編集後記
――どうもありがとうございました。牧先生はバレリーナ時代、月に1度滝に打たれてきたそうです。10年間ずっと、そうすることで雑念を捨て、集中力を養ってきたとか。ご存命だった指導者でもあるお母様が、「道端に咲く綺麗な小花に目が留まるように」と授けてくださった試練。それをきちんと受けとめて、やり遂げられた牧先生。その精神と体力は半端なものではありません。バレリーナは生まれながらに選ばれた一握りの人だけ、と思っていましたが、『選ばれた人=掴み取る力を育ててこられた方』なのですね。何しろ牧先生の実年齢をお聞きして驚愕でした。本当にお美しくお話しのされ方もキビキビと弾むようにリズミカルでした。「椿姫」、ぜひ拝見にうかがいます。これからもお元気で、益々のご活躍をお祈りしております!
取材・文/マザール あべみちこ
ものがたり
小説家デュマには深く愛し合いながらも結ばれることの
なかった一人の美しい女性がいた。
『椿姫』はその物語である。
――マルグリットは、パリ社交界の華。その美貌はどんな男も虜にしてしまい、金に糸目をつけない紳士たちが次々と彼女を我がものにしようとしてきた。
しかしある日、夜会で若く純粋な詩人アルマンと出会ったことで、彼女の人生は一変する。
真の愛に身を捧げる決心の末、全てを捨てて二人だけの生活を選んだマルグリットだったが、アルマンの父の説得により心ならずも彼を裏切るのだった。
肺病が悪化して死期が近づくマルグリットの前に現れたアルマンは、すべてを知り、許しを請う。しかし、時はすでに遅く・・・。