シリーズでお届けしている「避難ルートを実際に歩いてみました」。今回は伊豆の熱海沖に浮かぶ静岡県唯一の有人島、初島をご紹介します。
船内でこんな掲示を見つけました。
以前「熱海・サンビーチ編」で「海岸沿いのビルは避難できるようになっているんだろうか」という宿題を残していました。
この船の乗り場である熱海港では避難先として国道135線沿いにあるいくつかのホテルを指定し「各ホテルの3階以上へ」と案内しています。そのほうが高台を目指すより早いですね。海外沿いの高い建物はすべて避難できるようになっていることを希望します。
さあ、初島へ到着。来た時はいつも宿へ行くのは後回しで、予約してあるこのお店へ直行します。
熱海港を10時半に出て、ただいま11時。すぐに生ビールを頼んで乾杯!この瞬間が1年でいちばん幸せかもしれないです。
さて、食べ物を待つ間に津波避難アプリ「高台サーチ」を使って避難ルートを調べてみます。
「熱海・サンビーチ編」の時に調べた「熱海ネット新聞」2015年1月30日の記事によると
「静岡県は相模トラフで巨大地震が発生した場合の被害想定を新たに公表した。熱海市の初島は18メートルと県の第4次被害想定の2倍の高さに」
津波到達時間を熱海市と同じ「最短3分、わずか4分で最大級の津波が襲うと想定」だとすると、揺れから3分以内に20メートルほどの高台に逃げたいところです。
たまたまアプリにわたしがいる「宮下」が表示されていますが、アプリはわたしのいる位置をもう少し東側だと認識しているようです。
食堂街の裏には初島小中学校があり、そことの間は「崖」なので店の裏からショートカットで登ることはできません。地図にあるように少し東にある道まで出てから坂を上がります。
上の高台の写真は翌日に撮ったものです。実はこの日、料理の数々を食べ終わったあとに障害(知的障害を伴う自閉症)のある娘を連れて実際に坂を上ってみようと思っていたのですが、娘はそのタイミングで突然の不機嫌、そして大パニックになり、歩くどころではありません。
自閉っ子の機嫌がいきなり変わることは日常茶飯事で、お出かけの際にはいつもそのことを覚悟しています。でも「いざ避難」と1秒を争っている時にもこれは起こりうることなんだなと痛感した次第です。
本番となれば娘を担いででも行くと思います。もっとも、そのうちおんぶも抱っこもできないほど大きくなってしまいますね…我が家の「お出かけ心得」に課題がひとつ増えました。
最低でも年1回は行っている初島。大好きなこの島でも高い津波が予想されているのが現実です。
次の日も娘の機嫌は一触即発と言った感じで、娘を連れて避難ルートを歩くことはできませんでした。それでも大好きなこの島を「高い津波が来るかも知れない場所」という目で現地を歩くこと、娘を連れての避難はすんなりいかないぞ、という経験ができたのはとても有意義でした。
最後に料理の一部を紹介します。友達夫婦と一緒にその日の夜も次の日の昼もぜんぶ予約して行ったので「透明なイカまるごと刺身」、見た目の10倍美味い「のり丼」、「アジイカ丼」「地物のジャガイモ煮」、超おすすめ必食の「明日葉と海藻のおひたし」「地物ところてん」などなどすごくたくさん食べたのですが娘のご機嫌取りに専念していたため写真を撮れておりません。それらはぜひ現地へおでかけのうえ実物を楽しんでください。