9月16日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
※ 情報を追加して更新します
H6タンクエリア内堰から漏洩した水のトリチウム濃度
※H6タンクエリアにおける内堰から雨水の漏えいについて
<漏えいした水の分析結果:H6タンクエリア内堰内の雨水>
・セシウム134:検出限界値(0.64Bq/L)未満
・セシウム137:1.7Bq/L
・全ベータ:300Bq/L
・トリチウム:検出限界値(92Bq/L)未満
H4タンクエリア内堰から漏洩した水のトリチウム濃度は最高で740ベクレル
※H4北タンクエリア内堰からの漏えいについて、内堰内、外堰内、および漏えい箇所近傍(内堰内)から採取した水のストロンチウム90の分析結果について
<H4北タンクエリア内堰内水>
・ストロンチウム90:620 Bq/L
<H4北タンクエリア外堰内水>
・ストロンチウム90:310 Bq/L
<漏えい箇所近傍(内堰内)から採取した水>
・ストロンチウム90:740 Bq/L
【重要】H4エリア内堰から漏洩した水を「核燃料物質等により汚染された水」と判断
H4北タンクエリア内堰から漏えいした水については、同エリアに設置している汚染水タンク等からの漏えいは確認されていないことから、同エリア内堰内に雨水が溜まったものではあるが、2013年8月19日に発生した「福島第一原子力発電所汚染水貯留設備RO濃縮水貯槽からの漏えい」によって同エリアには汚染が残存※しており、その影響で同エリア内堰内に溜まった雨水の放射能濃度も高くなっていることから、漏えいした水は「核燃料物質等により汚染された水」に該当すると判断。
※2013年8月19日の漏えい事象発生後に、H4北タンクエリア内の床面洗浄・塗装は実施しているものの、タンク底部の床面には汚染が残存している状況。
また、漏えい箇所近傍(内堰内)から採取した水の放射性物質の濃度(告示濃度限度に対する割合の和)は「25」であり、実施計画にて定めた排水基準(0.22)を超えていることから、9月15日午後8時17分に核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第62条の3に基づき制定された、東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則第18条第12号「発電用原子炉施設の故障その他の不測の事態が生じたことにより、核燃料物質等(気体状のものを除く)が管理区域内で漏えいしたとき」に該当すると判断。
※ 非常に重要な記事。東京電力の対応が一歩前進した印象がある。これまで雨水由来の水は汚染されていても雨水としてハンドリングすることが見られた東京電力が、汚染された水、つまり「汚染水」と判断した。汚染の元となっているのが「タンク底部の床面」と推定した点も高く評価できる。次の課題は、除染が出来ないそのような場所の汚染をどうするかに移るだろう。
3号機タービン建屋で漏洩警報。3号機建屋内を通る2号機からの滞留水移送を停止。漏洩警報の原因は天井から結露水と判断。滞留水移送は協議の上再開の予定
※3号機タービン建屋において、9月16日午前2時3分、漏えい検知器が動作したことを示す「♯3T/Bポンプ出口弁スキッドB漏洩検知」の警報が発生。
警報発生時において、2号機各建屋から集中廃棄物処理施設高温焼却炉建屋への移送を行っていたが、移送配管が3号機タービン建屋を通っていることから、以下の通り滞留水移送を停止。
・午前2時20分:2号機原子炉建屋 → 集中廃棄物処理施設高温焼却炉建屋
・午前2時21分:2号機タービン建屋 → 集中廃棄物処理施設高温焼却炉建屋
・午前2時21分:2号機廃棄物処理建屋 → 集中廃棄物処理施設高温焼却炉建屋
その後、午前2時54分に現場状況を確認した結果、滞留水移送配管からの漏えいはないこと、および当該漏えい検知器付近の天井から結露水と思われる滴下があることを確認。
このため、当該漏えい検知器の動作は結露水の影響によるもの判断。
その後、午前3時11分、当該漏えい検知器周辺に溜まった結露水の拭き取りを行い、「♯3T/Bポンプ出口弁スキッドB漏洩検知」の警報はクリア。
なお、2号機各建屋からの滞留水移送については、今後、協議した上で再開する予定。
※ サブドレンからの地下水汲み上げが行われているため、建屋内滞留水の水位が地下水位を超えると、汚染水が地下水に逆流する危険がある。9月16日9時現在の2号機タービン建屋水位は3,286mm。サブドレンの水位は8月分のデータしか発表がないが、8月31日のデータで6,975mmから8,667mmとなっている。
1号機 タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を実施→停止
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
・1号機タービン建屋地下→1号機廃棄物処理建屋へ高濃度滞留水の移送実施(2015年9月15日午前6時2分~午前10時58分)
※ 建屋地下からの滞留水移送は4時間56分実施の後、停止中
2~6号機
新規事項なし(2号機・3号機建屋地下からの滞留水移送は、上記のように3号機の漏洩警報のため停止している)
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス 通算81回目の海洋排水を開始
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による分析結果[採取日9月2日]については同等の値であり、(既出)
ともに運用目標値を満足していることから、9月16日午前10時5分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、午前10時21分に漏えい等の異常がないことを確認。
地下水バイパス 揚水井No.10のトリチウム、第三者分析で2,200ベクレル
東京電力の分析では前回と同じ2,000Bq/L
上昇傾向にあると考えられる揚水井No.9のサンプル測定結果は発表されず。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
9月15日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H4エリア周辺地下水【E-1】全ベータ濃度(単位:Bq/L)
採取日 9/8 9/9 9/10 9/11 9/12 9/13 9/14
E-1 37,000 37,000 40,000 ※ 35,000 37,000 33,000
浪江雨量(mm) 40.5 79.5 39.0 93.5 0.0 0.0 0.0
H4エリア周辺地下水【E-2】全ベータ濃度(単位:Bq/L)
採取日 9/8 9/9 9/10 9/11 9/12 9/13 9/14
E-2 ND(17) ★★ ※ 200 360 170
浪江雨量(mm) 40.5 79.5 39.0 93.5 0.0 0.0 0.0
※ 悪天候により採取中止
★ 降雨による冠水のため採取出来ず
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H6エリア周辺地下水【G-1】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 9/7 9/8 9/9 9/10 9/11 9/12 9/13 9/14
G-1 3,400 2,300 170 3,300 ※ 2,900 2,600 2,400
浪江雨量(mm) 35.5 40.5 79.5 39.0 93.5 0.0 0.0 0.0
H6エリア周辺地下水【G-2】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 9/7 9/8 9/9 9/10 9/11 9/12 9/13 9/14
G-2 5,700 550 190 130 ※ 200 1,300 730
浪江雨量(mm) 35.5 40.5 79.5 39.0 93.5 0.0 0.0 0.0
※ 悪天候により採取中止
1~4号機タービン建屋東側
新規事項なし
サブドレン・地下水ドレン 9月15日実施の港湾への排水量は817トン
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクBの分析結果[採取日8月19日]が当社および第三者機関による分析結果が同等の値であり、運用目標値を満足していることを確認したことから、9月15日10時6分に海洋への排水を開始。(既出)
なお、排水状況については、10時22分に漏えい等の異常がないことを確認。その後、午後3時44分、海洋への排水を停止。午後4時18分に排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は817m3。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~3号機放水路
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
K排水路の状況
新規事項なし
関連データ(東京電力以外のサイト)
最終更新: