2月25日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
※ データを追加して更新しました。
3号機使用済燃料プールの冷却を停止。燃料交換機の分解撤去作業で冷却系に油が混入するのを防ぐため
※3号機使用済燃料プール(以下SFP)代替冷却系について、平成26年12月17日より作業を再開している3号機燃料交換機(以下FHM)本体撤去作業に伴い、撤去対象機器に残存している油がSFP代替冷却系へ混入するのを防止するため、2月25日午前6時16分に停止(2月25日午後4時起動予定)。
冷却停止時のSFP水温度は21.6℃。SFP代替冷却系の停止に併せて、当該系統に設置されている弁の動作確認を実施する。
なお、今回撤去対象機器に残存している油がSFP内に滞留した場合には、吸着マット等で油を回収する。
3号機SFP代替冷却系停止時のSFP水の温度上昇率は0.107℃/hであり、停止中のSFP水温度上昇は最大で約1℃と評価しており、運転上の制限値65℃に対して余裕があることから、SFP水温度の管理上は問題ない。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
2号機 ~タービン建屋の高濃度滞留水の移送先を3号機タービン建屋地下に切り替え
1号機と同じ4項目に加えて、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水の移送を実施(平成27年2月23日午前10時28分~2月25日午前9時49分)
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成27年2月25日午前10時32分~)
※滞留水移送は稼働中
3号機~6号機
新規事項なし
◆3号機
1号機と同じ4項目に加えて、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年2月23日午前10時39分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス 〜揚水井No.10でトリチウムが過去最高値
2月23日サンプル採取
地下水バイパス揚水井No.10<過去最高値>
トリチウム(H-3):890Bq/L(これまでの最高値は2015年2月16日の810Bq/L)
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
2月24日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。なお、悪天候により試料採取を一部中止している箇所あり。
※ 近隣の浪江観測点(気象庁)のデータでは、2月23日の気象状況は以下の通り。
降水量合計は0.0mm。気温は最高 17.8℃、最低 5.0℃ 日照時間 1.7
最大風速 4.6 西 最大瞬間風速 8.7 西
E-1の全ベータ値
2月18日採取 4,200Bq/L
2月19日採取 52,000Bq/L
2月20日採取 30,000Bq/L
2月21日採取 10,000Bq/L
2月22日採取 7,200Bq/L
2月23日採取 6,800Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
G-2のトリチウム値
2月18日採取 180Bq/L
2月19日採取 1,700Bq/L
2月20日採取 1,200Bq/L
2月21日採取 1,100Bq/L
2月22日採取 1,200Bq/L
2月23日採取 1,000Bq/L
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路 ~極めて高濃度の汚染を示す1号機放水路立坑の測定結果(2月23日採取分)
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆(2月12日)→(2月16日)→ (2月19日)→ 最新(2月23日)
<1号機放水路立坑水(上流側)>
セシウム134:3,200 Bq/L → 3,800 Bq/L → 2,200 Bq/L → 3,100 Bq/L
セシウム137:11,000 Bq/L → 12,000 Bq/L → 7,500 Bq/L → 11,000 Bq/L
全ベータ: 14,000 Bq/L → 20,000 Bq/L → 10,000 Bq/L → 14,000 Bq/L
トリチウム: 860 Bq/L → 730 Bq/L → 420 Bq/L → 510 Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)>
セシウム134:480 Bq/L → 580 Bq/L → 510 Bq/L → 530 Bq/L
セシウム137:1,700 Bq/L → 2,000 Bq/L → 1,900 Bq/L → 1,800 Bq/L
全ベータ: 3,500 Bq/L → 8,200 Bq/L → 3,800 Bq/L → 4,000 Bq/L
トリチウム: 1,800 Bq/L → 1,600 Bq/L → 1,700 Bq/L → 1,900 Bq/L
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年2月25日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: