1月17日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
凍土壁工事の削孔マシンから油圧油漏れ
※平成27年1月16日午後6時10分頃、構内4号機西側において、凍土壁工事にて使用していた削孔機の油圧ホースから油が漏えいしていることを、協力企業作業員が発見。油の漏えいは連続滴下で継続していたため受けを設置し、漏えいに伴い周辺の鉄板上に溜まった油については拭き取りを実施。また、同日午後6時39分に一般回線にて富岡消防署へ連絡。
漏えいした油は油圧ホースからの漏えいであることから、削孔機の制御油と判断。削孔機周辺の敷鉄板上に溜まった油については、同日午後7時8分に吸着マットによる拭き取りを完了。また、同日午後8時00分頃、油圧ホースを取り外し、油圧ホース取付け口に閉止栓を取り付けたことで油の漏えいが止まったことを確認。
削孔機から漏えいした油の量は、周辺の敷鉄板上に溜まった油の量が約2m×約3mの範囲で約6リットル、油圧ホースの受けに溜まった油の量は、約40リットルであることを確認。なお、同日午後8時11分に富岡消防署より「油漏れ事象」との判断を受けた。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年12月22日午前9時58分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中(停止から23日)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス ~通算44回目となる海洋排出を開始
平成27年1月17日午前10時4分、海洋への排水を開始。同日午前10時18分に漏えい等の異常がないことを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
平成27年1月16日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路 ~極めて高濃度の汚染を示している1号機放水路立坑の測定結果(1月15日採取分)
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
過去3回分との比較
◆(1月5日採取)→ (1月8日)→ (1月13日)→ 最新(1月15日)
<1号機放水路立坑水(上流側)>
セシウム134: 3,400 Bq/L → 3,400 Bq/L → 3,300 Bq/L → 3,300 Bq/L
セシウム137: 11,000 Bq/L → 11,000 Bq/L → 11,000 Bq/L → 11,000 Bq/L
全ベータ: 16,000 Bq/L → 15,000 Bq/L → 15,000 Bq/L → 15,000 Bq/L
トリチウム: 540Bq/L → 620Bq/L → 620 Bq/L → 590 Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)>
セシウム134: 490 Bq/L → 450 Bq/L → 480 Bq/L → 370 Bq/L
セシウム137:1,500 Bq/L → 1,500 Bq/L → 1,500 Bq/L → 1,100 Bq/L
全ベータ: 4,500 Bq/L → 3,200 Bq/L → 3,200 Bq/L → 2,800 Bq/L
トリチウム: 1,100 Bq/L → 1,400 Bq/L → 1,200 Bq/L → 1,300 Bq/L
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年1月17日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: