小学4年の航基と小学2年の旺志郎。この二人、正真正銘の兄弟です。信じられないくらいキッチリ落ちのあるネタでかけあい漫才をして、観客の心を釘付けにしています。巷で弱冠9歳と7歳といえば、まだまだやんちゃ盛り。子育てに手こずっているご家庭も多いはず。それなのに、ものすごいプロ根性で「笑い」を語る兄弟。普段の姿も知りたくて、お母さんも含め3人を取材させていただきました。
まえだまえだ
松竹芸能のタレントスクール大阪校でレッスン中の、前田航基(小学4年生)・前田旺志郎(小学2年生)の兄弟コンビ。2007年7月結成。「M-1グランプリ2007」準決勝進出など、怒涛の快進撃を続けている期待のジュニアタレント。
幼稚園の発表会で一番緊張する子が、今や注目の的に!
――お笑いの世界では、最年少ですね。そもそもお笑い芸人として活躍することになったきっかけは?もともと素質もおありだったと思いますが、何か変化はありましたか?
(母)上のお兄ちゃん航基が4歳頃の時に、松竹芸能のスクールに通い始めました。幼稚園の運動会やお遊戯会のような催しがあると、いつもは明るく楽しい伸び伸びしている子のはずが、周りの空気が違うと察知して固くなって楽しめないのを見て、いつも通りにできるといいな~と思いまして。たまたま新聞広告で松竹芸能のキッズスクールを見つけて、こういうところに通ったら少し変化があるかも、と応募しました。週1回日曜日に習い事のように通って、楽しんでいたら、弟の旺志郎も一緒に通いたいといいだしまして。3歳から一緒に行き始めました。スクールに通ったことで、人前でも伸び伸びできるようになりました。CMやドラマにも子役出演させてもらっているうちに、お笑いの仕事も加わって。なので、今テレビにたくさん出演させていただいてますが特別なことではなくて、これまでの延長なのです。
(兄)最初の仕事はCMだったけれど、監督さんがめちゃ楽しい人で全然緊張せえへんかった。CMは細切れで撮るから覚えなあかんセリフも多ないし。大変なことは全然なかった。先輩の芸人さんも、いっぱい遊んでくれるし。1日に2回公演あったら間に1~2時間空くから、ショッピングモールへ遊びに繰り出してみたり。一番遊んでくれるのはオジンオズボーンさん。
(弟)昨日、のろしさんの単独ライブを見に行ったんやけど、めっちゃおもしろかったわ。
(兄)そうそう。この間仕事で東京へ行った日にちょうどオジンの単独ライブがあったから観せてもらった時も、めっちゃ面白かった。
――仕事というよりも、めっちゃ贅沢な遊びで楽しんでいるようでうらやましいですねー!学校とか他の習い事とかはどうされているんでしょう?
(母)全然普通の小学生です。勉強がよくできるなんてことはありません(笑)。習い事は他にスイミングをやっています。
(兄)学校も仕事もどっちもそんなに大変じゃないかな。
(弟)スイミングはね、航基のほうが格上やな。赤帽と白帽なんやけど、赤はな白や黄を経てうまいんや。
――ちょっと難しい質問ですが、お笑いの世界で一番大切なことってどんなことだと思いますか?
(兄)自分が笑っていることが大切だと思う。自分が笑ったら、相手も笑ってくれる。ネタがおもしろい……というのもあるけれど、まず、自分が楽しまないと。おもろいから相方も笑うんや。だから、自分自身が笑わなあかん。
――すごく大人っぽい感受性ですね。なかなか4年生でこうした考え方は生まれないと思うのでスゴイと思います。うちにも小学5年生の男児がいますが、屁理屈大魔王で航基くんのようにきちんと言葉でポリシーを語ることはできないです。
(母)屁理屈大魔王なら、航基も金メダル級です(笑)。旺志郎も負けじと最近は賞レースです。
たとえ失敗してもたくさん笑わせたほうが勝ち!
――兄弟二人キャラの違いは、普段はありますか。
(弟):旺志郎はな、いつでもスマイル&スマイルや。
(兄):家の中でも、舞台と同じ。旺志郎はボケて、航基が突っ込み。
(母):旺志郎のほうがテンションは高いですね。でも二人とも赤ちゃんの頃から泣くことが少なくて、いつも機嫌よく笑っている子でした。航基の場合は、何か変に落ち着いていたというか。赤ちゃんなのに大人っぽい。二人とも12月が誕生月で丸2年空いています。旺志郎が生まれたばかりで航基は2歳になりたての頃、こんなことがありました。電車で移動中、どうしても階段を使わないといけない所があって、赤ちゃん抱っこして、ベビーバギーもって、大きな荷物背負い、片手に買い物袋、片手に航基の手をつないでいたら、航基が「お母さん、この袋ぼくがもったるで」と言って、小さな体で運んでくれて。その時は夢中で「ほんまありがとうな」と言っていただけですが、後から振り返ると、2歳の頃にそんなふうにできる子はいないと周りからも言われまして。しっかりとしていたな、と思います。
――小さい頃からすごく細かな気遣いができますね。それって教え込んでどうなるものでもなくて、生まれながらに備わっている性質なんでしょうか。舞台に上がる時、ドキドキしたりしないですか?
