2月18日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
※ データを追加して更新しました。
6号機使用済み燃料プールの冷却を停止して水位を下げ、昨年7月に水漏れを起こした弁を分解点検
2014年7月11日、6号機使用済み燃料プールの弁で水漏れが発生
応急的に止水措置を行い冷却を継続してきた
2月18日から24時間の予定で、水漏れが起きた弁の分解点検を行う
しかし、弁がプールの水面下にあるため、プールの冷却を停止し、さらにプールの水を抜いて水位を下げて行う
作業中の水温上昇は約7℃との見積もり(停止時温度は約17.5℃)
※平成26年7月11日に発生した、6号機原子炉建屋6階燃料プール冷却浄化系の弁付近からの漏えいについて、その後、漏えい箇所である当該弁キャップ部に止水処置を実施し、当該系によるプール冷却を継続しているが、
平成27年2月18日から2月19日(作業予定時間:24時間)にかけて、漏えいがあった当該系プール入口弁の分解点検を実施する。
分解点検は、当該系を停止して実施するが、当該弁は使用済燃料プールの通常水位以下に設置された弁であること、また点検のため隔離する弁がないことから、点検可能な位置まで当該プール水位を低下させてから作業を実施する。
このため、特定原子力施設に係る実施計画「III 特定原子炉施設の保安」(以下、「実施計画」という)第2編第55条の表55-1で定める「使用済燃料プールの水位」の運転上の制限「オーバーフロー水位付近にあること」を満足出来ない状態となることから、実施計画第2編第74条第1項(予防保全を目的とした保全作業を実施する場合)を適用し、計画的に運転上の制限外に移行し、点検を実施する。
なお、6号機当該プール水温度については、2月17日午後4時現在で約17.5℃であり、2月18日時点の冷却系停止時のプール水温度上昇率は約0.273℃/hで、当該プール水温上昇は最大で約7℃と評価。運転上の制限値65℃に対して余裕があり、当該プール水温度の管理上は問題ない。
また、点検作業期間中は、当該プール水温度および水位を常時監視しながら作業を実施する。2月18日午前9時44分より上記の点検作業を開始。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年2月17日午前10時57分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年2月9日午前10時41分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
新規事項なし
地下水バイパス ~地下水バイパス揚水井分析結果で、揚水井No.10が過去最高値
地下水バイパス揚水井 No.10(2月16日採取分)
トリチウム(H-3):810Bq/L(これまでの最高値は460Bq/L 平成26年10月13日)
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
2月17日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路~極めて高濃度の汚染を示す1号機放水路立坑の測定結果(2月16日採取分)多くの項目で上昇傾向が見られる
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆(2月5日採取)→ (2月9日)→ 最新(2月12日)→ 最新(2月16日)
<1号機放水路立坑水(上流側)>
セシウム134: 3,300 Bq/L → 3,300 Bq/L → 3,200 Bq/L → 3,800 Bq/L
セシウム137:11,000 Bq/L → 11,000 Bq/L → 11,000 Bq/L → 12,000 Bq/L
全ベータ: 15,000 Bq/L → 14,000 Bq/L → 14,000 Bq/L → 20,000 Bq/L
トリチウム: 600 Bq/L → 620 Bq/L → 860 Bq/L → 730 Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)>
セシウム134:490 Bq/L → 540 Bq/L → 480 Bq/L → 580 Bq/L
セシウム137:1,700 Bq/L → 1,800 Bq/L → 1,700 Bq/L → 2,000 Bq/L
全ベータ: 3,600 Bq/L → 3,700 Bq/L → 3,500 Bq/L → 8,200 Bq/L
トリチウム: 1,700 Bq/L → 1,700 Bq/L → 1,800 Bq/L → 1,600 Bq/L
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年2月18日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: