、大丈夫なのだろうか。
関連データ(東京電力以外のサイト)
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