【重要】排水ポイントから南に200m以上離れた海水から全ベータを検出
5月11日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中
◆3号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・原子炉から使用済燃料プールへ燃料移動中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス ~排水についてのサンプリング結果
5月7日午前10時19分、海洋への排水を開始。同日午前10時25分に漏えい等の異常がないことを確認。同日午後4時14分に排水を停止。排水停止状態に異常のないことを確認。排水量は1,448m3。(既出)
同日、この際の南放水口付近の海水についてサンプリングを実施。前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
【重要】排水ポイントから南に200m以上離れた海水から全ベータを検出
排水前の一時貯留タンクの分析結果では、全ベータはND(検出限界は東京電力の分析では0.80 Bq/L、日本分析センターでは0.50 Bq/L)だったが、南放水口付近の海水の検査結果では全ベータが13 Bq/L検出されている。
「南放水口付近の海水」のサンプリング場所は1~4号機放水口から約330m、排水ポイントから200m以上南側(原発構内の反対方向)に離れている。
港湾でない海洋で、しかも港湾の防潮堤が開いている位置からかなり離れた場所で、全ベータが検出されたということになる。
自然界に存在するカリウム-40の放射能と区分するためにも、全ベータの内訳の精査と公表が待たれる。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
5月10日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H4周辺地下水E-1の全ベータ値>
4月21日採取 15,000Bq/L
4月22日採取 8,300Bq/L
4月23日採取 5,800Bq/L
4月24日採取 5,400Bq/L
4月25日採取 4,700Bq/L
(中略)
5月3日採取 5,900Bq/L
5月4日採取 6,100Bq/L
5月5日採取 5,800Bq/L
5月6日採取 5,900Bq/L
5月7日採取 6,500Bq/L
5月8日採取 6,500Bq/L
5月9日採取 5,800Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H6周辺地下水G-1のトリチウム値>
3月17日採取分で過去最高値 3,400Bq/Lを記録して以来、それまでの週1発表から毎日発表になっている。
3月17日採取 3,400Bq/L
(中略)
4月21日採取 990Bq/L
4月22日採取 1,500Bq/L ※かなりの上昇
4月23日採取 1,500Bq/L
4月24日採取 2,100Bq/L
4月25日採取 980Bq/L
4月26日採取 2,000Bq/L
4月27日採取 760Bq/L ※雨は降っていないのに大きく増減
4月28日採取 1,000Bq/L
4月29日採取 550Bq/L
4月30日採取 360Bq/L
5月1日採取 270Bq/L
5月2日採取 250Bq/L
5月3日採取 300Bq/L
5月4日採取 320Bq/L
5月5日採取 320Bq/L
5月6日採取 180Bq/L
5月7日採取 210Bq/L
5月8日採取 180Bq/L
5月9日採取 180Bq/L
※ 3月10日(最高値の前回測定)の値は 480Bq/L
3月3日はND(検出限界値:10Bq/L)
<H6周辺地下水G-2のトリチウム値>
4月20日採取 380Bq/L
4月21日採取 2,500Bq/L ※大幅に上昇
4月22日採取 2,000Bq/L ※若干減少
4月23日採取 310Bq/L
4月24日採取 300Bq/L
4月25日採取 330Bq/L
4月26日採取 290Bq/L
4月27日採取 200Bq/L
4月28日採取 270Bq/L
4月29日採取 190Bq/L
4月30日採取 220Bq/L
5月1日採取 280Bq/L
5月2日採取 240Bq/L
5月3日採取 220Bq/L
5月4日採取 200Bq/L
5月5日採取 230Bq/L
5月6日採取 250Bq/L
5月7日採取 190Bq/L
5月8日採取 160Bq/L
5月9日採取 240Bq/L
※G-2のトリチウム値は、タンクからの汚染水漏れが発生から約1か月後の平成26年3月24日・25日に記録した7,000ベクレルがこれまでの最高値だが、27日には660ベクレルまで減少していた。
<H6周辺地下水G-3のトリチウム値>
漏洩タンクから最も遠いG-3もトリチウム値が上昇
4月27日採取 400Bq/L
4月28日採取 200Bq/L
4月29日採取 310Bq/L
4月30日採取 320Bq/L
5月1日採取 280Bq/L
5月2日採取 320Bq/L
5月3日採取 350Bq/L
5月4日採取 370Bq/L
5月5日採取 360Bq/L
5月6日採取 280Bq/L
5月7日採取 290Bq/L
5月8日採取 370Bq/L
5月9日採取 330Bq/L
1~4号機タービン建屋東側 ~地下水観測孔No.3、3,4号機ウェルポイント汲み上げ水のトリチウム(H-3)、港湾中央(海水)の全ベータで過去最高値
新規事項としての発表なし
<過去最高値>地下水観測孔No.3
トリチウム(H-3):3,800 Bq/L(5月6日採取)
これまでの最高値:3,500 Bq/L(2015年4月29日採取)
<過去最高値>3,4号機ウェルポイント汲み上げ水
トリチウム(H-3):520 Bq/L(5月6日採取)
これまでの最高値:360Bq/L(2015年4月29日採取)
<過去最高値>福島第一港湾中央(海水)
全ベータ:93 Bq/L(5月10日採取)
これまでの最高値:82Bq/L(2015年3月20日採取)
地下貯水槽
新規事項なし
1号機放水路
新規事項なし
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年5月11日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
最終更新: