9月9日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
※ 情報を追加して更新します
サブドレン他水処理施設の排水開始は9月14日の予定
サブドレン他水処理施設の運用と並行して実施される「海側遮水壁閉合作業について」のプレスリリースで、サブドレン計画の排水開始予定が公表された。
9月14日よりサブドレン他水処理施設の運用に伴う排水を開始する予定です。
H5タンクエリアの内堰の継ぎ目から雨水が漏洩
※9月9日午前10時40分頃、タンクパトロール中の当社社員が、H5タンクエリアに設置された内堰の北東側の継ぎ目から雨水が漏えいしていることを発見した。このため同日午前10時45分、H5タンクエリア外堰の排水弁を閉にし、H5タンクエリア堰内に溜まっている雨水については同日午前11時24分にH6タンクエリア堰内への移送を開始。また、当該の漏えい箇所については、土嚢を設置。
H5タンクエリアに設置された内堰の継ぎ目からの漏えいについては、漏えい当初はえんぴつの芯2本分の漏えいであったが、暫定処置として継ぎ目に詰め物を行い、1秒に2滴程度で土嚢に替えてドレンパンで受けているため、現在堰外への流出はない。なお、当該エリアに設置されているタンクの水位に変動が無いこと、およびB・C排水路の連続側溝モニタにおいて有意な変動が無いことを確認。
同日のプレスリリース「H5北エリア堰からの堰内雨水漏えいについて」によると、漏洩があったH5北エリアは、かつて野球場があった原発構内南側に位置しているのが分かる。また、金属製の堰の接合部分に詰めたコーキングが剥がれたと指摘されている。同様の現象はほかの場所でも十分発生しうると考えるべきだろう。(それにしても漏洩状況写真の漏れの程度が鉛筆の芯2本程度とは……)
管理棟トイレで協力企業作業員が意識不明の状態。入退域管理棟救急医療室入室時には心肺停止状態
※9月9日午後12時45分頃、入退域管理棟2階のトイレにて、協力企業作業員が意識不明の状態で発見されたため、同日午後12時56分に救急車を要請。当該作業員は同日午後12時57分に入退域管理棟救急医療室へ入室したが、心肺停止の状態だった。その後、同日午後1時32分に救急車にて出発し、いわき市立総合磐城共立病院に向かう。
C東エリアA1タンク、C西エリアB1タンクで配管の内堰貫通部分から雨水が漏洩
「報道関係各位一斉メール」の情報。9月9日午後5時38分頃に発見。内堰から外堰への漏洩と東電社員が判断。外堰の排水弁は事前に「閉」。内堰の溜水はH5エリアに移送。水位が下がったことで漏洩は止まっているという。
3号機格納容器ハッチ部の小型カメラによる調査結果
▼格納容器の機器ハッチ部に漏洩は確認されず
▼床面に湿りや水溜りあり
▼結露とみられる水滴が見られた
▼今回の調査で確認できなかった部分を調査するため、無線による小型調査装置による調査を検討する。この調査にはスマホを使った小型俯瞰カメラ(照明を兼ねる)を使用する
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
2号機 タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を再開後、停止。再び開始
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年9月8日午後2時45分~9月9日午前7時42分)
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施中(2015年9月9日午後1時39分~)
※ 滞留水移送装置の設置が完了し、自動運転が行われていることで、こまめな運転、停止による水位制御が行われているものと考えられる。7月29日公開の資料「福島第一原子力発電所の状況」に通水試験開始について、同様に8月20日公開の資料「福島第一原子力発電所の状況」に「通水試験の実施」と「移送ポンプ自動運転」についての記載がある。
※ タービン建屋地下滞留水の移送は実施中
3号機 タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を再開後、停止。再び開始
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年9月8日午後2時45分~9月9日午前7時43分)
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施中(2015年9月9日午後1時39分~)
※ タービン建屋地下滞留水の移送は実施中
4~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 セシウム吸着装置を運転
・セシウム吸着装置運転中
その他の項目に新規事項なし
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス 通算80回目の海洋排水を開始
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ3の当社および第三者機関による分析結果[採取日8月27日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。9月9日午前10時3分より海洋への排水を開始。同日午前10時10分に漏えい等の異常がないことを確認。
地下水バイパス 地下水バイパス揚水井分析結果(9月7日採取)地下水バイパス揚水井No.10のトリチウム濃度は高止まり。2,000ベクレル
