先日ある店で文房具コーナーをなんとなく眺めていたところ、「商品名がない消しゴム」がありました。消しゴムの紙ケースに文字がなく、あるのは「青・白・黒のストライプ」だけ。
でもその色だけでどのメーカーの消しゴムなのかはすぐにわかりますよね。そう、「トンボのMONO消しゴム」です。
この「消しゴムMONO PE01文字なし2Pパック」は「センター試験」の受験上の注意として「試験会場での所持品や衣服に文章や英文字がプリントされたものを制限する」という表記があることに配慮してトンボ鉛筆が昨年夏に発売開始したもの。青・白・黒のストライプのほかは文字数字記号が一切印刷されていません。
この色はトンボMONO「だけ」
トンボ鉛筆が3色ストライプだけで文字は一切ないという強気な商品を発売できる理由のひとつに「この色彩は登録商標である」という点があります。
登録商標とは、マークや名称が権利で守られていて独占的に使えるということ。この3色の組み合わせは(商品や役務の提供に関しては)トンボ鉛筆だけが使うことのできる色彩なのです。
2015年4月から新たに「音」「動き」「位置」「ホログラム」「色彩」の商標登録ができるようになり、多くの企業がいろんなタイプの商標を新たに登録しようと申請が相次ぎました。
そして2017年3月1日、初めて「色彩のみからなる商標」として2件だけ登録が認められました。そのうちの1件があの3色ストライプなのです。
もう1件はあの4色
その時に「色彩のみからなる商標」として認められたもう1件が「セブン-イレブン」の店舗を横断する看板の配色「白・オレンジ・緑・赤」の4色です。
国立公園内など景観に配慮すべき場所には白地に濃いグレーのような焦げ茶のような色の地味な看板のセブン-イレブンがあってあれはあれで目立つのですが、とにかくあの4色もセブン-イレブンだけが使える商標なのです。
他にはどこが申請してる?
「色彩のみによる商標」の出願は200件以上あるのですが、1年以上前のトンボ鉛筆とセブン-イレブン以外はまだ認められていません。
おなじみのところとしては
・餃子の王将の看板の赤・黄・オレンジ・緑
・サロンパスの青・緑
・三井住友銀行の濃い緑・薄い緑
・ダイドー缶コーヒーの緑・オレンジ・黒
などが申請したものの、認められていないようです。
ほかにも
・NTTドコモの企業カラーの赤
・赤いきつねの赤、緑のたぬきの緑
・カワサキのバイクの緑
・ポカリスエットの青
などが申請したけど認められていないようです。こちらに関しては「単色では認められにくいのではないか」という専門家の見方もあるようですが。
あの企業は申請しないの?
トンボ鉛筆とセブン-イレブンに関して「この色と言えばそうだよね」という感覚に異論はないのですが、未だこの2件しか登録が認められていないのはなんだか物足りません。
「あの企業(商品)は登録されてもいいんじゃない?」っていう色彩、みなさんは思いつきませんか?
それってあの国だし
わたしが真っ先に思いついたのは「ツタヤの青と黄色」なのですが、この組み合わせってズバリ「IKEA」のイメージも強いです、っていうかスウェーデンの国旗…
なんて思っていたら、ツタヤの場合「青地に黄色でT」というあのマークが商標登録されているそうです。そうですね、あの「ぶっといT」があってこそツタヤですよね。
あなたとコンビニ
コンビニの食べ物で好きなのは断然セブン-イレブンですが、看板の色彩でピンとくるのはむしろファミリーマート(どちらも個人の感想です)です。
あの「白地に緑・青」も商標登録を出願中らしいですが、現時点では認められていないようです。あの組み合わせは「他にもありそう」だからでしょうか?(シエラレオネ共和国の国旗と同じだから難しいのでは?という意見も)。
こっちのセブンはほとんど赤
面白いところでは円谷プロダクションが「ウルトラマン」でおなじみの「赤とシルバー」の登録を申請したけれどこれも認められなかったらしいです。
最近のウルトラマンは「青」とか「黒・黄色・紫」なども使われていますね。ちなみに初代ウルトラマンのハヤタ隊員を演じた俳優は「"黒"部進」さんです。関係ない情報でスミマセン。
さらにいろいろ考えたり街の看板や商品パッケージを見渡してみると、デザイン要素抜きの「色彩だけ」でひとつだけの企業や商品を特定できる例が意外に少ないことに気づきました。
まだ2件しか登録が認められていないこの「狭き門」を次に突破するのはどんな企業のどんな色彩でしょうか。楽しみですね!
最終更新: