きょう4月2日は「世界自閉症啓発デー」です。またきょうから8日までを「発達障害啓発週間」として、自閉症を含む発達障害について知っていただき、理解を進めていただくためのシンポジウムが各地で開催されます。
さらに世界自閉症啓発デーのシンボルとなっている「青い光」によるライトアップが世界中で行われ、日本ではさっぽろテレビ塔や都庁第一本庁舎、善光寺、彦根城、京都タワー、通天閣、福岡タワーなどが青く照らされます。
ここ三島市では日本最長の大吊橋「三島スカイウォーク」の主塔がブルーにライトアップされます。きれいでしょうね。
さて、「自閉症」は生まれつきの脳の障害で、本人にもコントロールできないことが多く、暮らしていくうえで苦手なことがたくさんあります。
でも逆に得意なことだってあります。それが世の中の役に立つことであったり、自分が生きていくための助けになることだとは限りませんが、とにかく「変わった特技」をたまに見せてくれます。
先生オーラ?
娘は基本的に「かなり人好きな自閉っ子」ではありますが、初対面の人にいきなり近づいていくことは滅多にありません。
最初は距離を置いて、見て見ぬフリをしながらチラチラ。だんだんその人のすぐ後ろを通るようになり、何時間か経って「こいついける」と思った人(笑)の後ろを通りすがりにシャラーンと手のひらで触っていきます。ただしそれをやる相手はほぼ女性に限ります。
でも中には初対面でいきなり手を引っ張ったりするケースがあります。ママの高校・大学の同級生が遊びに来てくれると、ママと同級生のリラックスしている雰囲気に自分も安心するのか、「遊ぼう」とでも言うように手を引いていこうとします。
ただしその同級生には共通点があります。ほとんどが「学校の先生か保育士」なのです。どうも娘はママの同級生から「先生オーラ」を感じとっているのではないか、そう考え始めました。
ご近所さんも続々
同じマンションにはまだ面識のない方も大勢いらっしゃいますが、娘がエレベーターで一緒になった70代ぐらいの女性の手をいきなり握ったことがあります。知的障害があることを告げたあと
「すみません、先生と勘違いしているのかも知れません」
とお詫びすると
「いえいえぜんぜん気になさらないでね。それにわたし、中学校の教師だったんですよ」
とおっしゃるのでびっくり。さらに別の時にもエレベーターや玄関ホールでいきなり触ってしまった方に事情を告げると「元・音楽の先生」「看護師」「特別支援学級の支援員」など!
いまではすっかり顔見知りで、ニコニコしながら娘の名前を読んでくださるし、なんてったってみなさん先生や看護・介護・支援のプロですから、娘の奇声や突飛な行動にも動じません。娘もなおさら安心して近づいていきます。
東海道線にて
昨年の秋、小旅行で東海道線に乗っている時のこと。基本的には女性にしか近づかない娘が、近くの座席の作務衣姿で坊主頭のとても貫禄のある男性(おそらく70代)のヒザに手を置いてしまいました。見た目がとても怖かったのでわたしが相当ヘコヘコとお詫びすると、こう答えが返ってきました。
「大丈夫。障害のこともわかりましたよ。ぼくはね、30年以上も養護学校に勤めていましたから。いまも支援活動をしていて、これから勉強会に行く途中です」
そう言って名刺までいただいてしまいました。珍しく男性、しかも「じいじ」とはだいぶ雰囲気の違う男性を触ってしまったと思ったら元・先生で、しかも養護学校(地域によっては「特別支援学校」など)だなんて。娘の感知能力はホンモノかも知れません。
温泉旅館のお風呂にて
これはつい先月のこと。じいじとばあばを連れて近くの温泉街へ一泊プチ旅行をしました。娘は温泉旅館が大好き。ママとばあばと貸切家族風呂に入ったあともお風呂へ行きたがるので、屋上の大浴場にも行ってきました。
するとママが「もう~、お風呂でも知らないお姉さんの手を握っちゃったよ~」というので
「もしかしてまた先生とかだったの?」と聞くと
ママ「『すいません、障害があって…先生とか作業療法士さんだと思っちゃったかも知れません』って言ったら、『わたし、社会福祉士なんです』だって」
私「すごいね!」
ママ「しかもね、お姉さんは4人づれで、手をつないだお姉さんだけ合格で、あと3人は来年も挑戦するんだって」
福祉サービス利用者の相談等さまざまなサポートをする社会福祉士は合格率25%前後の難関資格だそうです。娘はまさにその「4人に1人」を見抜いたのでしょうか…(同様に優しく接してくれたあとの3人のお姉さんも来年はきっと合格だ!)。
「頼れそうな人を感知する」のは、娘にとって「これが私の生きる道」なのかもしれませんね(*^^*)。
でも知らない人をいきなり触っちゃダメ。可愛がられるようにいい子でお願いします。