第三者機関(日本分析センター)の分析ではトリチウム濃度は2100Bq/L
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
9月8日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、堰床部に溜まっている雨水の影響により70μm線量当量率の測定を一部実施できないところを除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)において異常がないことを確認。
※ タンクに設置されている堰からの漏洩が発生しているのは冒頭記事の通り
H4エリア E-1の全ベータは46,000ベクレルに上昇
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H4エリア周辺地下水【E-1】全ベータ濃度(単位:Bq/L)
採取日 8/31 9/1 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7
E-1 42,000 41,000 44,000 41,000 34,000 25,000 46,000
浪江雨量(mm) 7.0 1.5 1.5 1.0 0.0 36.5 35.5
H6エリア G-1でトリチウム濃度が過去最高値に並ぶ高レベル。G-2も上昇
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H6エリア周辺地下水【G-1】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 8/30 8/31 9/1 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7
G-1 1,500 400 560 300 330 1,900 3,300 3,400
浪江雨量(mm) 25.5 7.0 1.5 1.5 1.0 0.0 36.5 35.5
H6エリア周辺地下水【G-2】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 8/30 8/31 9/1 9/3 9/4 9/5 9/6 9/7
G-2 280 270 160 750 1,600 2,600 800 5,700
浪江雨量(mm) 25.5 7.0 1.5 1.5 1.0 0.0 36.5 35.5
1~4号機タービン建屋東側 前日付の資料でのデータ上昇は「今回の上昇についても降雨による影響」。港湾内で過去最高値が検出されるものの「港湾内の分析結果については、有意な変動は確認されていない」
<最新のサンプリング実績>
9月7日に採取した1号機取水口(遮水壁前)、2号機取水口(遮水壁前)および1~4号機取水口内南側(遮水壁前)海水の分析結果において、セシウム134、セシウム137および全ベータの値が前回値より上昇しているが、過去の降雨の際に同程度まで値が上昇していることから、今回の上昇についても降雨による影響と考えている。 なお、港湾内の分析結果については、有意な変動は確認されていない。
※ 以下の過去最高値は9月8日の当ページで既報
<過去最高値>1号機取水口(遮水壁前)
セシウム-134:22Bq/L(2015.09.07)
これまでの過去最高値:17Bq/L(2015.08.28)
セシウム-137:82Bq/L(2015.09.07)
これまでの過去最高値:62Bq/L(2015.08.28)
<過去最高値>2号機取水口(遮水壁前)
セシウム-134:25Bq/L(2015.09.07)
これまでの過去最高値:16Bq/L(2015.08.28)
セシウム-137:110Bq/L(2015.09.07)
これまでの過去最高値:60Bq/L(2015.08.28)
<過去最高値>1~4号機取水口内南側(遮水壁前)
セシウム-134:32Bq/L(2015.09.07)
これまでの過去最高値:24Bq/L(2014.11.03)
セシウム-137:120Bq/L(2015.09.07)
これまでの過去最高値:6Bq7/L(2015.07.30)
<過去最高値>港湾内南側
セシウム-137:8.5Bq/L(2015.09.07)
これまでの過去最高値:7.8Bq(2013.10.17)
<過去最高値>港湾中央
セシウム-134:16Bq/L(2015.09.07)
これまでの過去最高値:14.0Bq/L(2015.08.28)
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~3号機放水路
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
K排水路の状況 発表資料に掲載の8月15日以降で3核種すべてが最高値を記録しているが、日報の記載は9月7日段階のまま
新規事項なし
発表資料に掲載された8月15日以降で、検出している3核種すべてで最高値を記録しているが、日報の記載は9月7日段階のもので新規事項を示す下線は入っていない。
下に引用する
<最新のサンプリング実績>
9月7日に採取した水の分析結果(セシウム134、セシウム137、全ベータ値)が前日の分析結果よりも上昇していたが、昨日の降雨の影響により一時的に上昇したものであり、過去の変動範囲内に収まっている。引き続き、継続監視を行う。
(下線なし)
関連データ(東京電力以外のサイト)
最終更新: