1,2号機ウェルポイント汲み上げ水の濃度上昇続く。マンガン-54は2倍、全ベータは1.5倍、さらにセシウム濃度も過去最高値
11月13日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発の現状を読み進めます。
ほう酸水タンクを新設した堰の中に移設完了
※原子炉圧力容器・原子炉格納容器内の臨界(核分裂反応)を防止する、または未臨界にするために設置している1~3号機のほう酸水注入設備のうち、ほう酸水タンクA,Bについては、アスファルト上に直接設置していた。
万が一ほう酸水タンクに漏えいが発生した場合、貯蔵しているほう酸水が地下に浸透する可能性があることから、地下への浸透を防止する対策として、当該タンクに隣接するエリアにコンクリート製の堰(耐薬品性の塗料を塗布)を設置。
(既出)
堰内へのほう酸水タンクA,Bの移設作業が完了したことから、10月15日にほう酸水タンクBに移したほう酸水を11月13日午前11時24分に特定原子力施設の保安第1編第32条第1項(保全作業を実施する場合)を適用し、ほう酸水タンクAへ戻す作業を開始。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止
◆2号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月5日午後4時14分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~セシウム吸着装置が2系統とも停止
・セシウム吸着装置停止中
(2014年9月14日から停止中)
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
(新規事項)
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
日報上ではセシウム吸着装置が双方とも停止していることになっている。記者会見資料では次のように記載。
(11/13 11:00時点)
セシウム吸着装置 停止中*1
第二セシウム吸着装置(サリー) 運転中*1
注として別記された*1の内容は、
*1 フィルタの洗浄、ベッセル交換を適宜実施。
日報は午後3時時点での内容ということなので、第二セシウム吸着装置は11時以降15時までの間に停止したということらしい。
地下水バイパス ~通算32回目となる海洋への排出を終了。排出量は1,499トン
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による分析結果 [採取日11月3日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認したことから、11月12日午前9時57分、海洋への排水を開始。同日午前10時2分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
その後、午後3時52分に排水を停止。排水停止状態において異常のないことを確認。排水量は1,499m3。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
11月12日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1,2号機ウェルポイント汲み上げ水の濃度が13日採取分でも上昇
核分裂生成物ではなく原子炉内の中性子によって副次的に生成される人工放射性物質であるマンガン-54の数値が倍増。全ベータも約1.5倍に急増。さらに過去の最高値がそれぞれ110、250だったセシウム-134とセシウム-137もおよそ1ケタの上昇を示した。
この件に関して東京電力からの表明は、上記の「前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。」のみで、新たな資料発表は11月13日14時時点で行われていない。
<今回(11月13日)採取分>
・マンガン-54:110Bq/L
・全ベータ :320万 Bq/L
・セシウム-134:920Bq/L
・セシウム-137:3,000 Bq/L
<前回(11月10日)採取分>
・マンガン-54:54Bq/L
・全ベータ :210万 Bq/L
・セシウム-134:検出限界値未満(検出限界値 4.2 Bq/L)
・セシウム-137:9.0 Bq/L
<前々回(11月3日)採取分>
・マンガン-54:5.0 Bq/L
・全ベータ :23万 Bq/L
・セシウム-134:検出限界値未満(検出限界値 2.0 Bq/L)
・セシウム-137:6.3 Bq/L
<参考:過去最高値>
・マンガン54:8.5 Bq/L(平成26年4月28日採取分)
・全ベータ :190万 Bq/L(平成25年9月23日採取分)
・セシウム-134:110 Bq/L(平成25年9月23日採取分)
・セシウム-137:250 Bq/L(平成25年9月23日採取分)
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
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