ALPSの1系統が復帰した日、タンクエリアでは作業員の顔面と鼻腔内に放射性物質
6月9日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
4号機プールから共用プールへの核燃料移送は1034本
Fタンクエリアの滞留水処理装置で濃縮水がトレーラー内に漏えい
※6月9日午前10時15分頃、5・6号機北側Fタンクエリアの滞留水処理装置(淡水化装置)より、濃縮水がトレーラー内に漏えいしていることを当社社員が発見。処理装置自体は専用のトレーラーに積載されており、トレーラー内の漏えい範囲は、約1.5m×約5m×深さ約3mm。同日午前10時20分に当該装置を停止したところ、装置からの漏えいは停止したが、トレーラー外に1秒に2滴程度漏えいがあったことから、ビニール袋にて養生を実施。トレーラーは堰内に設置されており、漏えいした水は堰内にとどまっているため外部への流出はない。漏えい発生箇所における線量測定の結果は以下の通り。
・雰囲気線量(地面から約100cm離れた位置)
70μm線量当量率(ベータ線) 0.000mSv/h
1cm線量当量率(ガンマ線) 0.003mSv/h
バックグラウンドの測定値も0.003mSv/h(ガンマ線+ベータ線)と同等。
ALPSのA系、処理運転を再開
フィルターから濁り物質が川下に漏れ出ていた多核種除去設備(ALPS)A系で、フィルタ交換が終了し、処理運転を再開。
※多核種除去設備(ALPS)A系については、クロスフローフィルタ(5A)からろ過ライン側へ炭酸塩スラリーが流出していることが確認されたため、5月17日より処理運転を停止。その後、原因調査において、クロスフローフィルタのガスケットの一部に欠損や微小な傷が確認されたことから、その対策として改良型クロスフローフィルタに交換することとしていた。(ここまで既出)
6月9日午前10時14分、系統の洗浄および改良型クロスフローフィルタへの交換が完了したことから、同設備A系の処理運転を再開。処理再開後の運転状態に異常はない。
タンクエリア作業員の顔面と鼻腔内に放射性物質
※6月9日午前11時55分頃、Bタンクエリアにおいて配管寸法確認を行っていた作業員が、免震重要棟において汚染検査を受けたところ、顔面および鼻腔内に放射性物質の付着が確認された。内部取込みの恐れがあることから、ホールボディカウンターを受検予定。
前日の地下水バイパスの海洋排水の水量(既報)
同日午後4時22分、排水を終了。排水終了後、漏えい等の異常がないことを確認。なお、排水量は1,563m3。
1~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆2号機
1号機と同じ4項目
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス揚水井の状況
新規事項なし
焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果
高濃度滞留水を誤って移送した焼却建屋からプロセス建屋への移送を実施中。建屋外側のサブドレン(井戸)のサンプリングについて記載
<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
<最新のパトロール結果>
6月8日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
新規事項なし
1~4号機サブドレン観測井の状況
新規事項なし
地下貯水槽の状況
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年6月9日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: