6月3日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
側溝内に設置された耐圧ホースからの汚染水が漏洩の続報。バキューム車による汚染水回収について報告
K排水路排水口の放射性物質濃度(全β値)および港湾内の放射性物質濃度については、これまでの分析結果と比較して有意な変動は確認されていない。また、港湾口連続モニタの値に有意な変動が確認されていないことから、外洋への影響はないものと考えている。引き続き、監視を継続する。
K排水路排水口の放射性物質濃度(全β値)が、連続して通常の変動範囲内である200Bq/L以下で安定していること、および漏えいした汚染水について概ね回収できたことから、バキューム車による水の回収作業を6月2日午後3時40分頃に終了。排水路に設置した土嚢について、取り外しを実施。
なお、バキューム車による水の回収実績については、以下のとおり。
・漏えい箇所周辺の側溝(K-4-3)
5月29日午後6時頃~5月30日午後3時30分頃 回収量:約30m3
・漏えい箇所周辺の側溝(K-4-2)
5月31日午後0時15分頃~6月2日午後3時40分頃 回収量:約110m3
・K排水路出口付近
5月29日午後1時8分~6月2日午前4時30分頃 回収量:約780m3
1号機格納容器内部検査のために取り外していた温度計の再設置後評価
※1号機PCV常設温度計7個(TE-1625T1~T7)については、PCV内部調査を行うため取り外していたが、PCV内部調査が完了したことから、4月23日に当該温度計を再設置した。
当該温度計の設置後、目安としていた一ヶ月が経過したことから、温度トレンドによる信頼性評価を実施し、注水量や注水温度、外気温度の変動に応じた挙動を示していること、および指示の変動幅も小さく、安定していることから、正しい値を示していると判断。
このことから、6月4日午前0時より、1号機PCV常設温度計2個(TE-1625T3、T6)を実施計画III章第1編第18条(原子炉の冷却状態の監視)の監視温度計器として選定し監視を行う。
PCVは格納容器のこと。TE-1625T1~T7はそれぞれ格納容器の底部近くに設置された温度計のことで、格納容器内部検査のために4月7日に取り外されたものを再設置後、正確に温度測定ができているかを、他の温度計のトレンド(変動)と比較して検討した結果、正しい値を測定していると判断したとの報告。
1号機 ~ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下に断続的に移送
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
加えて、
1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を、1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
※ 2,3号機と同様に、建屋地下の汚染水はタービン建屋地下だけでなく、さまざまな部屋にそれぞれ滞留していることが分かる。「断続的に」とは、地下水位との兼ね合いで移送を行うという意味だと考えられる。(建屋地下の汚染水の水位が地下水位より高くなると、汚染水が地下水に流入する危険が大きいため)
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
2号機 ~タービン建屋の高濃度滞留水の移送先を切り替え(移送先は3号機タービン建屋地下)
1号機冒頭と同じ4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
また、タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送先を切り替え
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年5月31日午前10時55分~6月3日午前10時39分)
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(2015年6月3日午後0時3分~)
※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
3号機 ~タービン建屋の高濃度滞留水の移送先を切り替え(移送先はプロセス主建屋)
1号機冒頭の4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
また、タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送先を切り替え
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年5月31日午前11時11分~6月3日午前10時27分)
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年6月3日午前10時25分~)
※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
4号機~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系停止中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~セシウム吸着装置「停止中」
・セシウム吸着装置停止中
その他の項目に新規事項なし
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備停止中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備停止中
地下水バイパス ~揚水井の一部でポンプ点検のため採取中止
新規事項なし
・地下水バイパス揚水井No.8,No.10,No.12はポンプ点検によりサンプル採取中止
※ なお、No.10は4月20日にトリチウムが過去最高値の「1,100Bq/L」となった次の採取予定だった4月27日からポンプ点検となっている
・5月30日付の「地下水バイパス揚水井分析結果」によると、No.5もポンプ点検
6月1日採取分の分析結果が発表されたのは揚水井No.2,No.4,No.6
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
6月2日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、堰内の洗浄作業を行っていたために70μm線量当量率の測定を一部実施しなかった箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
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