地震や津波などの自然災害は人間の力で防ぐことはできません。また地震を予知することもできません。しかし、自然災害が発生した時に、どうやって身を守るのかを、事前に考え準備しておくことで、被害を食い止めることは不可能ではないはずです。
考えられる危険
・地上よりも長時間、大きな周期の揺れに見舞われる恐れがある
・固定していない家具などの重量物がなんども室内を横移動し、つぶされる。負傷して逃げるのが困難になる
・家具などの重量物によって逃げ道がふさがれる
・ドアなどの建具が変形して脱出できなくなる
・免震構造の建物でも、長周期の地震動では大きな揺れが続く場合がある
・エレベーターに閉じ込められる
2003年の十勝沖地震で注目されるようになった災害に、「長周期地震動」による地震被害があります。 「長周期地震動」は、高層ビルや石油タンクなど大きな建築物だけに被害を及ぼす地震動です。十勝沖地震では震源地から250kmも離れた苫小牧市の石油タンクで、数日も続く火災が発生しました。
東日本大震災でも、震源から遠く離れた東京や大阪の高層マンションで、予想以上の揺れが発生したことを覚えている方も多いでしょう。しかし、東日本大震災で発生した地震波は、たまたま長周期地震動を起こす波の成分が少なかったと言われています。高層マンションや長大な橋など大型の構造物では、東日本大震災の時よりもさらに大きな被害が発生する可能性があるのです。
長周期地震動の特徴は、「震源が遠くても揺れが伝わる」ことと「ゆっくりとした揺れが長時間続く」ことです。
揺れに襲われた高層マンションの室内では、固定していない家具は長時間にわたって滑るように移動し続けます。転倒した家具も倒れたまま移動してきます。冷蔵庫もソファーもテレビもパソコンも、割れたガラスも、揺れのたびに大きく移動し続け、キッチンに置いていた物がリビングに、リビングにあった物がベッドルームに、と屋内が目茶目茶になってしまいます。
移動する重量物に巻き込まれると大けがをしてしまうでしょう。テーブルの下に潜り込んでも、部屋中のあらゆるものが移動してきますから安全ではありません。物がぶつかってこない場所を見つけて、揺れが収まるのを待つ。もしも余裕があれば、玄関のドアを開けてストッパーを掛けて、逃げ道を確保してください。
しかし、けがをしないことが最も重要です。大きな揺れを乗り切った後の避難が困難にならないように、安全第一で行動してください。
免震構造の高層ビルも増えていますが、積層ゴムなどによる免震装置は、急激な揺れを吸収して周期の長い揺れに変換する性質があります。長周期の地震動の場合、揺れが長く継続する場合がありますから注意が必要です。
地震の揺れから生き延びるポイント
・家具などはしっかり固定する。ねじやボルトでの固定も考える
・室内での避難場所として、家具などを置かない部屋やスペースを確保しておく
・余裕があれば玄関ドアを開け、固定する
・けがをしないことを第一に考えて行動する
・緊急地震速報を受信できるようにしておく
「揺れた時には、まず自分の身を安全に守りましょう」と言われます。具体的には丈夫なテーブルなどの下にもぐりこみ、頭部を座布団などでガードすることが勧められています。