5月29日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
側溝内に設置された耐圧ホースから、移送中の汚染水が漏洩
※ 5月29日午前10時8分頃、構内の35m盤の五差路から2,3号機建屋へ向かう道路(2,3号機建屋側への下り勾配)脇に敷設されている耐圧ホースから水が漏えいしていることを協力企業作業員が発見。
同日午前10時26分頃、移送していたポンプを停止したことにより漏えいが停止したことを確認。当該側溝はK排水路に導かれているため、当該側溝内5箇所に土嚢を設置するとともに、バキューム車による水の回収を同日午後1時8分に開始。K排水路の排水は、移送ポンプによりC排水路を経由して港湾内に放出されていることから移送ポンプを同日午前11時3分に一旦停止したが、K排水路が港湾外へ越流する可能性があることから、同日午前11時27分に港湾内への排水を再開。漏えいした耐圧ホースは、1,000tノッチタンクから3号機タービン建屋へ水移送に使用していたもの。
過去に採取したK排水路排水口における全ベータの分析結果については以下のとおり。
・5月27日採取分 29Bq/L(暫定値)
・5月28日採取分 1,200Bq/L(暫定値)
上記分析結果と耐圧ホースからの水の漏えいとの関連性については、現在調査中。
いくらフレックスな耐圧ホースとはいえ、この曲げ方は非常識だ。事故発生の年、仮に敷設された同様のホースから多数の漏洩を起こした教訓は生かされていないのだろうか。また写真下部の消されている部分の防水がどうなっているのか非常に気がかりだ。
なぜなら、同日発表された報道配布資料によると、漏洩が発生したのは地下水バイパス用の揚水井が並ぶエリアからも近いからだ。事態の悪化が懸念される。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
2号機 ~タービン建屋の高濃度滞留水の移送先を切り替え(移送先は3号機タービン建屋地下)
1号機と同じ4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年5月26日午前11時11分~5月29日午前10時7分)
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(2015年5月29日午前11時22分~)
※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
3号機 ~タービン建屋の高濃度滞留水の移送先を切り替え(移送先はプロセス主建屋)
1号機と同じ4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年5月26日午前11時20分~5月29日午前10時1分)
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年5月29日午前11時14分~)
※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
4号機,5号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・原子炉から使用済燃料プールへ燃料移動中
6号機 ~プール冷却を非常時熱負荷運転に切り替え
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系停止中
※6号機補機冷却海水系については、ストレーナおよび弁点検のため、5月29日~6月12日にかけて停止。
停止期間においては、使用済燃料プール冷却浄化系(FPC系)が使用できなくなるが、残留熱除去系(RHR系)による非常時熱負荷運転(使用済燃料プール冷却)を行い、使用済燃料プール冷却を実施。
これに伴い、使用済燃料プールの冷却はFPC系からRHR系による非常時熱負荷運転に切り替えるため、5月29日午前10時17分にFPC系を停止し、同日午前10時48分にRHR系による非常時熱負荷運転を起動。
RHR系の運転状態に異常はない。なお、使用済燃料プール水温度は20.5℃と変化はない。また、6月12日にRHR系による非常時熱負荷運転からFPC系へ切り替えるため、約2時間停止する予定。
<参考>
5月28日午後4時現在の使用済燃料プール水温度は18.9℃で、冷却停止時における使用済燃料プール水の温度上昇率評価値は0.3℃/h。
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~セシウム吸着装置「運転中」
・セシウム吸着装置運転中
その他の項目に新規事項なし
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備停止中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備停止中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
5月28日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、測定箇所の上部で高所作業を行っていたことからパトロール員の安全確保のために測定を一部実施しなかった箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H4周辺地下水E-1の全ベータ値>
4月21日採取 15,000Bq/L
4月22日採取 8,300Bq/L
(中略)
5月20日採取 2,100Bq/L
5月21日採取 悪天候により採取中止
5月22日採取 2,600Bq/L
5月23日採取 3,100Bq/L
5月24日採取 5,100Bq/L
5月25日採取 3,300Bq/L
5月26日採取 3,500Bq/L
5月27日採取 3,600Bq/L
<H4周辺地下水E-9の全ベータ値>
5月18日採取 1,200Bq/L
5月20日採取 20,000Bq/L
5月22日採取 13,000Bq/L
5月25日採取 16,000Bq/L
5月27日採取 4,000Bq/L
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