避難ルートを実際に歩いてみました。~富士市・田子の浦編~

字は読めなくても案内図に関心を寄せる娘。後頭部がかわいい♪

前々から行こう行こうと言っていた富士市の「ふじのくに田子の浦みなと公園」へやっと行くことができました。

山部赤人の歌で有名な田子の浦。下の写真の中段左にある三角形のところがみなと公園です。

いかにも工業港なエリアを通り過ぎ、さらに「しらす」の直売で賑わう漁港を通り過ぎたところにある、とても大きな公園です。

そんなに低いはずがない

さあ、海沿いへ遊びに行ったらこれ!防災アプリ「高台サーチ」で自分がいるところの海抜を計測します。公園の駐車場から一段上がった小高い山の上で計測した結果がこちらです。

すると「現在地の標高は6.8m」となっています。

ん~ちょっと計測結果がおかしい…この公園は沼津市から20kmに渡って続く防潮堤(田子の浦港の入り江で一回途切れるがこの公園からさらに西へ伸びている)沿いにあり、防潮堤の高さがベースです。

このシリーズの片浜・原地区の時に学んだように「整備された防潮堤の高さは、9m~17m」。ですからわたしが標高を計測した場所は最低でも標高9m以上あるはず。

実際のところ、公園から見下ろす海はだいぶ下にあるように感じるけどな…ということで、この防潮堤の高さを調べてみましょう。

はい、「富士市の海岸線約10kmに渡り、海抜17mの防潮堤が建設されています」とありますね。つまりこのみなと公園の最も低いところでも海抜17mはあることになります。やっぱりそうだよな…アプリの精度は気になるものの、まずはひと安心。

続いて改めてこの地域の想定津波高を調べてみました。こちらの図をご覧ください。

下田の数字は何度見ても驚きます。

富士市は「6m」となっています。

ここで気になるのは、富士市で想定されている津波高が県内の他の海岸沿い市区と比べてかなり低いことです。これについて富士市では下の図で説明しています。

地震・津波はプレートがずれたエネルギーによって生じますから、駿河湾を南北に走るプレート境界に対して垂直方向に伸びる富士の海岸では津波が高くなりにくいと予想されているのです。

津波はすぐに来る

ただししっかり認識しておきたいのは「津波の到達時間」がたったの「3分」ということです。

津波の高さが想定通りであればこの公園にいる時点で安全と言うことになりますが、命を守る確率を高めるには「少しでも早く、少しでも高いところへ」が鉄則です。

昇龍

そんな時に心強いのがこの公園内にある「富士山ドラゴンタワー」。

公園の中で海に遠いところには結構高い丘があって、さらにその上に展望台があります。それが富士山ドラゴンタワーです。

タワーの写真を撮り忘れて…こちらは富士市HPより

高さは「富士山にちなんで37.76m」だそうです。どこから測ってこの高さなのかよくわかりませんが、このタワーを登りきればもちろんのこと、登らずともタワー足元の丘までいけばかなりの高さを稼げます。

田子の浦みなと公園自体ある程度の高さがあるため、遊んでいて大きな揺れを感じたら、ヘタに公園外へ移動したりせず、公園内で高いところを目指すのが良さそうです。

とにかくこのタワーを目指して。走れる人はダッシュ!走れない人は慌てず、海へ背を向けてこの丘を目指しましょう。

みなと付近は浸水する

公園内は津波による浸水が想定されていませんが、先の航空写真上に矢印で示されていたように、防潮堤が途切れる港からの浸水が予想されています。

別のハザードマップで見てみましょう。

このように防潮堤の切れ目である港の入江を通って防潮堤より内陸側にも浸水が予想されています。

しかしこの地区も沼津市片浜・原地区と同じように、近くにまともな高台はありません。

ですから田子の浦港周辺でチェックしておくべきは「津波避難ビル・タワー」の存在です。予想された津波の高さがどうであろうと、港周辺で大きな揺れを感じたら迷わず近くの津波避難ビルへ。これを肝に銘じておきましょう。

ドラゴンタワーてっぺんからの眺め。海側から富士市街を見下ろすのは新鮮♪
同じくタワーから西を望む。下に見える船は1855年1月、現在の富士市沖で沈没したロシア軍艦ディアナ号を模した学習施設。

防潮堤からの眺めはいいし、芝生の広場はすごく広いし、トイレは新しくてきれいだし、娘もとても気に入ったようす。しょっちゅう遊びに行くことになりそうな「ふじのくに田子の浦みなと公園」でした。

最近は海へ行くと必ず舌を出す娘。風が塩味なんでしょうか(^^)