地下水バイパスの海洋排出が実施された日、護岸近くの地下水汲み上げ井戸では、運用目標をはるかに上回るトリチウムを検出
10月13日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年10月11日午前10時46分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年10月11日午前10時5分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス ~通算27回目となる海洋排出を開始
各タンクグループで9巡目、通算27回目の海洋排出が始まる。
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による分析結果 [採取日10月4日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認したことから、(既出)
10月13日午前10時10分、海洋への排水を開始。同日午前10時15分に漏えい等の異常がないことを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
10月12日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側 ~(追記)2号機取水口近くの地下水観測孔で過去最高となるセシウム合計250,000Bq/L、全ベータ7,800,000Bq/L。2,3号機ウェルポイント汲み上げ水でも、過去最高となるトリチウム11,000Bq/Lを記録
新規事項なし
地下水観測孔No.1-6でセシウム134、セシウム137、マンガン54、コバルト60、全ベータで過去最高値を記録。セシウムは合計で1リットル当たり「25万ベクレル」、全ベータは1リットル当たり「780万ベクレル」。
※観測されたのは2号機の護岸、取水口の近くの観測井戸。目に見えない地下で汚染された地下水がどのように流れているのか心配だ。
2,3号機ウェルポイント汲み上げ水で過去最高となるトリチウム11,000Bq/Lを記録。
※地下水バイパスでの運用目標(1,500Bq/L)の7.3倍以上の高濃度に汚染された地下水が、護岸のすぐ近くで採取されたということ。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年10月13日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: