9月15日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
※ 情報を追加して更新します
H6タンクエリアでも内堰からの漏洩。5センチ幅1カ所と1センチ幅2カ所
※H6タンクエリアにおける内堰から雨水の漏えいについて
・9月14日午後5時35分頃、H6タンクエリアにおいて、内堰から雨水が漏えいしていることをタンクパトロール中の協力企業作業員が発見した。漏えい箇所は、配管貫通部1箇所と鋼鉄製の堰の平板と平板を接続する補強用の鋼材との接合部2箇所の計3箇所。
・漏えい状況は、配管貫通部1箇所については約5cmの幅で、鋼鉄製の堰の平板と平板を接続する補強用の鋼材との接合部2箇所については約1cmの幅で、それぞれ壁伝いに流れている状況。なお、外堰の排水弁は9月13日より閉止しており、外堰から外部への漏えいはない。
・9月14日午後6時30分頃より止水剤による止水作業開始、午後8時8分に内堰内の水の移送を開始(→H4北内タンク)。午後11時00分 漏えいが「にじみ」まで低減していることを確認。
・9月15日午前7時25分頃、雨水漏えいが確認された3箇所において、漏えいが停止していることを確認。
<漏えいした水の分析結果:H6タンクエリア内堰内の雨水>
・セシウム134:検出限界値(0.64Bq/L)未満
・セシウム137:1.7Bq/L
・全ベータ :300Bq/L
報道関係各位一斉メールでは漏洩を止めるための措置についてより詳しい発表がある。その部分を以下に引用する。
福島第一原子力発電所H6タンクエリアにおける内堰からの雨水の漏えいについての続報です。
本件を受け、昨日(9月14日)から本日(9月15日)にかけて以下の措置を行いました。
・H6タンクエリア外堰内に溜まっている雨水について、午後7時25分から吸水マットにより回収を行い、午後9時39分に完了。
・H6タンクエリア内堰内に溜まっている雨水について、午後8時8分より9月15日午前1時12分まで、H4北タンクエリア内のタンクに移送実施。
・漏えいを確認した3箇所について、止水措置を行い、3箇所とも漏えいは数秒に一滴程度になったことを確認。漏えい箇所には、漏えい水の拡大防止のため吸水マットを設置。
9月15日午前7時25分頃、現場確認を実施した当社社員が内堰からの雨水の漏えいが確認された3箇所において、漏えいが停止していることを確認しました。
(以下略:内堰内から採取した水の分析結果)
漏洩時の状況がよく分からないが、漏れでた水の量についての発表が待たれる。
9月6日から11日かけての降雨の影響で、タンクエリアの多くの場所で同様の漏洩が発生している。鋼鉄製の内堰には継ぎ目に脆弱な部分があることは間違いなさそうだ。コーキング剤に劣化がないかどうかも気になるところ。さらに、東京電力は漏洩は外堰内に食い止められているとしているものの、堰内のコンクリート版に亀裂等はないのかなど不安は広がる。
タンクエリアの再点検と、堰内を除染する方法についての検討も当然求められている。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
2号機 タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を停止
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水の移送実施(2015年9月11日午後4時58分~9月15日午前5時39分)
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
3号機 タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を停止
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水の移送実施(2015年9月14日午前10時14分~9月15日午前5時32分)
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
4~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 セシウム吸着装置を運転
・セシウム吸着装置運転中
その他の項目に新規事項なし
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス 海洋排出の準備進む(通算81回目)
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による分析結果[採取日9月2日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。
※ 上記には新規事項としての下線は付されていない
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
9月14日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
記載の内容が変わる。これまでは、高線量当量率箇所の確認についての記載もあった。下に昨日分を例として引用する。
「9月13日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、堰床部に溜まっている雨水の影響により70μm線量当量率の測定を一部実施できないところを除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)において異常がないことを確認。」
※ 大幅にスリム化されたことが分かる。相次ぐタンクエリアの堰からの漏洩と、このタイミングでの記載内容の変更とは関連があるのだろうか?
H4エリア 100ミリ近い雨から2日目、E-1、E-2とも全ベータは上昇
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H4エリア周辺地下水【E-1】全ベータ濃度(単位:Bq/L)
採取日 9/8 9/9 9/10 9/11 9/12 9/13
E-1 37,000 37,000 40,000 ※ 35,000 37,000
浪江雨量(mm) 40.5 79.5 39.0 93.5 0.0 0.0
H4エリア周辺地下水【E-2】全ベータ濃度(単位:Bq/L)
採取日 9/8 9/9 9/10 9/11 9/12 9/13
E-2 ND(17) ★★ ※ 200 360
浪江雨量(mm) 40.5 79.5 39.0 93.5 0.0 0.0
※ 悪天候により採取中止
★ 降雨による冠水のため採取出来ず
H6エリア G-2のトリチウムが1,300ベクレルに上昇
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H6エリア周辺地下水【G-1】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 9/7 9/8 9/9 9/10 9/11 9/12 9/13
G-1 3,400 2,300 170 3,300 ※ 2,900 2,600
浪江雨量(mm) 35.5 40.5 79.5 39.0 93.5 0.0 0.0
H6エリア周辺地下水【G-2】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 9/7 9/8 9/9 9/10 9/11 9/12 9/13
G-2 5,700 550 190 130 ※ 200 1,300
浪江雨量(mm) 35.5 40.5 79.5 39.0 93.5 0.0 0.0
※ 悪天候により採取中止
1~4号機タービン建屋東側 地下水観測孔No.1でマンガン-54と全ベータが過去最高値
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<過去最高値>地下水観測孔No.1
マンガン-54:0.97Bq/L(2015.09.14)
過去最高値:0.68Bq/L(2015.09.10)
<過去最高値>地下水観測孔No.1
全ベータ:6,000Bq/L(2015.09.14)
過去最高値:4,700Bq/L(2015.09.10)
※ 鉄が中性子を受けて生成される放射化生成物であるマンガン-54については、記事末尾にリンクを紹介
サブドレン・地下水ドレン 9月14日実施の港湾への排水量は838トン。排水前と排水中の港湾周辺のサンプリング検査結果を発表。濃度上昇は見られない
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクAの分析結果[採取日8月19日]が当社および第三者機関による分析結果が同等の値であり、運用目標値を満足していることを確認したことから、9月14日午前10時1分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、午前10時23分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
午後3時47分、海洋への排水を停止。午後4時6分、排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は838m3。
サブドレン・地下水ドレン 9月15日の排水を10時6分に開始
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクBの分析結果[採取日8月19日]が当社および第三者機関による分析結果が同等の値であり、運用目標値を満足していることを確認したことから、(既出)
9月15日10時6分に海洋への排水を開始。
サブドレン・地下水ドレンは連続的に運用されることになるのか? 高濃度の汚染水が混入するリスクのある海側サブドレンや地下水ドレンからの汲み上げ水での運用が始まった後、そして処理施設に何らかのトラブルが発生した際の対応に要注目。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~3号機放水路
新規事項なし
K排水路の状況 前日の分析結果よりも低下
<最新のサンプリング実績>
今回採取した測定結果については、セシウム134、セシウム137、および全ベータの値が、前日の分析結果よりも低下していることを確認。引き続き、継続監視を行う。
関連データ(東京電力以外のサイト)
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