9月11日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
※ 情報を追加して更新します
H5タンクエリアの内堰継ぎ目から雨水漏洩の続報:H5タンクエリア内堰および外堰内水のトリチウム分析結果
H5タンクエリア内堰および外堰内水のトリチウム分析結果
<H5タンクエリア内堰内水>
・トリチウム:検出限界値(91 Bq/L)未満
<H5タンクエリア外堰内水>
・トリチウム:検出限界値(91 Bq/L)未満
<C西エリア内堰内水>
・トリチウム:検出限界値(93 Bq/L)未満
<C東エリア内堰内水>
・トリチウム:検出限界値(93 Bq/L)未満
<Cタンクエリア外堰内水>
・トリチウム:検出限界値(93 Bq/L)未満
H4タンクエリアの内堰継ぎ目から雨水が外堰に漏洩
※H4北タンクエリアにおいて、9月11日午後0時10分頃、同タンクエリアに設置された内堰から雨水が漏えいしていることを発見。漏えい状況は、鉛筆1本程度であり、同タンクエリアの外堰の排水弁については、「閉」状態であることを確認。その後、同日午後2時12分に、コーキング材による止水処理を実施し、漏えいが停止。H4北タンクエリア外堰内に溜まっている雨水については、H4タンクエリア内堰内に移送する。
※ タンクエリアに設置されている二重の堰の内側から外側への漏洩が相次いでいる。連日の大量の降水で堰内の水位が上がったことが一因と見られるが、堰の破損(コーキング材の劣化などか)は多くの場所で起きているおそれがありそうだ。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
2号機 タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送先を切り替え(移送先は高温焼却炉建屋→プロセス主建屋)
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年9月9日午後1時39分~9月10日午後2時29分)
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送実施中(2015年9月10日午後3時12分~)
※ タービン建屋地下滞留水の移送は実施中
2号機タービン建屋で漏洩警報:原因は雨水と思われる滴下で、滞留水設備からの漏えいではないと判断
・2号機タービン建屋で、2015年9月11日午前8時17分、漏えい検知器が作動したことを示す「#2T/Bポンプ出口弁スキッドA漏えい検知」の警報が作動し、午前8時19分、タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設プロセス主建屋への滞留水移送を停止。午前9時6分に現場の状況を確認し、当該漏えい検知器の動作については雨水と思われる滴下が原因であり、滞留水設備からの漏えいによるものではないと判断し、午前9時27分、溜まり水について拭き取りを行い、警報はクリアした。
なお念のため、以下の滞留水移送を一時停止したが、警報のクリアとともに移送を再開した。
2号機原子炉建屋→集中廃棄物処理施設プロセス主建屋(9月11日午前8時23分~同日午前9時46分)
2号機廃棄物処理建屋→集中廃棄物処理施設プロセス主建屋(9月11日午前8時25分~同日午前9時46分)
3号機 タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送先を切り替え(移送先は高温焼却炉建屋→プロセス主建屋)
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年9月9日午後1時39分~9月10日午後2時29分)
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送実施中(2015年9月10日午後3時12分~)
※ タービン建屋地下滞留水の移送は実施中
3号機でもタービン建屋滞留水の移送を一時停止。2号機の漏洩警報で
なお念のため、以下の滞留水移送を一時停止したが、警報のクリアとともに移送を再開した。
3号機タービン建屋→集中廃棄物処理施設プロセス主建屋(9月11日午前8時26分~同日午前9時46分)
4~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備運転中
サブドレン・地下水ドレン 第1回目の浄化水分析結果を発表:中間過程の分析結果は公表されず、海洋排出直前のタンクの分析結果のみ。データ公開の方針がまだ定まっていないのか?
比較的汚染が少ないと考えられる山側サブドレンから汲み上げた地下水の第一回目の分析結果発表。セシウム-134、セシウム-137、全ベータは検出限界未満ながら、トリチウム(H3)は1リットルあたり460ベクレル。
サブドレン・地下水ドレンでは、井戸から汲み上げた水を「中継タンク」→「集水タンク」→「浄化設備」→「一時貯水タンク」→「海洋排出」の流れで処理する。分析結果が公開されているページには「中継タンク」「集水タンク」での分析結果の欄も設定されているが、ここで発表されたのは処理後の水の分析結果だけだった。
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
9月10日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、堰床部に溜まっている雨水の影響により70μm線量当量率の測定を一部実施できないところを除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)において異常がないことを確認。
H4エリア E-1は37,000ベクレル。E-2は冠水のため採取出来ず
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H4エリア周辺地下水【E-1】全ベータ濃度(単位:Bq/L)
採取日 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7 9/8 9/9
E-1 44,000 41,000 34,000 25,000 46,000 37,000 37,000
浪江雨量(mm) 1.5 1.0 0.0 36.5 35.5 40.5 79.5
※ E-2は「降雨による冠水のため採取出来ず」と記された
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H6エリア周辺地下水【G-1】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 9/1 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7 9/8 9/9
G-1 560 300 330 1,900 3,300 3,400 2,300 170
浪江雨量(mm) 1.5 1.5 1.0 0.0 36.5 35.5 40.5 79.5
※数値が大きく低下
H6エリア周辺地下水【G-2】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 9/1 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7 9/8 9/9
G-2 160 750 1,600 2,600 800 5,700 550 190
浪江雨量(mm) 1.5 1.5 1.0 0.0 36.5 35.5 40.5 79.5
※G-1同様、低下
1~4号機タービン建屋東側 地下水観測孔No.1でマンガン-54と全ベータが過去最高値。港湾内北側ではセシウム-137が過去最高値
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<過去最高値>地下水観測孔No.1
マンガン-54:0.68Bq/L(2015.09.10)
過去最高値:0.48Bq/L(2015.08.27)
<過去最高値>地下水観測孔No.1
全ベータ:4,700Bq/L(2015.09.10)
過去最高値:4,000Bq/L(2015.09.03)
※ 鉄が中性子を受けて生成される放射化生成物であるマンガン-54については、記事末尾にリンクを紹介
<過去最高値>港湾内北側
セシウム-137:11Bq/L(2015.09.10)
過去最高値:9.2Bq/L(2015.09.09)
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~3号機放水路
新規事項なし
K排水路の状況 また汚染雨水が海へ。もはや処置なしか
※K排水路の排水については、同排水路内に堰を設けて、移送ポンプを設置し港湾内に繋がるC排水路へ移送しているが、9月11日、K排水路に設置したカメラ映像を確認したところ、降雨の影響により、午前3時3分から午前4時20分および午前5時20分から午前5時50分、また午前6時13分から午前7時7分の間で雨水が堰を乗り越え、外洋側へ一部排水されていることを確認。その後は、K排水路内の雨水は全てC排水路に移送しており、外洋への排水はなし。
関連データ(東京電力以外のサイト)
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