12月27日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
燃料取出しに向けてガレキ撤去作業が行われている3号機で、重量物が転落した使用済み燃料プール水の分析結果(12月26日採取)
※8月29日午後0時45分頃、3号機使用済燃料プール内瓦礫撤去作業において、燃料交換機の操作卓が当該プール東側中央付近に落下したことを受け、当該プール水のサンプリングを継続実施中。放射能分析結果が前回と比較して有意な変動がないことから、燃料破損等の兆候は確認されていない。
使用済燃料プール水の放射能分析の結果(採取日:12月26日)
・セシウム134:2.4×102 Bq/cm3
・セシウム137:7.9×102 Bq/cm3
・コバルト 60:1.1×100 Bq/cm3
3号機使用済み燃料プール水のサンプリング測定は、月に1回の頻度で発表される。
リットル当たりの線量に換算
(12月26日採取分)
・セシウム134:240,000 Bq/L
・セシウム137:790,000 Bq/L
・コバルト 60:1,100 Bq/L
前回(11月26日採取分)
・セシウム134:250,000 Bq/L
・セシウム137:830,000 Bq/L
・コバルト 60:1,500 Bq/L
前々回(10月29日採取分)
・セシウム134:170,000 Bq/L
・セシウム137:510,000 Bq/L
・コバルト 60:1,300Bq/L
前々々回(10月22日採取分)
・セシウム134:220,000 Bq/L
・セシウム137:700,000 Bq/L
・コバルト 60:990Bq/L
コバルト-60は、コバルト-59やニッケル-60が中性子を取り込むことで作られる代表的な人工放射能。原子炉では、一次冷却水の配管や冷却水の中に含まれるコバルト-59から生成される。半減期は5.27年。(参照:原子力資料情報室)
1号機~4号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年12月22日午前9時58分~)
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年12月22日午前9時58分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
5号機 ~残留熱除去系の運転を再開。ポンプの運転確認終了
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
※12月26日午前9時48分、5号機残留熱除去系(以下、「RHR」という。)(B系)については、原子炉停止時冷却モードにて運転中だが、点検停止中のRHR(A系)の(A)(C)ポンプの運転確認を行うため停止(停止時原子炉水温度:26.8℃)。(既出)
その後、RHR(A系)の運転確認が完了したことから、同日午後3時8分、RHR(B系)の(D)ポンプを起動し、原子炉水の冷却を開始。なお、運転再開後の原子炉水温度は、停止時の26.8℃から変化はなく、運転上の制限値65℃に対して十分余裕があり、原子炉水温度の管理上問題はなかった。
6号機
新規事項なし
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール》
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス
新規事項なし
地下水バイパス揚水井の分析結果を発表(12月25日採取分)
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
12月26日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路 ~極めて高濃度の汚染を示している1号機放水路立坑の測定結果(12月25日採取分)
前回、前々回との比較
◆前々回(12月18日採取分)→ 前回(12月22日)→ 最新(12月25日)
<1号機放水路立坑水(上流側)>
セシウム134:3,700 Bq/L → 3,600 Bq/L → 3,800 Bq/L
セシウム137:12,000 Bq/L → 11,000 Bq/L → 12,000 Bq/L
全ベータ:16,000 Bq/L → 14,000 Bq/L → 16,000 Bq/L
トリチウム:420Bq/L → 440Bq/L → 460Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)>
セシウム134:440Bq/L → 630 Bq/L → 590 Bq/L
セシウム137:1,500 Bq/L → 2,100 Bq/L → 1,300 Bq/L
全ベータ:3,300 Bq/L → 3,700 Bq/L → 3,300 Bq/L
トリチウム:960 Bq/L → 860 Bq/L → 990 Bq/L
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年12月27日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: