2015年9月10日 今日の東電プレスリリース

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K排水路排水口で、またの堰からの越流による海洋への漏洩が発生。対策はどうなっているのか?

※ 情報を追加して更新します

9月10日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。

「日報」に登場する主な施設(Google Mapに加筆)
「日報」に登場する主な施設(Google Mapに加筆)
 福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年9月10日
www.tepco.co.jp  
【まとめ】今日の東電プレスリリース「ここがポイント」
 【まとめ】今日の東電プレスリリース「ここがポイント」
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H5タンクエリアの内堰継ぎ目から雨水漏洩の続報:漏洩水のセシウム濃度は低めながら、全ベータは高めの数値

※9月9日午前10時40分頃、タンクパトロール中の当社社員が、H5タンクエリアに設置された内堰の北東側の継ぎ目から雨水が漏えいしていることを発見した。このため同日午前10時45分、H5タンクエリア外堰の排水弁を閉にし、H5タンクエリア堰内に溜まっている雨水については同日午前11時24分にH6タンクエリア堰内への移送を開始。また、当該の漏えい箇所については、土嚢を設置。
 H5タンクエリアに設置された内堰の継ぎ目からの漏えいについては、漏えい当初はえんぴつの芯2本分の漏えいであったが、暫定処置として継ぎ目に詰め物を行い、1秒に2滴程度で土嚢に替えてドレンパンで受けているため、現在堰外への流出はない。なお、当該エリアに設置されているタンクの水位に変動が無いこと、およびB・C排水路の連続側溝モニタにおいて有意な変動が無いことを確認。(既出)

 その後、漏えい箇所にコーキング処置を行い、同日午後8時55分に漏えいが停止。また、外堰に溜まった雨水の回収を実施。
H5タンクエリア内堰および外堰内の雨水の分析結果
<H5タンクエリア内堰内の雨水>
 ・セシウム134:検出限界値(0.58 Bq/L)未満
 ・セシウム137:検出限界値(0.73 Bq/L)未満
 ・全ベータ  :34 Bq/L
<H5タンクエリア外堰内の雨水>
 ・セシウム134:検出限界値(0.92 Bq/L)未満
 ・セシウム137:検出限界値(0.80 Bq/L)未満
 ・全ベータ  :13 Bq/L
 内堰からの漏えい量については、同日午前7時40分のパトロールにおいて漏えいが無いことを確認しており、それ以降に当該箇所から漏えいが発生、当該箇所の漏えい拡大防止処置が完了した同日午後0時まで漏えいが継続したと仮定し、約63L(鉛筆芯2本程度(14.4L/h)で漏えいが継続していたと仮定)と算出。
 なお、外堰の排水弁については、H5タンクエリア外堰の分析結果が排水路の通常の降雨時の値より低い値であったことなどから、同日午後10時58分に「開」とした。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年9月10日

またしても構内で死亡事故。入退域管理棟2階のトイレで見つかった協力企業作業員の死亡を確認

※9月9日午後12時45分頃、入退域管理棟2階のトイレにて、協力企業作業員が意識不明の状態で発見されたため、同日午後12時56分に救急車を要請。当該作業員は同日午後12時57分に入退域管理棟救急医療室へ入室したが、心肺停止の状態だった。その後、同日午後1時32分に救急車にて出発し、いわき市立総合磐城共立病院に向かう。(既出)

当該作業員については、同日午後3時10分に搬送先の病院にて死亡が確認された。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年9月10日

C東エリアA1タンク、C西エリアB1タンクで配管の内堰貫通部分から雨水が漏洩の続報:ここでも漏洩水の全ベータが高濃度

※9月9日午後5時38分頃、タンクパトロール中の協力企業作業員が、C東エリアA1タンクに接続している配管と内堰との貫通部から雨水が出ていること、およびC西エリアB1タンクに接続している配管と内堰との貫通部から雨水が出ていることを発見。その後、同日午後6時28分に当社社員が当該箇所を確認し、内堰の貫通部から外堰内への漏えいであると判断。外堰の排水弁については、同日午後4時頃に「閉」状態としていた。
 内堰から外堰への漏えいについては、発見当初それぞれ鉛筆1本分の漏えい。
 C西エリア内堰に溜まっている雨水については同日午後7時4分、C東エリア内堰に溜まっている雨水については同日午後7時8分、H5エリアへ移送を開始。
 雨水の移送によって、貫通部の高さよりも水位が下がり、C東エリアは同日午後8時20分、C西エリアについては同日午後10時7分に漏えいが停止。
 その後、漏えい箇所にコーキング処置を実施。また、外堰に溜まった雨水の回収を実施。
 Cタンクエリア(C東エリアおよびC西エリア)内堰および外堰内の雨水の分析結果
<C東エリア内堰内の雨水>
 ・セシウム134:検出限界値(0.59 Bq/L)未満
 ・セシウム137:検出限界値(0.71 Bq/L)未満
 ・全ベータ  :30 Bq/L
<C西エリア内堰内の雨水>
 ・セシウム134:検出限界値(0.60 Bq/L)未満
 ・セシウム137:検出限界値(0.72 Bq/L)未満
 ・全ベータ  :25 Bq/L
<Cタンクエリア外堰内の雨水>
 ・セシウム134:検出限界値(0.70 Bq/L)未満
 ・セシウム137:1.1 Bq/L
 ・全ベータ  :44 Bq/L
 なお、外堰の排水弁については、Cタンクエリア外堰内の雨水の分析結果が排水路の通常の降雨時の値より低い値であったことなどから、9月10日午前10時2分に「開」とした。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年9月10日

1~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中

※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中

◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年9月9日午後1時39分~)

※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中

◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年9月9日午後1時39分~)

※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中

◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。

◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備運転中

地下水バイパス 通算80回目の海洋排水を完了 排出量は2,095トン

※地下水バイパス一時貯留タンクグループ3の当社および第三者機関による分析結果[採取日8月27日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。9月9日午前10時3分より海洋への排水を開始。同日午前10時10分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)

同日午後6時25分に排水を停止。排水停止状態に異常のないことを確認。排水量は2,095m3。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年9月10日

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

 9月9日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、堰床部に溜まっている雨水の影響により70μm線量当量率の測定を一部実施できないところを除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)において異常がないことを確認。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年9月10日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
 前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年9月10日

 福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果について (H4エリア周辺)|東京電力 平成27年9月10日
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H4エリア周辺地下水【E-1】全ベータ濃度(単位:Bq/L)
採取日 9/1 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7 9/8
E-1 41,000 44,000 41,000 34,000 25,000 46,000 37,000
浪江雨量(mm) 1.5 1.5 1.0 0.0 36.5 35.5 40.5

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
 前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年9月10日

 福島第一原子力発電所構内H6エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果について (H6エリア周辺)|東京電力 平成27年9月10日
www.tepco.co.jp  

H6エリア周辺地下水【G-1】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 8/31 9/1 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7 9/8
G-1 400 560 300 330 1,900 3,300 3,400 2,300
浪江雨量(mm) 7.0 1.5 1.5 1.0 0.0 36.5 35.5 40.5

H6エリア周辺地下水【G-2】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 8/31 9/1 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7 9/7
G-2 270 160 750 1,600 2,600 800 5,700 550
浪江雨量(mm) 7.0 1.5 1.5 1.0 0.0 36.5 35.5 40.5

1~4号機タービン建屋東側 地下水観測孔No.2-3のトリチウム、地下水観測孔No.2-8の全ベータ、港湾内のセシウム-137で過去最高値

<最新のサンプリング実績>
 前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年9月10日

 福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果|東京電力 平成27年9月10日
www.tepco.co.jp  
福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果|東京電力 平成27年9月10日
福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果|東京電力 平成27年9月10日

<過去最高値>地下水観測孔No.2-3
トリチウム(H3):1,900Bq/L(2015.09.06)
 これまでの最高値:1,800Bq/L(2015.02.15)

<過去最高値>地下水観測孔No.2-8
全ベータ:6,500Bq/L(2015.09.09)
 これまでの最高値:6,400Bq/L(2015.06.03)

<過去最高値>3,4号機ウェルポイント汲み上げ水
アンチモン-125:2.2Bq/L(2015.09.09)
 これまでの最高値:1.1Bq/L(2015.07.01)

※ アンチモン-125は原子炉内にしか存在しない核種とされる。東京電力は2014年12月3日に2号機山側のサブドレンNo.20で47Bq/Lが検出された際、フォールアウト(原子炉建屋の爆発時の死の灰)によるものと説明した経緯がある。(→ IWJ Independent Web Journal 当記事末尾にリンクで紹介)

福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果|東京電力 平成27年9月10日
福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果|東京電力 平成27年9月10日

<過去最高値>港湾内東側
セシウム-137:9.1Bq/L(2015.09.09)
 これまでの最高値:9.0Bq/L(2013.10.17)

<過去最高値>港湾内西側
セシウム-137:12Bq/L(2015.09.09)
 これまでの最高値:10Bq/L(2013.12.24)

<過去最高値>港湾内北側
セシウム-137:9.2Bq/L(2015.09.09)
 これまでの最高値:8.4Bq/L(2013.12.02)

<過去最高値>港湾内南側
セシウム-137:8.6Bq/L(2015.09.09)
 これまでの最高値:8.5Bq/L(2015.09.07)

地下貯水槽

<最新のサンプリング実績>
 前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年9月10日

 地下貯水槽 分析結果(2015年9月9日分)
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1~3号機放水路

新規事項なし

K排水路の状況 またも堰からの越流による海洋への漏洩が発生:「福島第一原子力発電所 K排水路排水口放射能分析結果」10日付の発表も、報道関係各位一斉メールも、報道配布資料での発表も23時現在なし。情報公開の姿勢を疑われても仕方がない状況

※K排水路の排水については、同排水路内に堰を設けて、移送ポンプを設置し港湾内に繋がるC排水路へ移送しているが、9月9日、K排水路に設置したカメラ映像を確認したところ、降雨の影響により、午前0時28分から午前2時34分および午前3時58分から午前4時24分の間で雨水が堰を乗り越え、外洋側へ一部排水されていることを確認。その後は、K排水路内の雨水は全てC排水路に移送しており、外洋への排水はなし。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年9月10日

<最新のサンプリング実績>
 前日の分析結果と同様に降雨の影響により上昇した値が継続しているが、過去の変動範囲内に収まっている。引き続き、継続監視を行う。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年9月10日

※ 日報への記載のみで、「福島第一原子力発電所 K排水路排水口放射能分析結果」10日付の発表も、報道関係各位一斉メールも、報道配布資料での発表も23時現在なし。情報公開の姿勢を疑われても仕方がない状況

関連データ(東京電力以外のサイト)

 [浪江]2015年9月(日ごとの値)主な要素 | 気象庁|過去の気象データ検索
www.data.jma.go.jp  

【福島第一原発から約10kmに位置する気象庁のアメダス「浪江」の気象データ】

9月10日の降水量合計は39.0mm  1時間最大降水量は15.0mm  10分間最大は5.5mm
 気温は最高 24.3℃、最低 21.1℃ 日照時間 0.0
 最大風速 4.9 東南東 最大瞬間風速 9.8 東南東
9月9日の降水量合計は79.5mm  1時間最大降水量は19.5mm  10分間最大は6.0mm
 気温は最高 23.1℃、最低 18.1℃ 日照時間 0.0
 最大風速 5.5 北東 最大瞬間風速 12.1 東北東
9月8日の降水量合計は40.5mm  1時間最大降水量は4.0mm  10分間最大は1.0mm
 気温は最高 19.0℃、最低 18.1℃ 日照時間 0.0
 最大風速 3.9 北北西 最大瞬間風速 7.9 北

●最大風速とは10分間の風速の平均値である平均風速のうち、その日最大のもの。瞬間最大風速は、文字通り瞬間ごとの風速の最大値。
●●10分間の平均風速が10メートルを超える場合には、クレーン作業など屋内作業を停止しなければならない場合がある。

◇ 2014年12月3日に2号機山側サブドレンNo.20から採取した地下水にアンチモン-125が検出された件での東京電力の会見記事(IWJ Independent Web Journal)

 2014/12/08 サブドレンピットNo.20で放射性物質アンチモンを検出、過去の放射性降下物と判断~東電定例会見 | IWJ Independent Web Journal
iwj.co.jp  
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