震災マニュアル ~ 震災に遭ったら(住宅街)

   地震や津波などの自然災害は人間の力で防ぐことはできません。また地震を予知することもできません。しかし、自然災害が発生した時に、どうやって身を守るのかを、事前に考え準備しておくことで、被害を食い止めることは不可能ではないはずです。

考えられる危険

・ブロック塀や自動販売機などが倒壊・転倒する
・住宅の瓦が頭上に落ちてきたり、ガラスが飛散したりする
・電柱が倒れ電線などが落ちてくる
・建物が道路上に倒壊してくる
・庭木や庭石が倒れてくる
・揺れによって運転が困難になった自動車が突っ込んでくる
・液状化で建物が傾いたり、路面が波打って歩行できない場所がでてくる
・がけ地や盛土による造成地が崩壊する
・火災で逃げ場所がなくなる
・津波が襲来した際、住宅が妨げになって津波に気づくのが遅れる危険がある

 もしも屋外で大きな揺れに見舞われたら、上から落ちてきたり、横から倒れてきたりする危険がない広い場所で、頭を保護して身を守りましょう。

 ブロック塀や自動販売機の危険は昔から指摘されていますが、耐震のための措置がとられていない物件も少なくありません。過去の地震で死傷者を出している危険物からは、距離をおいて安全を確保してください。

 地震の揺れだけでは電柱が倒壊する危険は高くはありませんが、液状化で地盤が緩んだり、倒壊する建物に引っ張られたりすることで、電線ごと電柱が倒れることがないとはいえません。もしもの状況に対応できる心構えが大切です。

 阪神淡路大震災では、古い民家などが道路側に倒壊するというケースが数多く見られました。津波による被害が大きかった東日本大震災でも、地域によっては地震の揺れによる建物の崩壊がありました。危険なのは耐震補強が行われいない古い住宅や、1階部分を駐車場などとして利用されている鉄骨造の建物です。南相馬市では、比較的頑丈とされる土蔵が崩壊して歩道をふさいだ例もありました。また建物自体が新しくても、土を盛り上げて造成した土地では建物が傾いたり倒壊したりする危険があります。日ごろから危ない建物をチェックしておくとともに、地震の際には危ない建物から離れるようにしましょう。

 地震後の火災も要注意です。倒壊した建物がある場合、避難や消火活動の障害になるだけでなく、倒れた住宅に引火することで火の手が通りの反対側に移るなど、火の回りが早くなります。消せる段階の火なら初期消火を心がけることも大切ですが、手におえない時には火災が広がる前に避難するようにしてください。

 住宅地の盲点のひとつに、津波が迫っていることに気づきにくいことがあります。とくに住宅密集地では、建物の陰になって海岸や河川の堤防を津波が越えるのが見えず、逃げる間もなく水に呑まれたという被害が数多く起こりました。石巻市の湊地区で撮影された津波映像には、最初は数センチ程度の水が、瞬く間に車が浮き上がるほどの水位になり、数分のうちには家が浮き、街路樹が倒れ、それらが濁流とともに町を破壊していく様子が記録されています。

 揺れが激しい時間帯に身を守ること。揺れが収まった後は安全な場所に迅速に避難することが大切です。

地震の揺れから生き延びるポイント(住宅地の場合)

・ブロック塀、自動販売機など倒れてつぶされると大事にいたるような物から離れる
・倒壊の危険のある建物から離れる
・頭上からの落下物に注意する
・住宅密集地では津波の到来に気づきにくいことがあるので、揺れが収まった後は迅速に避難する

屋内にいるとき

屋外にいるとき