8月27日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
※ 情報を追加して更新します
3号機海水配管トレンチの充填について発表
3号機タービン建屋から海側に向かって「コ」の字型に設置されていたトレンチ(4つの立坑とそれらをつなぐトンネル)の充填作業の進捗について、報道配布資料として発表された。
トンネル部分と立坑のうちA、Cの充填はすでに完了しており、8月27日、立坑Bの上部の充填を完了したという。残る立坑Dは高濃度滞留水が残るタービン建屋につながっているため、建屋内の水位低下に合わせて充填作業を行うという。
充填材を入れることでトレンチ内のたまり水を建屋側に押し出すという作業方法も取れるはずだし、現にトレンチ充填ではこれまでそのように作業が行われてきたのだが、立坑Dの作業をペンディングにする理由は不明。
1~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 高性能多核種除去設備で、H8タンクエリアの「ストロンチウム処理水」の処理を完了。今後、タンクにストロンチウム処理水が貯まるまで、処理を停止
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
※高性能多核種除去設備は、H8タンクエリアのストロンチウム処理水の処理を完了したことから、8月26日午後7時37分、一度同設備による処理を停止。今後H8タンクエリアにストロンチウム処理水がある程度貯水された時点で、処理再開予定。
その他の項目に新規事項なし
・セシウム吸着装置停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス ~通算78回目の海洋排水を終了。排出量は1,944トン
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による分析結果[採取日8月10日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。8月26日午前10時55分より海洋への排水を開始。同日午前10時58分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
同日午後6時42分に排水を停止。排水停止状態に異常のないことを確認。排水量は1,944m3。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
8月26日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所は確認されなかった。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H6エリアG-2のトリチウム、高いレベルが続く
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H6エリア周辺地下水【G-2】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 8/18 8/19 8/20 8/21 8/22 8/23 8/24 8/25
G-2 3,500 2,900 2,900 310 160 330 2,100 1,900
浪江雨量(mm) 0.0 0.0 0.0 17.0 3.5 17.0 11.0 3.0
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~3号機放水路
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
※ 1~3号機放水路について、8月27日付の測定データは発表されていない。
K排水路の状況 8月27日、漏洩は恒常化? またもK排水路の汚染水が海洋に溢れ出る
※なお、K排水路の排水については、同排水路内に堰を設けて、移送ポンプを設置し港湾内に繋がるC排水路へ移送しているが、8月27日、K排水路に設置したカメラ映像を確認したところ、降雨の影響により、午前0時17分から午前0時25分の間で雨水が堰を乗り越え、外洋側へ一部排水されていることを確認。
その後は、K排水路内の雨水は全てC排水路に移送しており、外洋への排水はなし。
※ 海への漏洩が起きた8月27日、K排水路のセシウム134、セシウム137、全ベータが高い値を記録。東京電力の説明は「降雨による表層土の流入のため上昇したものと考えられる」。
東京電力の発表を整理すると、
▼事故原発敷地内には汚染された表層土がある
▼汚染された表層土は降雨によってK排水路に流入し、放射能を上昇させ得る
▼K排水路の水は降雨によって太平洋に流れ出ることがよく起きる
ということ。そして最も重大な問題なのは、
このような状況を東京電力が放置しているということだ。
関連データ(東京電力以外のサイト)
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