東日本大震災の発生からもうすぐ4年が経とうとしています。3月11日を迎える前に、もう一度改めて被災地の現在の状況について調べていきたいと思います。
今日は、福島第一原子力発電所の事故による避難生活と除染状況についてです。
原発事故による避難生活の現状
昨年10月の時点で、12.4万人の福島県民の方が主に原発事故の影響により、住み慣れた土地から離れて避難生活を送っています。
平成25年、福島県は避難されている世帯に「福島県避難者意向調査」を行っています。調査は62,812世帯に対してアンケートを行い、そのうち20,680世帯が回答しています。
昨年4月に公表された調査結果を見てみると、避難されている人の多さもさることながら、震災発生前は一緒に暮らしていた家族が離ればなれに暮らしている実態がわかります。調査結果によると、被災当時に同居していた世帯のうち、半数近くが現在分かれて暮らしているそうです。
避難されている約4割の方は被災当時に住んでいた市町村へ戻ることを希望しています。現在の避難先に定住を希望している方が2割近くいますが、このなかには戻りたいものの、帰還を諦めている方も少なくないと聞きます。
住みなれない土地で不安定な生活送っているために、7割近い世帯において避難後、「何事も以前より楽しめなくなった(57.3%)」、「よく眠れない(56.7%)」、「イライラする(48.4%)」などの心身の体調不良を訴える人が家族の中にいるそうです。
4年が経とうしている現在の除染状況について
震災から4年が経とうとしている今の除染状況について調べてみました。
除染は、国が計画を策定し除染事業を進める「除染特別地域」と、汚染状況重点調査地域(※)のうち、1時間当たり0.23マイクロシーベルト以上が計測されて除染を実施する「除染実施区域」があります。
「除染特別地域」は、基本的に事故後1年間の積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあるとされた「計画的避難区域」と、東京電力福島第一原子力発電所から半径20km圏内の「警戒区域」が指定されています。これら避難指示区域等からの避難者はおよそ10万人いるそうです。
「除染特別地域」の除染作業状況ですが、環境省の「除染情報サイト」によると次のようになっています。
進捗状況を見ると除染作業が終了しているのは一部であり、今もなお多くの市町村において除染作業が続いています。
なお、双葉町の作業については「準備中」となっていますが、同町の公式WEBサイトによると、
帰還困難区域でも比較的線量の低い双葉中学校や双葉高校、双葉町コミュニティセンターなどの公的施設、国道288号や県道、携帯電話基地局などを対象に今年の夏頃まで工事を行います。
とのことです。
肝心の避難指示解除においては、作業が遅れている双葉町はもちろんのこと、すでに除染が終了した場所も含めて、ほとんどの区域において未定となっており、いまだ帰還の目途はたっていないようです。
※平均的な放射線量が1時間当たり0.23マイクロシーベルト以上の地域を含む市町村が、汚染の状況について重点的に調査測定をすることが必要な地域。
除染作業計画は決まっているけれど・・・
最終処分まで長い時間を要する除染作業。策定されている除染のロードマップは次のようになっています。
1.除染の開始
※建物、農地、森林、公園などで除染作業を行います。
2.仮置き場での保管
※市町村毎、コミュニティ毎で用地を確保し、3年程度をめどに保管します。
※保管は遮水シートなどを敷いた上に除染物を入れた大型土嚢を置き、その上を土嚢などで覆い、防水シートを被せます。
3.中間貯蔵施設での保管
※30年以内に最終処分場に移動することになっています。
※除染で発生するものの量は、およそ東京ドームの約13~18倍程度と推計されています。
4.最終処分
※福島県外で処分予定
除染作業の流れは決まっているものの、現在、最終処分場についての目途は立っていないそうです。
長い時間が必要な除染処理
地震大国の日本はこれまでも幾度となく大地震に襲われています。しかし、これまでに発生した地震と大きく異なっているのが、福島第一原子力発電所の事故です。
4年が経とうとしている今もなお、被災地は変わらず厳しい状況にあると聞きますが、原発事故による影響もまた、解決されるまでには長い時間を必要としそうです。
参考WEBサイト
紹介:sKenji