今月3日に書いた静岡県沼津市の立保(たちぼ)地区の津波避難タワー。
先日、ご紹介したように立保地区に建設された津波避難タワーの高さは海抜8.3m。津波の高さは最新の第四次地震被害想定では8.8mが予想されている。
同地区の避難タワーは第三次地震被害想定で予想される津波の高さを元に作ったために、最新の想定津波高よりも低いものとなってしまっている。タワーは主に近隣住民のほか、隣接する保育所の園児たちの使用も想定していたそうである。
言うまでもなく、小さな子供は災害時の避難弱者であり、遠くへ逃げるには大きなリスクが伴う。そうかと言って既存の避難タワーでは犠牲者がでる恐れもある。
そこで、保育所を所有している沼津市がとった対策は、
「高台移転」
昨年4月、それまで海抜2.3mにあった施設を18.2mの場所に移している。被災する前の保育所の高台移転は、全国で初めてのケースのことだという。
保育所の高台移転の計画について調べてみると、津波の被害を受けた東北以外では、南海地震の懸念がある地域の一部であるだけでほとんどないようである。
移転を妨げる要因は財政上の問題が大きいという。参考までに書くと、施設を移動させることを決断した沼津市の保育所の場合は、同市の小学校の敷地内に移転して、総事業費が2億3千万かかったそうである。「ない袖は振れない」と言われてしまうと身も蓋もないけれど、高台移転や避難路などの整備を先送りにして、後悔するようなことだけは起きてほしくないと思う。
移転後の沼津市西浦保育所
被災前の保育所の高台移転としては全国で初めて。
参考WEBサイト
Text:sKenji