21日の福島民報2面から。白いタイベック(防護服)を身につけた作業員が路線内で作業をしている。保線作業とタイベックのコントラストが鮮やかなこの写真に写されたのは、JR常磐線の試験除染の様子だった。
東京の建設会社作業員約30人が線路周辺の草刈りを行ったという紹介に続けて、記事にはこう記されている。
JR東日本が試験除染を始めたのは運行再開のめどが立っていない富岡(冨岡町)―浪江(浪江町)駅間の中でも特に線量が高い区間。大熊町内六カ所でレールや枕木、砕石を撤去した上で表層土を剥ぎ取る。
福島民報 2015年8月21日紙面(2面)
震災から年を経るごとに、とくに夏場になると線路にはキク科の人の背丈より高い雑草や、葛などのつる草が生い茂る。場所によっては線路が見えなくなるほどの光景をしばしば見かける。そんな場所での除染は本当に大変だろうとお察しする。
しかも、草を取り除いたあとは、レール、枕木、路盤の砕石まで除去するというのだ。同じ常磐線でも福島県内の多くの地域では、宮城県内とは異なり線路自体が津波被害をこうむった場所は多くない。それでも原子力災害に見舞われた線路では、津波被害を受けた所と同じかそれ以上の手間をかけて復旧しなければならないというわけだ。タイベックと線路工事。そのStrangeな対照が、原発事故の悲惨を物語る。
しかもこの工事は「試験除染」。除染効果が見極められた上ででなければ、いわき方面と南相馬方面とを結ぶ鉄の道がいつ復活するのかは分からないのだ。
作業が行われた日、震災から丸4年と5カ月9日が経過していた。
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