(兄):ドキドキはあるけど、舞台に出たらもうそれはなくなる。失敗しても、泣いても笑っても出てしまえば終わり。セリフも頭に半分入っているけれど、もう半分は緊張で半分半分。それで、緊張で頭がいっぱいになりそうなことがある。終わってから、「あのネタひとつ飛ばしたんちゃう?」ってことがあっても、自分では全然記憶もない。緊張していると真っ白になるから。
(弟):旺志郎は全然緊張せえへん。全部頭に入ってる。本番前は緊張するけどな。緊張してても楽しまないと。失敗してなくて10回笑わせても、失敗しても11回笑わすことができれば、そら失敗してもお客さんたくさん笑わせたほうが勝ちなんや。
――ふーむ。兄弟でも緊張の度合いが割と違うものなんですね。公演前は二人でどんなふうに緊張解いて舞台へ上がるのですか?
(兄):舞台の袖でネタの練習しようと旺志郎にいうんやけど、旺志郎やらんのです。
(弟):できないところを整理しているんや。できるところを何べんやってもしゃあないやろ。
夜眠る時も、二人で想像の世界へトリップ
――小さいながら、なんだかプロ魂を感じますね。では、お仕事以外では何をすることが一番好きですか?
(兄):遊ぶこと。寝ること。寝る時に航基オリジナルの遊び「ハービー&ムービー」ごっこというのがあって、夜布団の中で遊ぶんや。航基はハービーで、旺志郎はムービー。なんか適当についた名前なんやけど。
――それは人なの?動物なの?どんな設定のキャラなんですか?
(弟):年齢は20歳超えていたり、中学生だったり高校生になったりいろいろ。毎日変わるし自由なんや。自分で今日のキャラを決めるんよ。
――ものすごくおもしろい!想像力豊かですね。このくらいの年頃ですと、まだ親に絵本を読んでもらう子もいますが、そういう時間よりも自分たちの頭の中にある世界で言葉が溢れているんですね~。
(母):二人は二階で寝るんですが、役になりきって話しをするのが聞こえてきます。なぜか「ハービー&ムービー」の時は、標準語でしゃべっていたりします。
――喧嘩とかしないですか?
(兄):喧嘩はない。一度、夜ふざけていて旺志郎の足が航基の目にガーンあたって、航基も旺志郎のお腹にドスッとパンチしたことはあるけど。
――仲良いし、ほんとに親孝行ですね。食べものの好き嫌いはありますか?
(兄):なんもない。ぜんぶ食べる!和食洋食中華なんでも。和食が一番かな。なかでも寿司が好き。料理作るのも好き。お母さんがいない留守の時はいろいろ考えて作るんや。
(弟):回転すしでおいしい店があるんで。今だけポケモンシールもらえるんや。ポケモンてな、案外感動するんやで。
――料理をつくるのが好きっていうのは、やっぱりいろいろ工夫して考えられるんだね。では10年後、こうしていたいなぁということはありますか。漫才は続けているかな?将来の夢はありますか?
(兄):10年後も仲良くしていたい。一緒にお酒のみ行って、焼き鳥食べるんや。ハービーごっこで今流行っているのが、お酒飲むことやから!漫才はやっていたいなぁ。でも、ハービーごっこに漫才は出てこんけど。将来は、総理大臣になるのが夢なんや。
(弟):航基と仲良くしていたい。でも旺志郎な、ご飯食べるの遅いからもっと早く食べれるようにしたいな。そしたら、食べ終わってから航基と長く遊んでいられるから。旺志郎は仮面ライダーになるのが夢や。お父さん「昭和の人」やから詳しく教えてくれる。
――記事を読んでくださっている方へ何かメッセージをお願いします。
(弟):皆、げんきですか~?1000歳まで楽しく生きてください!
(兄):これからも応援してください。
編集後記
――ありがとうございました。かわいい二人のかけあいトーク楽しんでいただけましたか?とにかく兄弟仲良し。お母さんのことも「ピーちゃん」と呼んでいて大切にしているのがよくわかりました。どうしたらこんなに賢く愛情豊かに育つのだろう?と興味津々でインタビューさせていただきました。確かに普通の子どもの面はありますが、一生懸命勉強して芸をこなす努力家であることは間違いありません。でも何を教え込むというのでなく、ご先祖から受け継いだDNAで備わっている性質があるからこそ成せる業なのかもしれません。頭の回転がはやくて洞察力バッチリな航基くん、いつでも和ませてくれる天真爛漫な旺志郎くんと末永くいいコンビを!
取材・文/マザール あべみちこ
まえだまえだが映画「パンダフルライフ」応援ソングで歌手デビュー!
203-LDKCD / 840円(税込)
Living,Dining & Kitchen Records
JAN:4582167072039
9月9日(火)発売