3月2日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
化学分析棟で協力企業作業員が転倒。右手首脱臼骨折の疑いで救急搬送
※3月2日午前8時50分頃、構内の化学分析棟において、協力企業作業員(男性)が作業中につまずいて転倒。その後、入退域管理棟救急医療室にて医師の診察を受けた結果、右手首脱臼骨折の疑いがあり、緊急搬送の必要があると診断されたため、同日午前9時25分に救急車を要請。緊急搬送先は、いわき市立総合磐城共立病院を予定。
なお、当該作業員の身体に放射性物質の付着はなく、自力歩行が可能な状態。
6号機使用済燃料プールの冷却を停止。計器定例点検のため
※6号機使用済燃料プール冷却浄化系について、計器定例点検を行うため、3月2日午前10時17分に停止。冷却停止時の使用済燃料プール水温度は16.6℃。
6号機使用済燃料プール冷却浄化系停止時の使用済燃料プール水の温度上昇率は0.264℃/時であり、停止中の使用済燃料プール水温度上昇は最大で約8℃と評価しており、運転上の制限値65℃に対して余裕があることから、使用済燃料プール水温度の管理上は問題ない。
非常用窒素ガス分離装置の本格点検を終了
※非常用窒素ガス分離装置の本格点検について、2月17日午前10時より特定原子力施設に係る実施計画「III 特定原子炉施設の保安」第1編第32条第1項(保全作業を実施する場合)を適用し、点検作業を実施していたが、
3月2日午前10時34分に点検作業が終了。その後の動作確認において異常が無いことから、非常用窒素ガス分離装置を待機状態とし、同日午後12時5分に特定原子力施設に係る実施計画「III 特定原子炉施設の保安」第1編第32条第1項(保全作業を実施する場合)の適用を解除。
第二モバイル型ストロンチウム除去装置「装置1」の連続運転を開始
※第二モバイル型ストロンチウム除去装置(RO濃縮廃液タンク水処理用)の装置1については、これまで原子力規制庁による検査にて通水試験等を実施していたが、設備や機能に異常がないことが確認されたことから、3月2日午後2時10分に連続運転を開始。運転後の状況については、同日午後2時40分に漏えい等の異常がないことを確認。
当該装置は、必要に応じ吸着塔の交換やフィルター洗浄のため、一時的な運転停止を行いながら処理を継続していく。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
2号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を再開。移送先は高温焼却炉建屋
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年3月2日午前10時25分~)
※滞留水移送は稼働中
3号機~6号機
新規事項なし
◆3号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系停止中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~第二モバイル型ストロンチウム除去装置を連続運転
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
その他の項目について新規事項なし
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
3月1日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
E-1の全ベータ値
2月18日採取 4,200Bq/L
2月19日採取 52,000Bq/L
2月20日採取 30,000Bq/L
2月21日採取 10,000Bq/L
2月22日採取 7,200Bq/L
2月23日採取 6,800Bq/L
2月24日採取 5,600Bq/L
2月25日採取 4,500Bq/L
2月26日採取 5,100Bq/L ※20日以降下降を続けてきたが、前回の1.13倍に上昇
2月27日採取 14,000Bq/L ※前日までの動きとは桁違いに上昇
2月28日採取 4,100Bq/L ※一昨日のトレンドに戻った感じがする
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
G-2のトリチウム値
2月18日採取 180Bq/L
2月19日採取 1,700Bq/L
2月20日採取 1,200Bq/L
2月21日採取 1,100Bq/L
2月22日採取 1,200Bq/L
2月23日採取 1,000Bq/L
2月24日採取 210Bq/L
2月25日採取 200Bq/L
2月26日採取 170Bq/L
2月27日採取 1,200Bq/L ※前日までとは桁違いに上昇
2月28日採取 610Bq/L ※前日から約半減
1~4号機タービン建屋東側
新規事項なし
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年3月2日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: