2月14日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
2月11日に発生した2号機タービン建屋滞留水移送ポンプ停止の原因は絶縁抵抗不良。他に健全なポンプがあるためこれ以上の点検調査は行わず
※2号機タービン建屋地下の滞留水については、2月9日午前11時51分より3号機タービン建屋地下への移送を行っていたが、2月11日午前10時38分頃、移送ポンプが停止。漏えいを示す警報は発生していない。現場を確認したところ、当該移送ポンプの制御盤のブレーカーがトリップ位置にあることが確認されたため、同日午前11時11分に当該ブレーカーの隔離を実施。また、2号機タービン建屋および3号機タービン建屋において移送ラインのパトロールを実施し、漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
その後、原因を調査したところ、当該ポンプ用モーターに絶縁抵抗不良が確認された(絶縁抵抗測定値:0Ω(オーム))。また、当該ポンプについては、建屋滞留水により汚染している状態のため、これ以上の点検調査を行わないこととした。2号タービン建屋滞留水移送ポンプについては、停止した当該ポンプ以外に健全なポンプを2台保有しており、通常は1台で滞留水移送を行っていることから、建屋滞留水の水位管理に支障を期たす恐れはない。なお、2号機を含む各建屋の滞留水移送ポンプについては、今後、移送ポンプの増設を計画している。
4号機海水配管トレンチ充填工事のため、トレンチ内の汚染水をタービン建屋へ断続移送
※ 4号機海水配管トレンチの閉塞を目的としたグラウト充填工事について、2月14日午前7時51分より作業を開始。また、グラウト充填工事により、当該トレンチの水位上昇が予測されることから、当該トレンチ内の滞留水を必要に応じて4号機タービン建屋に断続的に移送する。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年2月12日午前10時28分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年2月9日午前10時41分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
新規事項なし
地下水バイパス揚水井分析結果(2月12日採取)
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
2月13日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路 ~極めて高濃度の汚染を示す1号機放水路立坑の測定結果(2月12日採取分)
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆(2月2日採取)→ (2月5日)→ (2月9日)→ 最新(2月12日)
<1号機放水路立坑水(上流側)>
セシウム134: 3,300 Bq/L → 3,300 Bq/L → 3,300 Bq/L → 3,200 Bq/L
セシウム137:11,000 Bq/L → 11,000 Bq/L → 11,000 Bq/L → 11,000 Bq/L
全ベータ: 15,000 Bq/L → 15,000 Bq/L → 14,000 Bq/L → 14,000 Bq/L
トリチウム: 670 Bq/L → 600 Bq/L → 620 Bq/L → 860 Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)>
セシウム134:520 Bq/L → 490 Bq/L → 540 Bq/L → 480 Bq/L
セシウム137:1,700 Bq/L → 1,700 Bq/L → 1,800 Bq/L → 1,700 Bq/L
全ベータ: 3,400 Bq/L → 3,600 Bq/L → 3,700 Bq/L → 3,500 Bq/L
トリチウム: 1,500 Bq/L → 1,700 Bq/L → 1,700 Bq/L → 1,800 Bq/L
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年2月14日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: