2014年11月28日 今日の東電プレスリリース

11月28日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発の今を考えます。

「日報」に登場する主な施設(Google Mapに加筆)

2号機使用済み燃料プールの冷却が停止。その後、空気作動弁を動かすための空気圧縮機の予備を起動したことで冷却を再開。しかし、一時は水温が制限温度を超えるまで13.8日という事態に

※11月27日午後4時43分頃、2号機使用済燃料プール代替冷却系の一次系ポンプ(B)が自動停止し、2号機使用済燃料プール冷却が停止。

なお、2号機使用済燃料プール代替冷却系停止時の2号機使用済燃料プールの温度は16.7℃であり、冷却停止時の温度上昇率は0.146℃/hであることから、運転上の制限値65℃に到達するまで約13.8日と評価。

また、プラントデータ(炉注水流量等)の異常、モニタリングポスト指示値の有意な変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月28日

使用済み燃料プールの冷却がいかに重大かを示す事象。事故後も東京電力ではメンテナンスなどでプール等の計画的な冷却停止を行ってきたが、今回は切迫感が違っていた。

プールの冷却が停止した状態が長く続くと、たとえウランの核分裂反応が起きていなくても、セシウムやストロンチウムなどの核種から崩壊熱が発生し、プールが空焚き状態となり、原発事故発生直後に類似した状況に陥るおそれがあるからだ。

「日報」は次のように続ける。

現場を確認したところ、以下のことが判明。

・2号機使用済燃料プール代替冷却系一次系ポンプ(B)に漏えい等の異常は確認されなかった。

・2号機使用済燃料プール代替冷却系の空気作動弁に、作動用空気を供給している空気圧縮機が停止。(空気圧縮機は2台設置されており、通常は1台運転、1台は待機状態)

・警報は「系統入口流量低」が発生したが、他に異常を示す警報は発生していない。

同日午後8時40分に待機状態であった空気圧縮機(B)の健全性を確認後、起動し、同日午後9時5分~午後9時6分に空気作動弁の開閉試験を行い問題がないことを確認。

その後、同日午後9時26分に2号機使用済燃料プール代替冷却系一次系ポンプ(B)を起動し、使用済燃料プールの冷却を再開。

同日午後11時現在、使用済燃料プール水温度は17.3℃であり、停止時の16.7℃からの上昇は、運転上の制限値(65℃)に対して余裕があり、使用済燃料プール水温度の管理上問題なし。

なお、2号機使用済燃料プール代替冷却系が自動停止した経緯については、調査したところ、2号機使用済燃料プール一次系システムの出入口弁(空気作動弁)に空気を供給している空気圧縮機の操作スイッチが「停止」になっていたことにより、空気貯槽の圧力が低下し、その後、空気作動弁への供給圧力が低下して出口弁が閉動作したことにより、2号機使用済燃料プール代替冷却系一次系ポンプ(B)が停止したことが判明。

空気圧縮機の操作スイッチが「停止」になっていた原因については、今後調査していく。
また、モニタリングポスト指示値の有意な変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月28日

弁を動かすための空気圧縮機(コンプレッサー)の予備が動いてくれたおかげで、プールの冷却を再開できたのは幸いだった。

しかし、冷却という原子炉の安全にとって最も重要な機能が、主要なポンプや配管のトラブルではなく、弁を駆動するためのエアを溜めるタンクに、エアを送り込むコンプレッサーのスイッチがオフになっていたせいでシステムダウンしていたというのは非常に恐ろしいことだ。

その理由のひとつは、これは原発事故からの学習が働いていないという点。事故直後、圧力容器の冷却ができなくなって空焚き状態になり、耐久圧力を超えてしまった格納容器の圧力を下げるため、中のガスを排気しようとしたベント操作が行われたが、弁を開く操作は極めて難航した。原因は、弁を開閉するために必要なエアを補充するための適切なエアコンプレッサーが配備されていなかったことと、停電によって弁を電気で動かすこともできなかったことだ。極めて類似性が高い。

この出来事を恐ろしく感じてしまうもうひとつの理由は、システムダウンが発生した後の原因究明と対処に想像以上の時間を要していることだ。今回の突発事象では、空気圧縮機(B)にたどり着いて起動するまで4時間。冷却を再開するまでには、発生から5時間近くを要している。原発はきわめて複雑なシステムなのだろう。

放射線量が非常に高い2号機とはいえ、事故で停止している原発の、しかも燃料プールでの出来事だったことこそ天恵と考えるべきかもしれない。

※関連記事のリンクを追加しました。

11月6日に共用プールに落としてしまった作業用具の一部(コックカバー)の回収に成功

※11月6日午前11時30分頃、共用プール建屋使用済燃料貯蔵プールにおいて、4号機燃料のチャンネルボックス内の水を採取する作業を行っていたところ、水採取用治具のコックカバー(約10cm×約2cm×厚さ約2mmのゴム製)が同プール内に落下し、同プール内のスキマサージタンクに流入。このため、同日午後0時20分に共用プール冷却浄化系の各パラメータを確認し、異常がないことを確認。(既出)

11月28日午前10時15分、スキマサージタンクに落下したコックカバーの回収を実施。回収したコックカバーを確認した結果、寸法(実測値)は、約12cm×約2cm×厚さ約7mmであり、変形破損等はなかった。

なお、材質についてはゴム製とお知らせしていたが、その後の確認においてビニール製であることを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月28日

1号機 ~使用済み燃料プール冷却を「運転中」

・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中

2号機~4号機

新規事項なし

◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月26日午前10時23分~)

※滞留水移送は実施中

◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中。
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月5日午後4時14分~)

※滞留水移送は実施中

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

5号機 ~25日に続き、原子炉圧力容器と原子炉ウェルに水張りするため燃料プールの冷却を停止

・冷温停止中

・11月28日午前0時48分、原子炉圧力容器および原子炉ウェル水張りを行うため、使用済燃料プール冷却浄化系を停止。なお、冷却停止時の使用済燃料プール水温度は17.9℃。

作業が終了したことから、同日午前10時32分に使用済燃料プール冷却浄化系を起動。運転状態について異常はなく、使用済燃料プール水温度は19.1℃であり(停止時17.9℃)、運転上の制限値(65℃)に対して余裕があり、使用済燃料プール水温度の管理上問題はなかった。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月28日

6号機

新規事項なし

・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中

セシウム吸着装置と第二セシウム吸着装置(サリー)の2系統が運転中。処理された汚染水は淡水化装置で濃縮された汚染水と、ある程度浄化された水に分けられ、濃縮汚染水はタンクで保管後多核種除去設備に、浄化された水は原子炉の冷却水として使われている。セシウム吸着系の2系統運転が何を意味するのかは不明。トレンチ埋め立てで発生する大量の汚染水を受け入れるための余地をつくるためか、あるいは多核種除去設備の試験運転が順調なのか。

地下水バイパス ~通算36回目となる海洋排出を開始

11月28日午前10時4分、海洋への排水を開始。同日午前10時6分に漏えい等の異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月28日

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

11月27日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月28日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月28日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年11月28日