6月15日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
1号機 ~使用済燃料プールの冷却を停止。停止期間は明示されず
※1号機使用済燃料プール(以下、SFP)代替冷却系については、6月15日午前6時4分、計器点検のため停止。
冷却停止時のSFP内の水の温度は25.5℃。1号機SFP代替冷却系停止時のSFP水温度上昇率は0.058℃/hで、停止中のSFP水温度上昇は最大で約2.1℃と評価しており、運転上の制限値60度に対して余裕があることから、SFP水温度の管理上問題はない。
計算をすれば約36時間の停止ということは分かるが、作業内容も冷却停止時間も明示しないのはいかがなものか。
その他の項目に新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を、1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
・1号機復水貯蔵タンクの滞留水を、1号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中。
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
2号機
新規事項なし
1号機の冒頭4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年6月11日午前10時15分~)
※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
3号機 ~タービン建屋の高濃度滞留水の移送を停止
1号機の冒頭4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年6月11日午前10時19分~6月15日午前5時40分)
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
4号機~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~増設多核種除去設備「ホット試験中」
14日付の「日報」で3系統すべてが起動した増設多核種除去設備について「ホット試験中」と表示。ホット試験とは実際の汚染水を使った試験という意味で、東京電力では実質的に運転状態を表していると考えられる。
・増設多核種除去設備ホット試験中
その他の項目に新規事項なし
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備停止中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
6月14日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H4周辺地下水E-1の全ベータ値>
4月21日採取 15,000Bq/L
4月22日採取 8,300Bq/L
(中略)
6月5日採取 5,100Bq/L
6月6日採取 4,900Bq/L
6月7日採取 5,200Bq/L
6月8日採取 4,700Bq/L
6月9日採取 5,600Bq/L
6月10日採取 4,400Bq/L
6月11日採取 3,200Bq/L
6月12日採取 3,400Bq/L
6月13日採取 3,400Bq/L
<H4周辺地下水E-9の全ベータ値>
5月18日採取 1,200Bq/L
5月20日採取 20,000Bq/L
5月22日採取 13,000Bq/L
5月25日採取 16,000Bq/L
5月27日採取 4,000Bq/L
(中略)
6月5日採取 5,400Bq/L
6月8日採取 3,400Bq/L
6月10日採取 4,700Bq/L
6月12日採取 5,200Bq/L
※ E-9の測定データはなし
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H6周辺地下水G-1のトリチウム値>
3月17日採取分で過去最高値 3,400Bq/Lを記録して以来、それまでの週1発表から毎日発表になっている。
3月17日採取 3,400Bq/L
(中略)
6月5日採取 200Bq/L
6月6日採取 160Bq/L
6月7日採取 160Bq/L
6月8日採取 130Bq/L
6月9日採取 150Bq/L
6月10日採取 180Bq/L
6月11日採取 190Bq/L
6月12日採取 160Bq/L
6月13日採取 ND(検出限界値110Bq/L)
※ 3月10日(最高値の前回測定)の値は 480Bq/L
3月3日はND(検出限界値:10Bq/L)
<H6周辺地下水G-2のトリチウム値>
4月20日採取 380Bq/L
4月21日採取 2,500Bq/L ※大幅に上昇
4月22日採取 2,000Bq/L ※若干減少
4月23日採取 310Bq/L
(中略)
6月5日採取 230Bq/L
6月6日採取 130Bq/L
6月7日採取 340Bq/L
6月8日採取 230Bq/L
6月9日採取 210Bq/L
6月10日採取 1,300Bq/L ※降雨0.0mm(浪江)ながら大きく上昇
6月11日採取 1,800Bq/L ※降雨0.0mm(浪江)ながらさらに上昇
6月12日採取 370Bq/L ※大幅低下。降雨0.0mm(浪江)
6月13日採取 150Bq/L
※G-2のトリチウム値は、タンクからの汚染水漏れが発生から約1か月後の平成26年3月24日・25日に記録した7,000ベクレルがこれまでの最高値だが、27日には660ベクレルまで減少していた。
<H6周辺地下水G-3のトリチウム値>
漏洩タンクから最も遠いG-3もトリチウム値が上昇
4月27日採取 400Bq/L
4月28日採取 200Bq/L
(中略)
6月5日採取 340Bq/L
6月6日採取 270Bq/L
6月7日採取 270Bq/L
6月8日採取 360Bq/L
6月9日採取 310Bq/L
6月10日採取 250Bq/L
6月11日採取 280Bq/L
6月12日採取 330Bq/L
6月13日採取 220Bq/L
1~4号機タービン建屋東側 1日0.5ミリの雨量(浪江のデータ)で悪天候のためサンプル採取を中止
<最新のサンプリング実績>
6月14日採取分については、悪天候のため採取を中止している。
その他の分析結果については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
10キロほど離れた浪江町の気象庁の観測ポイントでの気象観測データによると、14日の降雨量合計は「0.5」ミリ。風は最大瞬間風速で6.3m、平均風速は1.4m。悪天候には当たらない天候なのだが、測定は中止。
15日も少雨程度の雨が降っている模様だが、測定は中止されるだろうか。
地下貯水槽
新規事項なし
1~3号機放水路
新規事項なし
K排水路の状況
※耐圧ホースから漏えいした水が側溝からK排水路を経由し、港湾内に流出したことから、K排水路排水口ならびに港湾口連続モニタの監視を実施。
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年6月15日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
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