「パラシュート体制」ってどんなもの?

先日、地域の支えあいマップ講習会を受講してきたという話をご紹介させていただきました。

支えあいマップの作成目的は、不明確なご近所情報を整理して「見える化」しご近所の事をよく知ることで、今後の関わり合いを増進させたり、ご近所で眠っている地域の人材を発掘して地域に活かしたり関わり合いを強めていく、といったものでした。

そしてこの支えあいマップと連動して作成していくものに「パラシュート体制」というものがあるといいます。

パラシュート体制とは?

災害時の要援護者のフォローを地域で協力して行う場合、フォローをする人が一人だと、その人が何らかの理由でフォローに行けないとなると援助を行う人がいなくなってしまいますが、複数人いれば、例え一人が駆けつけられなくても他の人で対応ができます。その支持者をパラシュートの紐に見立てて、「パラシュート体制」と呼んでいます。

支持者に関しては次のような決め事があるとのことです。
1.家族以外の人を設定(家族は当事者の為、外部の人を選ぶ)
2.普段から要援護者と交流を持つようにして見守っていく
3.同じ班、自治会員でなくてもいいが、近隣者
4.年齢は中学生以上で性別は問わない
5.支持者(サポーター)には、サポートをする「義務」はない
(まずは自分と家族の安全を確保してから)
6.一人で複数のサポーターになれるが、助けられる範囲で
7.該当者がいない場合は、とりあえず支持者を決めてから徐々に条件に近づけていく方法もあり
8.必ずしも支持者が誰なのかをサポーターに知らせる必要はない

サポーターに過度な責任は負わせない

上記の決め事を見てわかる通り、支持者(サポーター)は災害時、あくまでも自分と家族の安全を確保してから、「可能であれば」要援護者を助けに行くということが明確にされています。

これは当然と言えば当然なのかもしれませんが、事前に皆にこの点を周知しておくことで、支持者の精神的な負担を和らげることができます。

また、この制度の協力をしてもらう際にも、「できる限りでいい」のであればより協力も得やすいのではないでしょうか。

決め事を聞いて感じた懸念点

一方、複数人数を設定したとしても懸念点は出てくると思います。

1.チーム編成に失敗して機能しない可能性がある
・サポーターがみな日中働きに出ているチームだった場合、昼間に震災が起きると誰も助けに行けない。

・サポーターがみな子持ちであった場合、家族を守るのに精いっぱいでだれもフォローに行けない。

上記のようなケースに陥らないように、チーム編成はできるだけ様々な職種や年齢層の方で組んでいくべきかもしれません。


2.誰かが助けに行くだろう、と決めつけて結局誰も行かない
地域のつながりが薄い場合等の場合は特に、複数サポーターがいることでかえって機能しない、という点も考えられそうです。


3.そもそもサポーターを設定できるほど人員がいない
コミュニティによっては下記のようなところもあるはずです。

要援護者数>サポートにまわれる人員数

常にベストな体制を話し合っていくことが大切

前項では懸念点を挙げてみましたが、やはり完璧な体制というのはなかなか難しく、どんな策をとったとしても結局懸念点は出てくるはずです。

大事なことは支えあいマップ、パラシュート体制を作るために「皆で話し合っていく」ことだと思います。

自治体ごとに世帯数、要援護者の数も違うですから、それぞれのコミュニティにとってベストな体制は異なってくると思います。

あーでもない、こーでもないとみんなで考えていくこと自体が地域の活性化につながっていきます。

その活性化こそが、最も大きなメリットになるのかもしれない、と思いました。