H6エリア周辺観測孔「G2」のトリチウム濃度が5分の1程度に低下
12月3日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
極めて高濃度の汚染を示している1号機放水路立坑の測定結果(12月1日採取分)
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<1号機放水路立坑水(上流側)12月1日採取分>
セシウム134:4.7×10^3 Bq/L
セシウム137:1.5×10^4 Bq/L
全ベータ:2.0×10^4 Bq/L
トリチウム:3.6×10^2 Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)12月1日採取分>
セシウム134:1.2×10^3 Bq/L
セシウム137:3.8×10^3 Bq/L
全ベータ:5.4×10^3 Bq/L
トリチウム:6.8×10^2 Bq/L
前回との比較
◆最新の測定値(12月1日採取分)
<1号機放水路立坑水(上流側)>
セシウム134:4,700 Bq/L
セシウム137:15,000 Bq/L
全ベータ:20,000 Bq/L
トリチウム:360 Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)>
セシウム134:1,200 Bq/L
セシウム137:3,800 Bq/L
全ベータ:5,400 Bq/L
トリチウム:680 Bq/L
◆前回の測定値(11月27日採取分)
<1号機放水路立坑水(上流側)>
セシウム134:5,400 Bq/L
セシウム137:17,000 Bq/L
全ベータ :21,000 Bq/L
トリチウム :340 Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)>
セシウム134:1,000 Bq/L
セシウム137:3,100 Bq/L
全ベータ :4,800 Bq/L
トリチウム :750 Bq/L
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月26日午前10時23分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中。
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月5日午後4時14分~)
※滞留水移送は実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~セシウム吸着装置を停止
・セシウム吸着装置停止中
11月26日からセシウム吸着装置が「運転中」と記載され、第二セシウム吸着装置(サリー)とともに2系統が運転中になっていたが、この日報で「停止」とされた。会見用の資料である「福島第一原子力発電所の状況」では、毎日11:00時点での水処理設備の運転状況が発表されているが、この資料の13日付でも「停止中」と記載されているので、2日15:00から3日11:00までの間に停止したと見られる。
以下の装置・設備については新規事項なし
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス ~通算37回目となる海洋排出の準備が進む
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ1の当社および第三者機関による分析結果[採取日11月23日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。
◆排出直近に行われる分析結果と、排出後に発表される詳細結果の比較
※関連記事のリンクを追加
地下水バイパス ~揚水井の分析結果(12月1日採取)
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
12月2日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H6エリアタンク周辺観測孔 ~漏えいタンク東側、G2のトリチウム濃度が620Bq/Lに低下
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア周辺観測孔「G2」のトリチウム(H-3)濃度(発表から一部抜粋)
<12月1日採取>
620Bq/L
<11月30日採取>
2,900Bq/L
<11月28日採取>
3,200Bq/L
<11月26日採取>
640Bq/L
<11月25日採取>
510Bq/L
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年12月3日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: