6月1日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
側溝内に設置された耐圧ホースからの汚染水が漏洩の続報。「核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物が管理区域外で漏えい」と判断するも、「外洋への影響はない」
耐圧ホースから漏えいした水が側溝からK排水路を経由し、港湾内に流出したことから、5月29日午後5時35分に核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第62条の3に基づき制定された、東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則第18条第11号「核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物が管理区域外で漏えいしたとき。」に該当すると判断した。
(中略)
K排水路排水口の全βは耐圧ホースから水の漏えいが確認された5月29日の午後2時に採取した試料において6,600Bq/Lを確認した後、減少傾向を示している。
福島第一1~4号機取水口内北側(東波除堤北側)、福島第一1号機取水口(遮水壁前)、福島第一2号機取水口(遮水壁前)、福島第一港湾中央においても5月29日朝採取のデータにおいて過去最高値を更新した後、減少傾向を示している。(既出)
6月1日午前4時に採取した、K排水路排水口の水の分析結果(全ベータ値)は、220Bq/Lで、5月31日以降は110~270 Bq/Lで推移しており、有意な変動は確認されていない。また、港湾口連続モニタの値に有意な変動が確認されていないことから、外洋への影響はないものと考えている。
なお、K排水路出口付近については、引き続きバキューム車による水の回収作業を行っている。
港湾内への汚染水の漏洩が原因と考えられる、港湾海水での過去最高値が測定されている。東京電力は「核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物が管理区域外で漏えい」との判断を示しているが、港湾口連続モニタの値に有意な変動が確認されていないことから、外洋への影響はないとしている。
港は外洋に開けている。毎日の潮の満ち引きによって港湾内の海水も入れ替わる。たとえば小名浜港では、一回の満引きで50cmから100cmほどの潮位変動が毎日2回繰り返されている。第一原発の港湾の深さが5mだったとしても一回の満引きだけで、港湾内の海水の1割~2割が入れ替わっていることになる。
港湾口連続モニタの値に有意な変動がないという理由で、外洋への影響はないと考える思考の仕組みが理解できない。なにか特別な力が働いて、干満時には純粋に海水だけが入れ替わって、放射性物質は港湾内に留められているとでもいうのだろうか。もしそうであれば、そのミステリーこそ解明する必要がある。
K排水路排水口放射能分析結果(6月1日分追記)
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年5月31日午前10時55分~)
※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年5月31日午前11時11分~)
※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・原子炉から使用済燃料プールへ燃料移動中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系停止中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備停止中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備停止中
地下水バイパス ~通算66回目の海洋排水を終了。排出量は1,450トン
5月31日午前10時3分より海洋への排水を開始。同日午前10時25分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
同日午後3時49分に排水を停止。排水停止状態に異常のないことを確認。排水量は1,450m3。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
5月31日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H4周辺地下水E-1の全ベータ値>
4月21日採取 15,000Bq/L
4月22日採取 8,300Bq/L
(中略)
5月20日採取 2,100Bq/L
5月21日採取 悪天候により採取中止
5月22日採取 2,600Bq/L
5月23日採取 3,100Bq/L
5月24日採取 5,100Bq/L
5月25日採取 3,300Bq/L
5月26日採取 3,500Bq/L
5月27日採取 3,600Bq/L
5月28日採取 4,400Bq/L
5月29日採取 4,400Bq/L
5月30日採取 4,700Bq/L
<H4周辺地下水E-9の全ベータ値>
5月18日採取 1,200Bq/L
5月20日採取 20,000Bq/L
5月22日採取 13,000Bq/L
5月25日採取 16,000Bq/L
5月27日採取 4,000Bq/L
5月29日採取 5,100Bq/L
※ E-9の測定データはなし
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H6周辺地下水G-1のトリチウム値>
3月17日採取分で過去最高値 3,400Bq/Lを記録して以来、それまでの週1発表から毎日発表になっている。
3月17日採取 3,400Bq/L
(中略)
5月20日採取 170Bq/L
5月21日採取 悪天候により採取中止
5月22日採取 180Bq/L
5月23日採取 150Bq/L
5月24日採取 130Bq/L
5月25日採取 170Bq/L
5月26日採取 150Bq/L
5月27日採取 210Bq/L
5月28日採取 ND(検出限界値は110Bq/L)
5月29日採取 140Bq/L
5月30日採取 190Bq/L
※ 3月10日(最高値の前回測定)の値は 480Bq/L
3月3日はND(検出限界値:10Bq/L)
<H6周辺地下水G-2のトリチウム値>
4月20日採取 380Bq/L
4月21日採取 2,500Bq/L ※大幅に上昇
4月22日採取 2,000Bq/L ※若干減少
4月23日採取 310Bq/L
(中略)
5月19日採取 580Bq/L
5月20日採取 2,800Bq/L ※大幅に上昇
5月21日採取 悪天候により採取中止
5月22日採取 2,200Bq/L
5月23日採取 340Bq/L ※大幅に減少
5月24日採取 180Bq/L
5月25日採取 210Bq/L
5月26日採取 210Bq/L
5月27日採取 180Bq/L
5月28日採取 170Bq/L
5月29日採取 190Bq/L
5月30日採取 240Bq/L
※G-2のトリチウム値は、タンクからの汚染水漏れが発生から約1か月後の平成26年3月24日・25日に記録した7,000ベクレルがこれまでの最高値だが、27日には660ベクレルまで減少していた。
<H6周辺地下水G-3のトリチウム値>
漏洩タンクから最も遠いG-3もトリチウム値が上昇
4月27日採取 400Bq/L
4月28日採取 200Bq/L
(中略)
5月20日採取 300Bq/L
5月21日採取 悪天候により採取中止
5月22日採取 430Bq/L
5月23日採取 330Bq/L
5月24日採取 330Bq/L
5月25日採取 350Bq/L
5月26日採取 350Bq/L
5月27日採取 290Bq/L
5月28日採取 390Bq/L
5月29日採取 280Bq/L
5月30日採取 360Bq/L
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