5月8日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
H3タンクエリアの高濃度汚染水漏れの続報。タンク内の残水の移送を完了。今回の移送に関連して多核種除去設備を5月9日から全台停止の予定
当該タンクの残水について、5月7日午後0時2分から(既出)
同日午後3時40分まで、仮設ポンプにより隣接するB1タンクへ移送を実施。なお、水溜まりが確認された当該タンク基礎部付近については、通常のタンクパトロールに加えて、監視カメラによる確認を行っていたが、タンク内水の移送が完了したことから通常監視とする。
また、今回の移送終了に関連して、5月9日から数日間多核種除去装置を全台停止し、移送ラインを変更する予定。
高濃度汚染水の漏洩が疑われる高性能容器(HIC)の点検結果は、今後は取り纏めて発表
※セシウム吸着塔一時保管施設第二施設に保管されているHICの点検において水溜まりが確認された場合は、拭き取りと吸水ブロックの設置を行うなどの措置を実施するが、点検結果については、点検完了後に結果を取り纏めてお知らせする。また、第二施設と同様にHICが保管されている第三施設についても、今後、計画的にHIC(5月7日時点で776基)の点検を実施する予定。引き続き、現場調査を継続するとともに、原因究明を行う。
1~2号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年5月7日午後0時14分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年5月7日午後0時20分~)
※滞留水移送は稼働中
3号機 ~使用済燃料プール水の放射能分析の結果(採取日:5月7日)
※2014年8月29日午後0時45分頃、3号機使用済燃料プール内瓦礫撤去作業において、燃料交換機の操作卓が当該プール東側中央付近に落下したことを受け、当該プール水のサンプリングを継続実施中。放射能分析結果が前回と比較して有意な変動がないことから、燃料破損等の兆候は確認されていない。(既出)
使用済燃料プール水の放射能分析の結果(採取日:5月7日)
・セシウム134:1.2×10^2Bq/cm3
・セシウム137:4.4×10^2Bq/cm3
・コバルト60:検出限界値未満(検出限界値 1.8×10^0Bq/cm3)
1リットル当たりに換算
使用済燃料プール水の放射能分析の結果(採取日:5月7日)
・セシウム134:120,000 Bq/L
・セシウム137:440,000 Bq/L
・コバルト60:検出限界値未満(検出限界値 1,800 Bq/L)
4号機~6号機
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・原子炉から使用済燃料プールへ燃料移動中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス ~通算62回目となる海洋への排出を終了。排出量は1,448トン
5月7日午前10時19分、海洋への排水を開始。同日午前10時25分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
同日午後4時14分に排水を停止。排水停止状態に異常のないことを確認。排水量は1,448m3。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
5月7日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H4周辺地下水E-1の全ベータ値>
4月21日採取 15,000Bq/L
4月22日採取 8,300Bq/L
4月23日採取 5,800Bq/L
4月24日採取 5,400Bq/L
4月25日採取 4,700Bq/L
4月26日採取 5,000Bq/L
4月27日採取 5,100Bq/L
4月28日採取 4,900Bq/L
4月29日採取 4,600Bq/L
4月30日採取 5,100Bq/L
5月1日採取 5,600Bq/L
5月2日採取 5,700Bq/L
5月3日採取 5,900Bq/L
5月4日採取 6,100Bq/L
5月5日採取 5,800Bq/L
5月6日採取 5,900Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H6周辺地下水G-1のトリチウム値>
3月17日採取分で過去最高値 3,400Bq/Lを記録して以来、それまでの週1発表から毎日発表になっている。
3月17日採取 3,400Bq/L
(中略)
4月17日採取 210Bq/L
4月18日採取 290Bq/L
4月19日採取 1,100Bq/L ※大幅に上昇
4月20日採取 710Bq/L
4月21日採取 990Bq/L
4月22日採取 1,500Bq/L ※かなりの上昇
4月23日採取 1,500Bq/L
4月24日採取 2,100Bq/L
4月25日採取 980Bq/L
4月26日採取 2,000Bq/L
4月27日採取 760Bq/L ※雨は降っていないのに大きく増減
4月28日採取 1,000Bq/L
4月29日採取 550Bq/L
4月30日採取 360Bq/L
5月1日採取 270Bq/L
5月2日採取 250Bq/L
5月3日採取 300Bq/L
5月4日採取 320Bq/L
5月5日採取 320Bq/L
5月6日採取 180Bq/L
※ 3月10日(最高値の前回測定)の値は 480Bq/L
3月3日はND(検出限界値:10Bq/L)
<H6周辺地下水G-2のトリチウム値>
4月17日採取 210Bq/L
4月18日採取 400Bq/L
4月19日採取 760Bq/L
4月20日採取 380Bq/L
4月21日採取 2,500Bq/L ※大幅に上昇
4月22日採取 2,000Bq/L ※若干減少
4月23日採取 310Bq/L
4月24日採取 300Bq/L
4月25日採取 330Bq/L
4月26日採取 290Bq/L
4月27日採取 200Bq/L
4月28日採取 270Bq/L
4月29日採取 190Bq/L
4月30日採取 220Bq/L
5月1日採取 280Bq/L
5月2日採取 240Bq/L
5月3日採取 220Bq/L
5月4日採取 200Bq/L
5月5日採取 230Bq/L
5月6日採取 250Bq/L
※G-2のトリチウム値は、タンクからの汚染水漏れが発生から約1か月後の平成26年3月24日・25日に記録した7,000ベクレルがこれまでの最高値だが、27日には660ベクレルまで減少していた。
<H6周辺地下水G-3のトリチウム値>
漏洩タンクから最も遠いG-3もトリチウム値が上昇
4月15日採取 520Bq/L
4月16日採取 390Bq/L
4月17日採取 360Bq/L
4月18日採取 320Bq/L
4月19日採取 280Bq/L
4月20日採取 270Bq/L
4月21日採取 310Bq/L
4月22日採取 380Bq/L
4月23日採取 320Bq/L
4月24日採取 330Bq/L
4月25日採取 320Bq/L
4月26日採取 230Bq/L
4月27日採取 400Bq/L
4月28日採取 200Bq/L
4月29日採取 310Bq/L
4月30日採取 320Bq/L
5月1日採取 280Bq/L
5月2日採取 320Bq/L
5月3日採取 350Bq/L
5月4日採取 370Bq/L
5月5日採取 360Bq/L
5月6日採取 280Bq/L
1~4号機タービン建屋東側
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆採取日 (4月29日)→(5月1日)→(5月4日)→最新(5月6日)
<1号機放水路立坑水(上流側)>
セシウム134:17,000 Bq/L → 15,000 Bq/L → 14,000 Bq/L → 13,000 Bq/L
セシウム137:60,000 Bq/L → 53,000 Bq/L → 49,000 Bq/L → 48,000 Bq/L
全ベータ: 66,000 Bq/L → 65,000 Bq/L → 58,000 Bq/L → 57,000 Bq/L
トリチウム: 330 Bq/L → 380 Bq/L → 360 Bq/L → 370 Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)>
セシウム134:990 Bq/L → 950 Bq/L → 950 Bq/L → 930 Bq/L
セシウム137:3,400 Bq/L → 3,300 Bq/L → 3,400 Bq/L → 3,500 Bq/L
全ベータ: 5,900 Bq/L → 6,000 Bq/L → 6,000 Bq/L → 6,300 Bq/L
トリチウム: 1,500 Bq/L → 1,400 Bq/L → 1,600 Bq/L → 1,700 Bq/L
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年5月8日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
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