2014年4月、北リアス線、南リアス線ともに前線で開通した三陸鉄道。連続テレビ小説「あまちゃん」のタイトルバックやロケで利用されたことでも有名です。
テレビの中でも、トンネルの中で停車したことで奇跡的に助かった車両や、その時トンネルから外を見た際の光景など、ドラマの重要な要素として取り入れられていました。いまだに3月11日を描いたシーンは語りぐさになっています。
そんな三陸鉄道は過疎が進む東北沿岸を走るローカル鉄道ですが、震災前からさまざまな旅行企画を打ち出すことでも知られた存在でした。被災しなかった車両をかき集め、運行可能な区間からいち早く再開して行ったことでも有名ですが、震災後には「震災学習列車」の企画もスタートさせています。
子鉄ママ鉄 三陸鉄道震災学習列車【子鉄ママ鉄 #03】the Sanriku Railway Earthquake Disaster Educational Train.
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震災で流された後復旧し、線路も線路に敷かれたバラスの色も明らかに「復旧されたもの」と分かる場所の解説、メディアの人たちはガレキとかゴミの山とかいうけれど、暮らしていた人たちにとってそれらは、津波に襲われるその瞬間まで、家もクルマもなにもかも、大切な「財産」だったという駅長さんの話、多くの人たちが三陸鉄道の線路に登って被災した島越(しまのこし)駅の話……。
言葉で説明するよりも何よりも、駅長さんが車両に同乗してこどもたちに伝えるその言葉と瞳の奥にあるものを、ぜひとも感じ取ってください。
三陸鉄道はこの4月、全線で運行を再開することができました。
しかし、それまでの道のりの険しさを「なかったこと」にすることはできないのです。
文●井上良太
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